魔法は宇宙のバグを突け!(シミュレーション仮説)
遅くなりました。
宇宙科学技術連合講演会の発表原稿を作らないといけないところに、家庭の事情が重なりまして、ようやく書ける様になりました。
ある時、僕こと、中越裕一が研究室に入ると、研究室の教授である森本武彦と技官である井手純一が何やら密談をしていた。彼らは僕が立てた廊下に響く靴音へ反応するかのように、あわただしくバタバタと何かを隠したようだった。それを証拠に何やらいつもはそれなりにキチンと整理されている教授の机の上がやたらと雑然としている。
「おはようございます! 何の相談ですか?」
そう訊いてみたところ、二人はよくある「隠し事反応」をした。
「ああ、君か。」
「いや、何でもないんだ。」
あやしい。何かを隠している。僕はそう確信した。疑わしそうに二人を見やると、そっぽを向いて口笛なんかを吹き始める。しかもこれは……なんだろう? 大昔のRPGの音楽っぽいけど……。最近ゲームにはまっているんだろうか。もらってきた望遠鏡のメンテナンスとか、PSTの運用とか、最近は相手をしないといけない機材が増えたんだから、遊んでいないで手伝って欲しいところではある。
しかし2人とも飽きないなぁ。もうそろそろ僕だけじゃ対応できないから、他の院生、それこそ修士課程のメンバーも巻き込んでいかないと間に合わないんだけど。
だから「何をしようとしていたのか」を質問をするべきか迷った。
「触らぬ神に祟りなし」という言葉が僕の脳裏を横切ったからだ。さすがにこれ以上のトラブルに巻き込まれると博士論文の研究に差し障りが出る。
だけどその時、応接セットの上の書類に紛れて、VR会議室のパンフレットが目に入った。それも共用で使うものではなく、大学などをまるっと3Dデジタル化する専用のサービスだ。どうやらあれが今回のネタらしいことはわかったが、不覚にもつい口をついて言葉が出てしまった。
「VR会議室って便利ですよね。学会や研究会もVRがメインになってから移動の手間が省けるようになりましたし。」
ついこぼしてしまったセリフに「待ってました!」と言わんばかりに教授が食いついてきた。
「そうだろう! 私が若い頃のVRはまだまだ黎明期でね。目の前に『誰だよ、お前』みたいなアバターが出て来ても、そっちが気になって話に集中できなかったものだよ。」
「そうですよね。今だと実際にVRで学会に参加しても違和感ないですし、会場もそうですけどアバターもリアルに構成されてますもんね。」
教授と井手さんが盛り上がる。それは僕もわかる。目の前に実際の建物を3D化した会場が現れ、アバターも本人を3Dスキャナを使ってスキャンしているから、まさに本人そっくりだ。もちろん自分の姿は見えないわけだけど、相手の外見と声は本人そっくりだし、動きも本人の動きをトレースしているのでリアルだ。まさしくその会場に行って参加しているようにしか思えない。
もちろん参加のためにはそれなりの機材は必要だけど、VR黎明期と比較するとかなり安くなっていて、実際、パソコンを1台買うのとさして変わらない金額で用意できる。僕も学振で得た研究費を使って1つ購入している。おかげで旅費を使うことがほぼ無くなっている。望遠鏡のチェックなどは現地に行かされたけど、あれは研究室のお金なので僕の財布は傷まなかったし。
でも、参加のために必要な機材は安くなったけど、会場を用意しようとするとそれは結構お金がかかる。会場となる建物をまるっと3Dスキャンし、データ化しておく必要があるし、その会場の中で参加者が活動するためには、それを演算面で助けるための大規模なサーバーが必要となる。どこにでもありそうな会議室1つ程度なら共通リソースを使って簡単に構築できるし、サーバーをシェアして使うこともできるけど、大学の施設をまるっと構築するなら専用のサーバーとかリソースを必要とする。これが結構、費用面でバカにならない。
「もしかしてこの大学も専用のVRサーバーを構築するんですか?」
「そういう話も出ている。ただ、金がな……」
「ほら、大学で学会なんかを開こうとすると専用のものが欲しくなるだろ? それにオープンキャンパスでも使えるし。」
「というわけで、なんとかならんかと椚さんから竹本さんのところにも話が行ったらしい。」
発案は情報科学部の椚教授のところか。うちの教授と違って、真面目、まともを絵に描いたような先生だ。
しかし費用面の相談が竹本教授のところにも? まぁあの人も変な発明で稼いでるけど……。初期構築費用以外にも毎年の運用費がかかるから、うちの大学のような地方大学としては予算化しにくいのかもしれない。でも、そういうのは大学で費用化しないとダメだよね?
