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341話:殺人蟻


 『転移魔法(テレポート)』を発動して。俺たちが次に向かった先は、ギルモア大陸北西部の荒野。


 この辺りに人が住んでいる街や村はなく。魔物の生息地体が彼方まで続いていることは確認済みだ。


「とりあえず、少し移動してみるか。適当な魔物に遭遇したら、みんなで狩りを始めよう」


 みんなと一緒に空中を移動すると。巨大な蟻塚を発見する。蟻の方は巨大と言っても体長2m程度だけど数が多い。余裕で1,000体以上いるな。


「『殺人蟻(キラーアント)』か。個体としては大した強さじゃねえが、数が多過ぎるし。これだけ数がいると変異種も混じっている筈だぜ。アリウス、てめえ……どうするつもりだ?」


「どうするって。今日は魔物狩りに来たんだから。狩るに決まっているだろう。それに『殺人蟻』って、災害指定種の魔物だよな?」


 『殺人蟻』はあらゆるモノを食い尽くすと言われていて。その地域のモノを全て食い尽して荒地に変えると、移動して別の場所に蟻塚を造る。

 まさに自然災害のような存在で。ハンターズギルドには、『殺人蟻』を見つけ次第討伐するように常に依頼が出ている。


 俺は全員が入るように『絶対防壁アブソリュートシールド』を展開して。『殺人蟻』が待ち構える地上に降りる。


「『絶対防壁』の中から魔法を撃っても、内側からは通過するようにしたから。みんな、攻撃して問題ないよ」


「安全なところから攻撃するなんて。フェアじゃない気もするけど。わざわざ危険を冒す必要もないわね」


「そうだね。アリウス君が守ってくれるなら。遠慮なく、魔法で攻撃させて貰おうかな」


 エリス、ソフィア、ノエルの三人が一斉に魔法を放つ。三人が放った範囲攻撃魔法が、『殺人蟻』を次々と仕留めて行く。


 しばらく戦っていると。他の『殺人蟻』よりも明らかに巨大な個体が出現する。体長は5mを超えて、全身が金属のような外骨格に覆われている。


「やっぱり、変異種が出て来やがったぜ。アリウス。『殺人騎士蟻(キラーナイトアント)』は魔法耐性が強いから、結構厄介だぜ」


 『殺人騎士蟻』は100レベルを超える魔物で。それが10体以上向かって来るけど。


「いや。これくらいなら、問題ないよ」


「『深淵の門(アビスゲート)』!」


「『地割アースブレイク』!」


 ソフィアが闇属性魔法で『殺人騎士蟻』の動きを止めて。ノエルが土属性魔法で起こした地割れが『殺人騎士蟻』を飲み込んで、圧し潰す。


 エリスは複合属性魔法『流星雨(メテオレイン)』で、周りの『殺人蟻』ごと纏めて『殺人騎士蟻』ごと仕留めている。


「ミリアは戦わなくて良いのか?」


「私は接近戦がしたいんだけど。アリウスがそう言うなら。とりあえず、魔法攻撃にも参加するわ」


 ミリアが発動したのは、光属性第2界層魔法『輝きの矢(シャイニングアロー)』。昔からミリアが好んで使う魔法で。第2界層魔法だと侮る奴もいるけど。高界層の魔法の方が単純に強い訳じゃないからな。


 出現した光の矢は20本を超えていて。魔力を集束させた光の矢の群れが高速で、『殺人騎士蟻』に全弾命中。外骨格を易々と貫いて、全身をズタボロにして。『殺人騎士蟻』の息の根を止める。


「ミリアらしい魔法の使い方だな」


「アリウスにそう言って貰えると嬉しいわ」


 ミリアは10界層魔法も使えるけど。学院に通っている頃から、ずっと魔力操作の鍛錬を真面目に続けていて。それがミリアの強さに繋がっている。

 今のミリアなら、シンディーたちとも互角に戦えるんじゃないか。


「やっぱり。アリウスの嫁は、ジェシカの姉御(あねご)以外も、全員一筋縄じゃ行かねえみてえだな」


 シンディーにも、みんなの実力が解ったみたいだな。


 『殺人騎士蟻』を全滅させて。『殺人蟻』も粗方仕留め終わると。


 巨大な蟻塚が突然崩れて。さらに巨大な蟻が中から出現する。体長は20mを余裕で超えていて、腹の部分が異様に肥大化している。


「こいつが女王蟻か」


「ああ、ご名答だ。『殺人女王蟻(キラークイーンアント)』。こいつを()らねえと、『殺人蟻』は幾らでも増えるからな。最優先で仕留める獲物だぜ」


「じゃあ、シンディー。今度こそ、俺とおまえたちが一緒に戦う番か。ミリア、ヨハン。おまえたちも来るか?」


「うん。アリウス、私も一緒に戦うわ」


「ええ。ご一緒させて頂きます」


「こいつは、あたしらの獲物だ。アリウス、てめえらを待つつもりはねえぜ。ケイナ、ギジェット!」


「おい、シンディー。アリウスと一緒に戦って話だっただろう?」


「うるせえ、そんな話は忘れたね。あたしの実力を見せてやるよ」


 ギジェットが肩をすくめる。まあ、シンディーが大人しく従うとは、初めから思っていなかったけど。


「行くぜ!」


 シンディーは地面を蹴って跳び上がり。魔物の骨で出来た2本の剣で、斬撃を飛ばしながら。『殺人女王蟻』の巨大な身体を駆け上がる。


「シンディー、援護する!」


 弓使いのケイナは魔力を込めた矢を連射して、『殺人女王蟻』の頭を狙う。


「こうなったら、やるしかねえな」


 巨漢の戦士ギジェットは、自分の身長よりも長くて分厚い刃の大剣使いだ。この大剣はドラゴンの骨で出来ているらしい。

 ギジェットは『殺人女王蟻』の正面に立つと。スキルを発動して、大剣から魔力が視覚化されて迸る。意外というか。こいつは3人の中で、戦い方が一番派手だ。






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