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55話:目的


 灰色ローブの首がいきなり飛んで、襲撃者たちが騒めく。

 だけど、こいつらも素人じゃないからな。直ぐに襲い掛かって来た。


「悪いけど、おまえたちは後回しだ」


 俺は『認識阻害(アンチパーセプション)』と『透明化(インビジブル)』を再び発動する。

 『索敵(サーチ)』の反応が大きい残りの17人を、こいつらに邪魔をされずに『鑑定』するためだ。


 17人の『鑑定』が終わると、灰色ローブの次に危険度の高い奴のところに短距離転移する。

 『索敵』の反応の大きさはレベルとイコールだけど。レベルは強さの目安に過ぎないし、レベルが高い方がみんなにとって危険とは限らないからな。


 そいつは癖のある金髪の30歳前後の女子。いや、髪の毛よりも胸元が大胆に開いたボンテージな革鎧の方が目立つけどな。

 443レベルでスキル構成は斥候というよりも暗殺者だ。『認識阻害』と『転移魔法(テレポート)』も使えるから別荘に侵入されると面倒だからな。


 『認識阻害』と『透明化』を解除すると、女は直ぐ俺に気づいた。


「あんたは!」


 即座に攻撃するのはさすが400レベル台だけど、動きが遅過ぎるんだよ。

 女が反応できない速度で剣を振って一撃で仕留める。


 その後も暗殺者と魔術士から優先的に仕留める。暗殺者はボンテージ女と同じ理由で。魔術士は灰色ローブほどじゃないけど面倒な魔法を使うからだ。


 暗殺者はシルクハットと口髭の紳士的な40代の男と、前髪が長い目立たない感じの20代の男。

 魔術士は、三角帽子を被った如何にも魔術士という感じの20代の女子と、ブラストよりも身長が高いけど異様に痩せた30代の男。あとは三白眼で皮肉な笑みを浮かべる20代の男だった。全員攻撃される前に倒したけどな。


 暗殺者と魔術士を一掃したら、あとはレベルが高い順に仕留める。

 高速移動と短距離転移を繰り返して、周りの邪魔な奴らの間を擦り抜けて行く。


「てめえ、いきなり現われやがって!」


「この数を相手に勝てると思っているのか!」


「俺を殺しに来るなんて、良い度胸してるじゃねえか!」


 残りはほとんど戦士系だったな。何か言ってたけど全部無視した。

 魔物使い(テイマー)を仕留めたときは、そいつが使役していた魔物(モンスター)が暴走して。魔物も先に仕留めることになって、ちょっと面倒だったけどな。


 『索敵』の反応が大きかった20人を仕留めると。上空から他の奴らも一応『鑑定』してから、短距離転移で別荘に戻る。


 俺が全部仕留めることもできるけど、今回の主役はエリクだからな。

 戦いに私情を挟むつもりはないけど。そもそも俺の目的は襲撃者を倒すことじゃなくて、みんなを守ることだからな。

 まだ伏兵がいる可能性もあるし、俺はみんなの傍にいるつもりだよ。


「アリウス、早かったね。襲撃者の様子を聞かせてくれるかな」


 別荘に戻ると、エリクが広間で待っていた。他のみんなも襲撃のことを知らされているようで、護衛と一緒に集まっている。


 エリクの傍を固めているのは侍女兼護衛のベラとイーシャだけだ。

 エリクの騎士と諜報部の連中、あとは別荘の護衛兼任の侍女と使用人たちは、防衛のために配置についている。まあ、そいつらの位置も『索敵』で解ったんだけどな。


「襲撃者たちは、まだ別荘から2kmの地点にいるよ。今混乱しているから、ここに来るまでまだ時間が掛かるかな」


「混乱しているって、アリウスが何かしたってことよね?」


 ミリアがジト目で見る。まあ、したけどな。


「面倒な奴を先に片づけただけだよ。人数は20人で、あとは魔物を12体だな」


 護衛たちが騒めいているけど反応が微妙だ。ブラストとドラゴンを倒した後だから、意外と少ないと思っているのか。


「アリウス、ありがとう。君のおかげて戦いが楽になるよ。だけど君が言う『面倒な奴』の中に、ヨルダン公爵は含まれていないんだよね?」


 エリクは俺の何をしたのか解っているみたいだな。


「ああ。ヨルダン公爵の相手はエリクがやるんだろう。邪魔するつもりはないよ」


「そうだね。あとは僕に任せてくれるかな」


 エリクはいつもの爽やかな笑みで応えた。


「アリウスなら大丈夫だって思っていましたけど、無事で何よりです」


 ソフィアは心配そうな顔をしている。


「ですが、貴方も少しは休んでください。私たちを守ってくれるのは凄く嬉しいですが、無理をして欲しくはないんです」


「そうよ。もう面倒な奴らは倒したんでしょう? エリク殿下も任せろって言ってくれているんだから、アリウスは休みなさいよ」


 ミリアも心配してくれていることは解るよ。


「ああ。そうさせて貰うよ。ソフィア、ミリア。俺のことを心配してくれて、ありがとう」


 心配させて悪かったなって言うところだけど。俺はお礼が言いたかったんだよ。


「そんなこと……私は何もしていませんから」


「そうよ、アリウス。お礼を言うくらいなら心配させないでよね……」


 2人の顔が何故か赤い。まあ、素直にお礼を言われると恥ずかしいからな。


※ ※ ※ ※


アリウス・ジルベルト 15歳

レベル:????

HP:?????

MP:?????

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