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その3 学費を稼ぐ

「痛ってえ、手加減しろよ、婆ちゃん!」

ジローは、怪我をしたらしい右手に自分の左手を乗せると、ポウっとそこに光を集める。治癒魔法を使ったらしい。


「作戦としては悪くはなかったが、盾で突進(シールドバッシュ)しても、あんな()()り腰ではな!」お婆様は、鼻でフフンと笑う。

「お前のお爺様は、鋭い突進でこの私の体勢を崩し、一太刀ひとたちびせてきたものよ。」


「はいはい、そして怪我をした婆ちゃんを治療してくれて、恋が芽生えたんでしょ。何度も聞いたぜ、その話。」

「おお、そうだったかな? まあ、次は別の手を考えてこい。」お婆様は、ワハハと楽しそうだ。


剣を拾って、彼はこちらに戻ってきた。

「ジロー、魔法だけじゃなくって、剣術もできるんだ。」って言ったら、ニッと笑顔を見せた。

「婆ちゃんは強いからな、いろいろ考えて攻めないと勝てないぜ。お前みたいに、真正面から大剣で振りかぶる奴なんて、初めて見た。」って言われてしまった。


聞いてみたら、彼の剣技レベルは、もうすぐ剣士Lv.19に届くんだって。しかも副職能セカンドジョブの魔導士はLv.20に達しているから、上級職の魔法剣士への転職も目の前だ。小さい頃から、こうして剣士のお婆様からの鍛えられてきたのだろう。


そして魔法は、あの聖母のお婆様が師匠ね、きっと。

とても羨ましかった。こんな師匠が身近にいるなんて、不公平だって思う。私なんか、村の学校で剣術の基礎は教わったけれど、その後はずっと独学で頑張ったけど剣士Lv.18。さっきのジローには、きっと私は勝てない。


院長のお婆様が、剣士のお婆様に言葉をかけた。「カレン、どうだい?」

「サナエ、このは、たいしたものだ。年少組の指導を任せてもいい。朝練から、昼間の時間が空いた時に、子らを指導してもらおうか。お給金は学校から出すよ。」


「そうかい、それじゃあこれで学費も何とかなりそうだ。」私に笑いかけると、「さあ、では戻ろうかねぇ。」と、スタスタ歩き始める。


今のも、私が働けるかを見るための試験だったのか。

「あの、有難うございました!」獣人族のお婆様に、私は頭を下げて礼を言った。

「学校に来たら、みっちり指導してあげよう。同じ両手持ちの大剣遣いとしてな。」

「婆ちゃん、今度は負けないぜ。」ジローが捨て台詞せりふを吐いた。


こうして私は、学費を自分で稼いで、学校に通えることになったの。とっても嬉しい!

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