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401話:異世界転移者たちへの誘い


「アリウスさん……それって元の世界に戻れるってことですよね?」


「本当におまえたちがいた世界かどうか確証はないけど、その世界に行きたいなら連れて行ってやるよ」


 前世と思われる世界について少し解って来たので、俺は佐藤(まこと)たち異世界転移者にちにそのことを話をした。ロナウディア王国でエリクが保護している水原七瀬(みずはらななせ)も『自由の国(フリーランド)』に連れて来た。


「魔力が使える奴がいたから所謂(いわゆる)並行世界って可能性もある。それでも俺が前世で住んでいたマンションはあったし、ミリアの前世の母親もいた。おまえたちの家族に会えるかも知れない」


 アリサとフレッド、魔王アラニスといった俺が知っている転生者たちにも伝えたけど、反応は微妙だった。それぞれ事情があるだろうし、転生者したから前世の世界と直接繋がりがある訳じゃない。だから行きたいなら連れて行くとだけ言っておいた。


「元の世界の可能性があるなら、私は行ってみたいわ」


 七瀬が真っ先に飛びつく。ずっと元の世界に戻りたがっていたからな。


「私は……家族に会えるなら戻りたいです……」


 小野寺小百合(おのでらさゆり)が声を絞り出すように言う。人と喋ることが苦手な小百合も、こんなチャンスを逃したくないんだろう。


「あーしは微妙かな? 家族に会いたいって気持ちはなくはないけど、こっちの世界を知っちゃうと、元の世界は退屈なんだよね」


 ギャルの小鳥遊優里亜(たかなしゆりあ)の反応は軽い。そももそ優里亜から元の世界に戻りたいって話を聞いたことがないからな。


「それは僕も同意ですね。せっかく強くなったのに、元の世界にはダンジョンなんてないでしょう?」


 オタクの誠は異世界転移したことに喜んでいたから予想通りの反応だ。


「軽くネットで調べた限りはダンジョンに関する情報はなかったな。だけど公安の覚醒者対策課を名乗る奴らが、海外の組織が日本に魔力の強い奴を送り込んで工作しているって話をしていたよ。だから向こうの世界も俺たちの感覚とは違うんじゃないか」


 俺は月島たちがミリアの魔力に気づいて、銃を持って部屋に乗り込んで来たことを話す。


「公安や海外の組織の連中が魔力を使うって……それって本当に俺たちがいた世界の話ですか?」


 藤崎冬也(ふじさきとうや)が訝しそうな顔をする。冬也は一度異世界転移して元の世界に戻った経験があるけど、元の世界に魔力を使える奴がいるなんて聞いたことがないらしい。


「だから並行世界って可能性もあるって言っただろう。実際に行ってみた感覚だと微妙なところだが、俺たちが知らなかっただけで、向こうの世界にも元々魔力が存在していた可能もある」


「結局のところ、実際に行って確かめるしかないってことじゃん! ねえ、アリウス。お試しで行ってみて、こっちに戻って来るのもあり?」


「一度行くくらいなら構わないけど、タクシー代わりに使われるつもりはないからな。俺には他にもやることがあるから、そんなに暇じゃないんだよ」


 俺には5人の妻と子供たちがいて『自由の国』の国王でもある。その上、この世界では異世界転移者が多発している真っ最中なのに、別の世界のことばかりにかまけている場合じゃないだろう。


「そうだぜ、優里亜。アリウス先輩は忙しいんだ」


「トーヤは(うるさ)いっつーの。あーしもそれくらい解っているし。けどアリウスは優しいから、少しくらいならワガママ言っても聞いてくれそうじゃん!」


「そういうところが図々しいって言っているんだ!」


「まあまあ二人とも、アリウスさんが困っているだろう」


 誠がフォローしようとするけど。


「いや俺は別に困っていないよ。優里亜が我がままを言っても聞く気はないからな」


「アリウス、あーしの扱い悪くない?」


「僕の扱いも微妙に悪い気が……」


「そうか? 話が進まないから、俺が先に進めるからな。とりあえず、行きたい奴だけ向こうの世界に連れて行く。一週間後に俺はもう一度向こうの世界に行くから、こっちの世界に戻りたい奴はそのときに教えてくれ」


「お試しは一週間ね……あーしも興味あるし、行くだけ行ってみるわ」


「それなら……アリウスさん、僕も行って良いですか?」


「勿論、おまえだけダメって筈がないだろう」


 結局、この場にいる五人全員が向こうの世界に行くことになった。

 誠たちが行ってみて、向こうが元々いた世界だと解ったら、他の異世界転移者も誘ってみるつもりだ。俺が全員を連れて行く義理はないから、できる範囲ってことになるけど。


「さっき公安の話をしたけど、向こうの世界では魔力が強いだけで拘束される可能性がある。できるだけ魔力は隠した方が良い」


 冬也は意外と用心深いらしく、別の異世界から元の世界に戻ったとき、ずっと魔力を隠していたらしい。冬也のレベルを考えれば、あの世界が冬也が元々いた世界なら、魔力を隠していなかったから公安に見つかっていただろう。


 この五人の中で七瀬は『異世界転移者特典』というスキルを発動したことがないし、小百合は発動しても、ほとんどレベルを上げていない。だからそこまで目立たないと思う。

 冬也は一番レベルが高いけど、魔力の隠し方が良く解っている。問題なのは誠、優里亜の二人だ。この二人は五○○レベルを超えているけど、魔力を隠すという感覚を持っていないみたいだからな。


「強制的に魔力をなくす魔導具を貸そうか? 本来は相手の魔力を封じるモノだけど、ロックをしなければ自分で外せるんだよ」


 公安の月島たちにも使った魔力を封じる首輪を人数分出す。使う使わないは本人に任せることにした。





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