「おはようございまーす!」
そんなことを考えていたら研究室の扉が開き、元気で明るい女性の声がした。僕の1つ下、D1の長山七菜さんがやってきたのだ。
「あれーっ? 森本さんに井手さん、それに先輩。何してるんですかぁ?」
お前、相変わらず怖い物知らずだな。この2人に巻き込まれるとろくな事にならないのはわかっているはずなのに、しれっと話に混ざってきた。どうなっても知らないぞ。
「ああ、長山くん。実は大学で専用のVR会議室を構築しようという話が出ていてね。」
「おおっ! ついにこの大学も学会の開催地として立候補するんですか?」
「いやぁ、天文学会の開催地として立候補するかはともかく、材料学会あたりは立候補するかもね。あと、情報処理学会とか。」
材料学会は竹本研究室だな。情報処理学会は椚研究室が中心になって、といったところか。そういう意味ではうちの研究室だって学会誘致をやっても良さそうな程度には名前は知られているはずなんだけどなぁ。うちの教授は「そんなことに使う時間があったら、好きな研究をやってる方が10の10乗倍はマシ」という人だからな。ちなみにこの「10の10乗倍」にツッコミを入れた学部のゼミ生がいた。
「10の10乗倍ってことは100億倍ってことですね。」
「せめて1.0×10の10乗倍と言いたまえ。ファクター部分とはいえ有効桁数は重要だ。」
教授からはそう返されて、沈黙していた。早い段階で理系の洗礼を受けることができたと喜んで良いかもしれない。ちなみに教授が「1.0」を付けていないのは、天文学や宇宙物理学では桁を表すオーダーが重要なのであって、ファクター部分はどうでも良いからだそうな。
おっと話がそれたな。元に戻そう。
「うちの研究室は学会誘致に関心無いじゃないですか。なんで皆さん、相談に?」
「ちょっとね、試してみたいことがあるんだよ。」
おや? 井手さんが乗り気なのか。技官だから?
「井手さんが乗り気ってことは、技術的な面でなにかやれそうなんですか?」
「んー……どちらかというと、森本さんから検証をお願いされたってのが正しいかな。」
「?」
技術的な面で検証を要する? よくわからないなぁ。
「中越君。以前の『見ちゃダ・メ』事件、覚えてるかね?」
「ええ、まぁ……はい……」
あれだ。人間原理宇宙論の検証をやったときに、PSTによる不意打ち観測を行った結果、「見ちゃダ・メ」というコメントのついた画像が得られた事件だ。おかげで「観測していないところがどうなっているのかはわからない」という理屈づけに使えるという話になったものの、再現性のなさからお蔵入りしていたはずだ。まさか、また何かやろうとしているのか?
