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その1 お披露目の日

女神様との驚きの遭遇(そうぐう)、そしてまさかの先輩からの告白。昨日のことさ。

僕のカーラへの想いが、ミリア先輩に見透かされていたのも、驚かされたっけ。

僕って、そんなに分かり易いかな。一体どうしてバレたかな。今度 先輩に聞いておこう。もしかしてカーラにも気づかれていたなら、嫌だものな。


色々なことがありすぎて、その時には頭が回らなかったけれど、よく考えればあの感覚共有(かんかくきょうゆう)子機(こき)がパーティメンバー全員に配られるって、これは一大事件だぞ。


生き物係スキルは置いておくとして、パーティ全員が賢者のスキルが使えるとすれば、これは(すご)いことだよね。

ミリア先輩なんて、早速おでこに子機を埋め込んで、爺っちゃんとやりとりしていたもの。先輩なら僕より魔力も大きいから、きっと威力の大きな魔法を経験できるだろうし、練習中の光属性だって習得が早まるだろう。


実際には爺っちゃんが魔法術式を組んで発動するにせよ、使う魔素はこちらのもの。魔力の流れを追体験(ついたいけん)できるので、まるで自分が魔法を駆使しているような思いがする。

僕が高度な回復魔法を使った時も、そうだった。一度 施術した経験があれば、ぐっと自信が深まる。次からは、自分一人でもやれる気がするくらいだ。


でも、しばらくはミリア先輩と話すのも、何だか気恥ずかしい。あんなに綺麗な大人の女性が、こんな僕を夫にしたいだなんて。本当なのかな。

もっと先輩に似合う、素敵な男性はいないものかしら。

少し落ち着いたら、話し合ってみるのもいいな。あの人なら、僕の話をちゃんと受け止めてくれる気がするよ。


さて、明日の休日は、パーティの皆んなに女神の機械のお披露目をしなければならない。先輩からは、僕から説明するように指示されているのさ。

僕 どんな顔をして、ミリア先輩と、そしてカーラと会えばいいのかな。意識してしまいそうで、困ったな。


まあでも、話すことは決まっているし、要はパーティ全体でどう活用するかだ。

飛竜のバウラも呼ばなけりゃな、この僕の部屋じゃ四人は入れても飛竜が一緒だと狭すぎるよね。バウラはまだ子供の飛竜だけれど、カーラを乗せて飛べる程度には大きいもんな。


天気が良ければボットを持ち出して、外の公園にある東屋(あずまや)を使おうか。僕は、明日の説明の段取りを考え始めた。


 ◇ ◇ ◇


朝食の食堂で顔を合わせたパーティ仲間に、今日の時間と場所を伝えた。ミリア先輩は、あんなことがあったのに何気ない顔で対応してくれた。

やっぱり先輩って、大人だ。僕は、きっと緊張した顔をしていたよね。

カーラには、バウラにも声をかけてと頼んでおいた。お披露目の時間は、お昼を食べてからと決めたんだ。


休日の午前中に、急いで宿題を済ませた。

早めに昼食を掻き込んで、僕は自室に急ぐ。ボットに呼びかけて、爺っちゃんに外の公園までついて来てくれるように頼んだ。


自室を出て、職員用の宿舎から出て、公園に歩く僕の後から、小型ボットがふよふよと浮かんでついてくる。当然周りの目に触れるけど、もう今の時代 ボット自体は特に珍しいものではなくなっている。

でも、公共の場には設置されていても、一般家庭の全てに普及しているわけではない。まあそこは、治療院と学校を経営する賢者ジロー一族の一人だからね、僕だって。


公園の東屋では、もう三人と一匹の仲間が全員集まって、近づく僕を見ている。いや、僕の後ろを付いてくるボットが、やっぱり目立つのだ。

「ジローは、流石に名門のお坊ちゃまだよなぁ、俺たちの歳で自分のボットを持っているなんて、お前だけだぜ。」アキラが、さっそく冷かしてきた。


僕はボットを、東屋の真ん中にある机に置いた。

「まあね。これは爺っちゃんが使っていたボットを、僕が受け継いだのさ。爺っちゃんが母星から乗ってきた船の備品だから、もう百年以上も前の機械だよ。」

「そんなに古いものなのか、確かに使い込まれた雰囲気はあるよな。」


さあ、その爺っちゃんに、登場願うとするか。僕は机の上のボットに呼びかけた。

「爺っちゃん、出てきてよ。」

ボット表面が明るく灯り、画面にお馴染みの爺っちゃん:AIジローの顔が浮かぶ。


「やあ、皆さんお揃いだな。ミリアさんとは、先ほどまで魔法で遊んでおったのだが、、、」

「はい、お祖父様(おじいさま)。たくさん学ばせていただきました。」ミリア先輩が、ボットに頭を下げた。ははあ、さては爺っちゃんに賢者級の魔法を使わせて、魔素の流れを体験していたな。勉強熱心なことだ。これで先輩の魔法は、ますます磨きがかかるのだろう。


さてそれでは、いよいよ女神の機械のお披露目と参りますか。

(続く)

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