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火継ぎにも陰陽、人生にも陰陽。

「ジョン、お前今いくつだっけ?」

「年ですか、今年で21ですね。」

「そうか、じゃあ、私と戦え。なんでもありだ。殺す気で来ていいからな。」

「うわ、先生、「そうか」の時点で開戦しないでくれません?」

 先生が傘で突いてきた。牽制用の速さ。避けてからの反撃に備えている一撃だ。つまりガチ。距離を取る。


「魔術、体術なんでもありだ。」

「【ファイアーボール】!不意打ちもですよね。」

「うお!詠唱つきの魔術は久々だよ。強くなったね。」

 火球は7つ。直径2m。6つは正六角形状。中心にしか逃げ場はないが、7つ目が円の中心。

 しかし、それが爆ぜることはない。

「【火凰:太陰】。」

 直径1㎝の火球が先生の左の手のひらに現れる。七つの火球を支配下に置き、手のひらに凝縮したのだ。

「人の【ファイアーボール】を分捕らないでください。そんなこともできるんですか?」

「奥の手は取っておくものだよ。それに皆伝なんだから、全部見せないとね。」

「名前は知らないですが、多分【火鳳:太陽】。」

 先生の火球を爆発させる。爆破半径15メートル。

「ヶㇹッ、容赦ねえ。マジで殺す気かい?あと、その爆発に指向性や誘導性を持たせることができて初めて物にしたって言えるよ。」

 先生の左腕が焦げている。しかも、肘から先がない。凌ぎ切れなかったようだ。

 しかし、断面からは青い炎が噴き出して完治してしまった。


「勉強になります。あと、殺したくらいじゃ死にませんよ、ね。」

「ぐえ!?」

 にわかに距離を詰めて腹パン。先生は熱の塊を防御用に置いていたがおかまいなくパンチ。さすが先生だ。右腕を全力で守っていたのに火傷してしまった。

「この青い炎は便利ですが、消費魔力が凄まじいですね。」

「ゲホゲホ、ま、参った。またすぐに盗みやがって。」

「偽りの降参って顔に書いてありますよ。目を閉じてうつ伏せになってくださいと言いたいところですが、【マクスウェルの悪魔】。」

 両手を挙げていようが先生に近づくとか絶対嫌だ。気絶させるに限る。全力で抵抗してきたが、ここはもう平押しだ。魔力出力でゴリ押す。


「・・・・・・・っは、」

「あ、起きました先生。体動きます?」

「ああ、大丈夫だ。そうか、完敗だ。やっぱり強いな、君は。」

「これも先生のお陰ですよ。」

「まあな。師匠の立場の振りかざしがいがあるよ。」

「なんか、雰囲気が湿っぽいですよ先生。」

「いや、ちょっと憂鬱なんだ。最後の授業がな。」

「そうですか、まあ確かにそろそろほかの方に師事すべき頃合いなのかもしれないですね。」

「うん?いや、そっちではなくて、今まで教えてなかった奴があるんだけど、」

「歯切れ悪いですね。あ、あ、そういうことですね。」

「察しがいいな。赤面してオドオドしているお前を見るのは、気分がいい。」

「からかわないでください。」

「じゃ、宿に戻るぞ。」







「ホワイト教授。最近、閣下の講義が独特なものに変わりましたので、心配しておったのですがね、」

「はっはっは、ディズレーリ学長。なんでしょうかな、改まって。」

「閣下、あの煉獄の魔女の騎士だったなんてことは、ないですかな?おっと失礼。最近までは嵐の魔女と呼ばれていましたな。」

「ははは、そんなわけないでしょう。彼女とは繋がりはありませんよ。」

「そうであるなら良いのです。しかし、彼女の戦い方と閣下の講義、なにやら通底するものを感じましてな。忠告ですぞ。議会は今軍事費削減をめぐって争っています。くれぐれも政敵に付け入るスキを与えてはなりませんぞ。」

「ははは、ご忠告痛み入ります。」

お読みいただきありがとうございます。

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