「あの一件でわかったのは、宇宙には見られると困る部分があるということだ。おそらくどういう画像が写るべきなのか、決めかねているのだろう。」
そんなこと無いと思います、教授。でも僕は大人なので否定はしません。肯定もしないけど。
「できれば何度かこういうことを繰り返して証拠を集めたいところだが、そう何度も不意を突くのは難しい。そこで、既知の領域を撮影することで証拠を集めたいと考えた。」
「既知の領域だと写るべき天体は確定していませんか?」
「まぁ、普通はそう思うだろう。そこで『VR』技術を調べたいわけだよ。」
「……どういうことでしょう?」
ここで説明が教授から井手さんに代わった。詳しい話は井手さんからあるらしい。
「VR技術ではいわゆる『手抜き』をしている部分があるんだ。」
「手抜きですか?」
「そう。例えばVR空間があったとする。例えばVRゴーグルに写っていない部分は映像として細かく演算することに意味は無いだろう?」
「まぁ、視野に入っていないシーンをわざわざマシンパワーをかけて演算する意味は……」
ああ、そういうことか! 理解できてしまった。
「そういうことさ。ゴーグルで表示しない部分はわざわざ演算しても仕方がない。もう少し言えば、人間の場合、解像度が高いのは中心視野だけで、周辺視野の解像度は低い。だからVRゴーグルに映し出す映像も中心視野部分だけを解像度高く再現し、周辺視野はそれよりも落とす。視野に入っていない部分はそもそも映像として再現する必要すらない。」
「つまり森本さんや井手さんは、宇宙でも同じ事が起こっているだろうと考えているわけですね?」
「その通りさ!」
教授が機嫌良さそうにホクホクとした笑顔でこちらを見ている。えーと、つまりアレかな? 1.5m望遠鏡でその辺を踏まえて観測しろというわけですか、そうですか……。
「そのために新しいカメラも借りてきたんだよ。TMT用に開発していたやつの性能評価モデルでね。性能評価が無事に終わったので、余ってるらしいんだ。」
「あー、あの解像度を上げるために検出面を多層化したとかいうやつですか?」
「そう! うちの望遠鏡に付けて性能評価をやってみて、結果が良ければ国立天文台で何台かまとめて作ることになりそうなんだよね。試験、してみたいだろ、中越君?」
くっ……既に逃げ道が塞がれてるじゃないか……まぁ興味があるのは否定しないけど。しかたがない、やるか。
「わかりました。今夜は晴れそうなので、何枚かテストで撮ってみますよ。」
「そうこなくっちゃ! はい、夜間使用許可書な。あとで樋山さんに出しておけば、手続きしてくれるから。」
「あー、じゃあ私が書いておきますねー、先輩。」
そういうと長山さんが書類を奪っていった。おい、もしかしてきみも一緒に観測する気か?
なんか、隣の部屋でチッチさんと長山さんが盛り上がってる。仕方が無い、カメラのチェックをしておくか。
そして夜がやって来た。昼間のうちにマウントへと取り付けるところや、動作チェックまではやってある。ついでにダークとフラットも取得済みだ。観測初日なのでリファレンスになるような明るい天体を幾つか撮影して終わる予定にしている。
他のみんなは帰ってしまったけど、長山さんだけは残って観測の手伝いをしてくれている。何か申し訳ないな……。そして黙って作業しているのもなんなので、ちょっと世間話ついでに、気になっていたことを訊いてみた。
「ところで長山さん。どうして僕のことは『先輩』呼びなの?」
隣の席で解析用ソフトを立上げながら、撮影データがやって来たときに軽く処理ができるよう準備している長山さんに投げかけた。
彼女は手を止めて、こちらに向かってにかっと笑いながら答えてくれた。
「わかってませんねぇ。『かわいい後輩女子から先輩呼びされると、78.2%の男性はころっと行く』というアンケート結果があるんですよー。」
「そのアンケート、母集団がおかしくないか……?」
絶対にラノベ読者とか、2次元が好きな系の人が多い母集団じゃないのか、それ? っていうか、長山さんは僕にころっと来て欲しいのか? どういう判断をしたら良いのかわからん。
「いえいえ、いくつかの女性向け雑誌が共同で取ったヤツですから、偏ってないですよー。年齢は10代が多いみたいですけど。」
「へぇ。そんなアンケートあるんだねぇ……」
「20代でも先輩呼びされたらうれしくないですか?」
「どうなんだろう……? 逆に長山さんは年下の可愛い男の子から『先輩』って呼ばれたらころっと行くの?」
「……年下から『先輩』……」
うん、何か考え始めたぞ。そしてちょっと顔が緩んだ。大丈夫か?
