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393話:世界の扉

 更新が遅くなりました……事情は言えませんが、察して貰えると嬉しいです。ここからはWeb版の続きをゆっくり書いていくつもりです。章分けは後でしますが、前話が1年近く前で内容的にも違和感があるのはスミマセン……


「俺が死んだのは五年前なのか……別の世界だと(・・・・・・)時間の流れる速さが全然違うんだな」


 俺は『異世界転移門(アストラルゲート)』を発動して、前世と思われる世界に来ている――


 今世界に多発している異世界転移。誰が仕掛人なのか想像がついているし、異世界転移者の対処はどうにでもなる。だけど俺は知的好奇心から異世界転移について調べていた。


 だけど異世界転移は最近始まったことで、調べると言っても転移した本人に訊くくらいしか情報はない。本人に訊いたところで、自分の意思じゃなく強制的に転移された奴が情報を持っていないのは当然だろう。


 そこで思いついたのが、アラニスに頼んで異世界転移した瞬間に立ち会うこと。アラニスは世界中の魔力を感知できるから、強い魔力を持つ異世界転移者が出現したら居場所が解る筈だ。


 だけどアラニスが異世界転移者の魔力を感知しても、『伝言(メッセージ)』を貰って俺が向かったときには異世界転移は完了していた。


 そんなことを何度も繰り返した後、アラニスの『伝言(メッセージ)』に書かれていた場所は最初の最難関(トップクラス)の近く。即座に『転移魔法(テレポート)』を発動して向かうと、空中に光の門が開いていた。


 光の門を『解析(アナライズ)』したら理解できた。異世界転移って意外と単純な理論(ロジック)なんだな。要は膨大な魔力を注ぎ込んで強制的に二つの世界を一時的に繋げるだけだ。繋いだ世界の座標も解析済みだ。


「ここって……どこなんですか? ていうか……日本語が解る人っていませんか?」


 黒髪をショートカットにした制服姿の女子が不安そうな顔で俺を見上げる。彼女は新たな異世界転移者だ。このまま放置する訳にはいかないだろう。


「そんなに心配しなくても君の言葉は理解できるよ。俺はアリウス・ジルベルト。君のような異世界転移者が増えているんだ。今はまだ元の世界に戻れる保証はないけど、君のことは俺が保護して安全な場所に連れて行くと約束するよ」


 この日は彼女を『自由の国(フリーランド)』に連れて行って、アリサに保護することを頼んだ。『自由の国』には他にも異世界転移者がいるから問題ないだろう。


 そして翌日、俺は『解析(アナライズ)』した情報を元に光の門――『異世界転移門(アストラルゲート)』を開いた。


 転移した先はどこか懐かしい感じがする場所。見た目は前世の世界に近い。


 俺はこの世界について調べることにした。まずは『収納庫(ストレージ)』の中の金貨一枚を前世の記憶を元に買取りショップに持ち込んで換金する。金の値段が高騰しているらしく、金貨は想定していた以上の値段だった。


 本来なら換金するには身分証明書が必要らしいけど、俺が持っていないと言うと何故かそのまま換金してくれた――今の俺は銀髪と氷青色(アイスブルー)の瞳で、身長は2mを超えている。ヤバい外国人だと思われれたんだろう。


 次に向かったのはネットカフェ。ここなら金さえ払えば情報収集ができる筈だ。会員証を作るときにまた身分証の提示を求められたけど、ないと言ったら直ぐに席に案内された。文句を言うと問題を起こす外国人が多いってことか? 俺にとっては都合が良いけど継続的にこの世界に来るなら、身分証明書はどうにかしないと。


 とりあえず、ネットカフェのPCで情報を調べる――どうやらここは俺の前世の世界か、それに類似していた世界らしい。俺は25歳で過労死したけど、検索したらその情報が出て来た。少なくとも前世の俺は、この世界に存在したってことだな。


 今さらのことだし前世に未練はない。母親はとうに他界しているし、父親とはずっと会っていなかっからな。だけど俺の常識が通じる世界なら活動しやすい。


 ミリアは俺と同じ転生者で前世で幼馴染みだった。アラニスとアリサ、フレッドも転生者だ。知り合った異世界転移者たちも、ここが元の世界なら戻れる方法が見つかったなら喜ぶだろう。異世界転移者にとって元の世界だって保証はないけど。


 それでも『異世界転移門(アストラルゲート)』の仕組みか理解できたら、異世界転移者の元の世界の座標が解れば戻すことができる。


「とりあえず情報は集めたから……帰る前にこの世界を少しだけ堪能するか」


 俺がアリウス・ジルベルトに転生した世界よりも、この世界の時間の流れは明らかに遅い。この世界で過ごした時間の何倍も転生した世界の時間は経過する。


 俺は駅前のバーガーショップで買物をして帰ることにした。時間が流れる速度の違いも『解析(アナライズ)』すれば原理が解って解決できるかもしれない。


 『異世界転移門(アストラルゲート)』を再び開いて戻ると、こっちの世界では二日が経過していた。


「アリウスなら大丈夫だと思っていたけど……二日もいなくなったら心配するわよ」


 ミリアたちみんなが俺を心配して駆け寄る。


「みんな、心配させて悪かったな。だけど想定の範囲だから問題ないよ……これは前世の世界のお土産だ」


 バーガーショップで買ったハンバーガーとポテトとシェイクを、みんなと子供たちに渡す――俺は5人の奥さんと6人の子供がいる28歳だからな。


「アリウス、もしかしてこれって……〇〇〇のハンバーガーとポテトなの?」


 ミリが信じられないって顔をする。


「そうだよ。何だったら、次は△△か××××のハンバーガーを買って来るけど?」


 前世で過労死した俺にとって、ファーストフードは主食だったからな。


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