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6 後記 ― afterword
言葉が風に変わるまで、
この物語はずっと呼吸していた。
“リプが届かない”という小さな孤独から始まり、
やがて“届かなくても残るもの”へと育っていった。
そこにあったのは、通信技術でも、奇跡でもなく、
たった一つの優しさの構造だった。
誰かを思い出すこと。
そのたびに、胸の奥で0.7秒の間が生まれる。
それは沈黙ではなく、返信の前の拍。
その一拍が、風を動かす。
きっともう、この世界にECHOはない。
けれど、人の息が続く限り、
風の既読は鳴り続ける。
——この物語を読んでくれたあなたの呼吸も、
いま、どこかで誰かの沈黙に届いている。




