その4 仲間のステイタス
爺っちゃんの説明は続く。
「私の魔法を体現してもらうには、諸君の魔素が必要となる。つまり魔素量の大きな者でなければ、私との術式連携はできないということだ。」
「僕は、爺っちゃんの魔法を使ったことがある。ミリア先輩も、使えたでしょ?」
目を向けると、先輩はまた微笑んで頷いた。
「アキラは純粋な人族だから、そもそも魔法が使えない。カーラは、どうかな? 生活魔法は使えるんだから、いけるかもな。」と言って僕は、期待を込めてカーラを見た。
「やってみたい! 私。」カーラが大きな瞳を輝かせる。それがとっても眩しい。やっぱり僕は、この娘が好きなんだ。静まったはずの僕の心臓が、またドキドキした。
「問題は、カーラがどれくらいの魔素を持っているか、よね。」これは、ミリア先輩の指摘だ。確かにね。
「お前、魔法剣の練習をしてたよな。闇属性って、言ったか? あんなことができるんだから、やれんじゃねえの。」魔法に疎いアキラの指摘は、大雑把だ。でも、尤もでもある。
「お互いのステイタスを確認したいわね。私は見せてもいいけど、皆んなは、どう?」そう言うミリア先輩。
「お前たち魔法使いは、自分のレベルが判るんだってな。先輩が見せるというからには、自信があるんだろーよ。俺は、見たことがないから分からんが。」
「あら、アキラ君。お祖父様の鑑定魔法なら、あなたのレベルも見られるようになるのよ、さっきの地図みたいに。」
「えっ、そうなのか? だったら見てみたいな、俺。」
「じゃあさ、皆で見せっこしましょ? カーラの魔素量も知っておきたいし。どうぞお祖父様、私の魔素をお使いくださいな。」ミリア先輩が強引に話を進める。
「個人的なものだが、皆いいのか? 確かに仲間内では、互いに知っておく方が良いとは思うが。」爺っちゃんが、念を押す。ステイタスは個人情報の最たるものだからな。
「はい、私も構いません。私もミリア先輩の魔素量を見てみたい。私たち獣人族とは違って、魔族の方ってとっても大きいんですよね。」カーラが、また目を輝かせた。
「よーし、分かった。ではミリア、君から始めるとしようか。結果は、先程の地図のように皆に送信しよう。」ミリア先輩の賢者のスキル、つまり爺っちゃんがミリア先輩の魔素を使って、鑑定魔法を発動させた。
結果が、僕の視野に投影される。皆、同じものを見ているはずだ。
・名前:ミリア・キラ
・種族:魔族100%
・年齢:17歳と11ヶ月
・活力:48,482
・魔素量:87,634
・主職能:魔導士Lv.23 レベルアップまであと63%
・副職能 :薬師Lv.2 レベルアップまであと12%
・技能:賢者
・装備品:感覚共有子機
やはり鑑定魔法だけのことはある。自分で唱える状態表示の魔法とは違って、細部まで細かく判るのだ。次のレベルアップまでの数字は、励みになるよね。
「わぁミリア先輩、魔素量が八万七千かぁ! 私の四倍以上あるんだ!」カーラが驚いている。えっ! 僕は聞き咎める。四倍? 今、四倍って言ったか?
うん、確かにミリア先輩は凄い、僕も多い方だけど、流石に純粋な魔族だよね。そして魔導士Lv.23か。幼い頃から、魔法の訓練を欠かさなかったのだろう。
技能に賢者とあるのは、僕と一緒だな。先輩も魔素量が多いから、爺っちゃんの魔法を体現できたのだ。もし魔物との戦いとなれば、ミリア先輩と僕とで賢者級の魔法を撃てることになる。これは凄いぞ。
「では、次はアキラだ。」見ていた数字が、パラパラと書き替わっていく。
・名前:アキラ
・種族:人族100%
・年齢:16歳と10ヶ月
・活力:47,913
・魔素量:0
・主職能:剣士Lv.21 レベルアップまであと47%
・装備品:感覚共有子機
剣士Lv.21か、やっぱりアキラに先を越されていた。Lv.20に上がったばかりの僕は、少し悔しい。そして魔素量(M P)はゼロ、アキラはヒト族の典型だ。
(続く)




