399話:覚醒者対策課
3人の女子がアッサリと退散した後、俺とミリアはスパリゾートを楽しんだ。
「アリウス、お風呂がプールになっているのって新鮮ね!」
2人でウォータースライダーを滑って、お湯の中に飛び込む。スピード的にはイマイチだけど、さすがに勝手に加速する訳にはいかないからな。
流れるプールをゆったり周った後、露天風呂を堪能する。水着で露天風呂って違和感があるけど、海外だと普通らしいからな。
夕飯は居酒屋風の店で刺身と天ぷらに鍋を食べる。飲み物は純米酒だ。
前世で酒に拘りはなかったけど、こうして前世の世界に戻ってみると、日本酒が妙に美味く感じる。
「口当たりが良いから、すーと飲めるわ。日本酒って美味しいのね」
ミリアも気に入ったみたいだな。
「日本酒も種類によって結構味が違うみたいだけど、確かにこの酒は飲みやすいな」
「そこまで期待していなかったけど料理も全部美味しいし、この店って当たりじゃない?」
俺が大量にメシを食べるのはいつものことだけど、ミリアも結構食べていた。シメに寿司を食べた後、ジェラートまで堪能する。
部屋に戻るとシャワーを浴びてから飲み直す。今度はサッパリしたスパークリングワイン。どんなに酒を飲んでも俺のステータスなら酔わないけど、味が美味いから楽しめる。
「こんな風に2人きりでいるなんて、みんなには悪いけど……アリウス、本当にありがとう。アリウスが私の実家に連れて行ってくれたから……お母さんに会えるなんて思ってもみなかったわ」
ミリアが俺の肩に頭を乗せる。
「お母さんに会えたのは偶々だけど、俺もミリアと一緒過ごせて楽しかったよ」
俺とミリアは互いに引き寄せられるように唇を重ねる。このままベッドに――なんて雰囲気を壊すノックの音。
ホテルの授業員なら先に電話があるだろう。勿論俺たちを訪ねて来る知り合いがいる筈がない。ミリアが警戒して身構える。
「プールにいるときから視線を感じていたけど、こっちの世界で誰かに目をつけられたってこと?」
やっぱりミリアも気づいていたんだな。ナンパ目的とは明らかに違う視線を感じていた。俺たちを監視している感じだ。
『索敵』の反応で部屋の外に2人いることは解っている。しかも相手はそれなりの魔力がある。
こっちの世界に魔力がある奴がいても不思議じゃない。俺たちの世界にやってきた異世界転移者の中には、他の世界に転生して戻ってきた奴がいた。そもそも前世の頃は知らなかっただけで、元々魔力のある奴がいるかも知れないからな。
『認識阻害』と『透明化』を発動して『短距離転移』で部屋の外に出る。
部屋の前にいるのは20代半ばの男と女。2人ともダークスーツを着ていて、男の方は刈り上げた髪で目つきが鋭く、女の方はポニーテル―で眼鏡の地味な感じ。
魔力は男の方が大きいけど、総合的なステータスでは女の方が上だ。
廊下には監視カメラがあるけど、扉のわきで壁を背にして銃を構える2人がすでに壊したらしい。だったら姿を隠す必要もなかったと思いながら2人が気づく前に意識を奪う。
「おまえたちは何者で、目的は何だよ?」
2人の銃を奪って首に黒い首輪を嵌めてから魔法で意識を覚醒させる。この首輪は魔力を封じる魔導具だ。暴れられると面倒だから手足も縛った。
「魔力が使えないだと……俺たちに何をした!」
「秋人、ちょっと落ち着きなさい。この状況じゃ相手に従うしかないわ」
「私たちは公安覚醒者対策課に所属する者です。目的は貴方を拘束することです。これほどの魔力を持つ方を放置する訳にはいきませんので」
眼鏡の女が言っているのはミリアのことだ。俺は魔力を隠しているから気づいていないんだろう。
女の話だと海外の組織が日本に魔力の強い奴を送り込んで様々な工作をしているらしい――ここが本当に俺たちの前世の世界か疑うような話だ。だけど前世の俺は魔力なんて考えたこともなかったから、知らなかっただけって可能性もある。
久しぶりに新作を書きました。良かったら読んでみてください。
『ダンジョンマスターじゃなくて、ダンジョンメーカーに転生しました。~冒険者が攻略するのを眺めるだけのニートだった俺、覚醒したスキル『テストプレイ』がチート過ぎた~』
https://ncode.syosetu.com/n0562lp/