「はっ! ちょっと妄想が捗ってしまいました。 先輩、なんて危険なことを言うんですかっ! 思わず戻ってこられなくなるところでしたよー。」
そんなに妄想が捗るのか。すごいな「先輩」って言葉。
そんな馬鹿話をしている間に観測準備が完了し、観測予定の天体に向けるんだけど……。
「曇ってますねー。」
「そうだな。」
「今日は晴れるって言ってませんでした?」
「天気予報ではね。」
そう、天気予報的には雲量は8まで、つまり空全体の80%までが雲で覆われていても「晴」なんだよ。今現在、感じとしては雲量7、視界の70%くらいが雲で覆われている。昼間はほとんど雲がなかったから、観測できると思ってたんだけどなぁ。
「あー、夜中過ぎてから雲が切れるみたいですねー。」
「ということは、今のうちに休んで、夜中から明け方まで観測かぁ……」
「先輩、『今夜は寝かせないぜ!』ってやつですねっ?!」
「それ、女の子が言うセリフじゃないと思う……」
なんでそんなに元気なの、長山さん。とりあえず夜食を食べながら晴れ間を待つしか無いか。
電気ポットでお湯を沸かし、備蓄してあるカップ麺の封を切る。一時期は冷蔵庫に青いラベルの栄養ドリンクも入っていたけど、というか今でも入っているけど、それは今回出さない。
「そういえば、井手さんが言ってたことですけど……普通に観測したんじゃ……写らない様な気がしませんか?」
長山さんがカップ麺をすすりながら訊いてくる。カップ麺なのに上品に食べるな、この娘。僕の方はずるずる言わせながら食べてるのに。
「そうだねぇ……まぁ前の時も『宇宙の油断を突く』みたいなことを言ってたから、ずずっ……何か手は考えてるんだろうけどね。とりあえず今日はコイツの性能テストだから、ずずっ……そこまで考えなくても良いんじゃないかな。」
「ですかねー。」
そう言われると、確かに腑に落ちないことはある。僕を巻き込むときは大抵、逃げ道を塞いでいる。特に何やら企んでいるときは必ずだ。だけど今回は企みこそ話してくれたけど、まだそこまで追い込んできていない。いや、実は既に何かやっているのかもしれない。
「先輩、とりあえず適当に何か写してみません? どうせテストなんでしょ?」
「……まぁ、ね。とりあえず晴れ間の方に向けて撮影するか。あの辺、何か目標になりそうな天体ある?」
「んー……あんまり明るいのはなさそうですけど……どうせスカイも撮るんですよね? だったら何もないところの方が良くありません?」
「それもそうだな。じゃあ、まずはあの辺で。」
僕らは2人で手分けして、雲の切れ間に望遠鏡を向けてシャッターを切っていく。どうせスカイは後で撮り直す必要もあるだろうけど、新しいカメラだからな。練習がてらやっておくことにした。
「そういえば、この間読んだラノベにあったんですが。」
「ラノベ?」
相変わらずラノベ好きだな、長山さん。やっぱりさっきのアンケートも母集団はそっち系なんじゃないかと思えてくるぞ。
「良くある魔法のある世界の話なんですけどねー。シミュレーション仮設ってあるじゃないですかー。あれを使ってるんです。」
「シミュレーション仮設って、『この宇宙は誰かがやっているンピュータ・シミュレーションの世界』って、あれ?」
「そうです。物理現象もシミュレーションなんですけどー。そのバグを突くことで、通常は起こりえない現象を引き起こすことができるって設定なんですよー。」
「あー、それを『魔法』として認識するわけか。」
「そうなんですよー。もし私たちの宇宙も誰かのシミュレーションだったとしたら、バグを発見して突けば、魔法使いになれるのかなぁ、って。」
「つまり魔法使いは優秀なデバッガーってわけだね。」
「井手さんならなれそうですよねー。」
「わかる。」
バグ探しか。……そう言えば今回も「見ていないところは作らなくて良い」「周辺は解像度が低くても構わない」とか言ってたっけ。見てないところは「見ちゃダ・メ」があったから、今度は「解像度が低い」ところを探すのかもしれない。うん? 解像度が低い……? 何かひっかかるな……まぁいっか。
そうして明け方までテスト観測を続け、薄明が始まる頃に、2人して仮眠室で寝ることにした。いや、もちろん部屋は別々だけどね。
「一緒に寝ても良いんですよー?」
長山さんはニヤニヤしながら言っていたが、丁重にお断りした。
翌日、昼前に起き出して観測データをいじっていると、ファイルサイズがやたら大きいことに気が付いた。あれ? こんなに大きかったっけ……確か説明書を読んだ感じだともっと桁が小さかったような……。
「うーん、ダメかぁ。」
「ダメだったみたいです。」
「い、井手さん?! それにチッチさんも!」
いつの間にか井手さんとチッチさんが後ろに立っていた。「ダメ」ってどういうこと?
「あ、あの……ダメというのは……?」
「いやね、層の数をこっそり増やしたんだ。だから本来よりも解像度が高くなる。キミ達には内緒にしたから、宇宙が油断して本来の解像度に合わせた姿しか見せないんじゃないかと思ったんだけど、しっかり対応されてるなぁ、と。」
「なんか裏をかくつもりだと思ってましたが、そういうことですか。っていうか、チッチさんも知ってたんですか?」
「あ、いえ。私の方は中越さんが長山さんと良い雰囲気になるんじゃないかと思っていたんですが、上手く行かなかったようですので。」
長山さん、何やってるの? もしかして昨日、2人でなにやら盛り上がっていたのはそれか!
「あー、そっちもダメだったのかー。森本さんの一人勝ちかぁ。」
「……あ、あのー……」
「中越さんが長山さんに手を出すか、賭けていたんですよ。私と井手さんは『手を出す』方に賭けたんですが、ダメでしたね。」
「森本さんだけが『中越君はヘタレだから、そんな簡単には手は出さないさ』って、ね。『だったらカメラを仕掛けましょう』って話までしたのに。」
「残念ながら、監視カメラの映像をAI分析しましたが、そういう雰囲気にはならなかったみたいです。」
教授。信用してくれるのはありがたいですけど、ちょっと心に刺さります。
そして皆さん、監視カメラまで使うのは止めましょう。いろいろと問題があるでしょう? もしそんな雰囲気になってたら、そういう映像が映っていたらどうするんですか?!
「そんな風になってたら? そりゃAIがちゃんとぼかしの入った低解像度映像にしてくれるさ! そっちも最後まで高解像度のままだったけどね!」
用語解説
・シミュレーション仮設
作中にも言及があるが、「この宇宙は誰かが行っているシミュレーションである」という仮設。スウェーデンの哲学者ニック・ボストロムが提唱した。
彼は人間原理の提唱者でもあるので、この話では第1話と関連付けることとした。
・TMT
30mの主鏡を持つ天体望遠鏡を作る計画があり、これを「Thirty Meter Telescope」、略して「TMT」と呼んでいる。
2021年に完成予定だったが、マウナケア山頂に設置するにあたり地元住民の反対などもあって、計画は大幅に遅れている。
・母集団
統計を行う上では基となる集団が必要であり、これを母集団と呼ぶ。本来は母集団の数値をすべて集めることが重要であるが、数があまりにも多い場合は全体の中から一部をランダムに抽出し、統計処理用の標本とする。この抽出された標本が母集団全体を代表していると考える。
ただしこの抽出時に、抽出方法によっては標本が母集団の様相を現さない場合がある。これを標本の偏りという。
また母集団自体が本来の統計処理したい内容とずれていた場合は、想定しているのとは異なる、バイアスのかかった結果となる事もある。
・ダーク、フラット、スカイ
観測をする上での基準づくりで使われる用語。現在ではいずれもCCDやCMOSなどの素子を使ったカメラで使われる。
ダークは光をまったく当てない状態で撮影する。これは熱雑音などに素子が反応していた場合、その影響を排除するのに使う。
フラットは一様な光を当てた状態で撮影する。これは各素子の感度差をチェックし、その影響を排除するために使う。
上記2つは1度作ってしまえば、あまり頻繁に撮る必要は無い。
スカイは観測の度に撮影する。あまり明るすぎないリファレンスになる天体を撮影することで、その日の夜空の状態を確かめる。水蒸気などが多ければ光の乱反射によって全体が白くぼける。また風が強い場合や気流に乱れがある場合は、星像が広がるなどする。
今回は「人間原理」に続きで「シミュレーション仮設」を適用してみました。
久しぶりの新作ですので、ついでに新しい登場人物も出してみました。今後、彼女が引っかき回してくれると面白くなるんじゃないかな、と考えています。