表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

210/612

205話:1年半が過ぎて……


 それから1年半が過ぎて――


「魔神シャンピエール。最近、あんたも強くなったんじゃないか?」


 魔神シャンピエールが支配する魔界の国アンゴルネーゼ。俺とシャンピエールと戦って。シャンピエールは床に大の字に転がっている。


「アリウス・ジルベルト……嫌味を言うな。なんだその上から目線は!」


 魔神シャンピエールは憮然としているけど。


「いや、そんなつもりはないって。シャンピエールが強くなったのは事実だろう。だけど俺はもっと強くなりたいから、鍛錬を続けているだけだよ」


「シャンピエール、貴様もさらに研鑽して己を磨けば良い。それだけの話であろう?」


 俺たちの戦いを眺めていた魔神エリザベートが、獰猛な笑みを浮かべる。


「では次は、私とアラニスの番だな」


「エリザベート陛下。お手柔らかに頼むよ」


 魔王アラニスは巨大な魔力の塊を出現させて、不敵に笑う。


 俺はこの世界の魔神と神に匹敵する力を手に入れた。

 俺が力を手に入れまでに、『RPGの神』が色々仕掛けて来ると思ったけど。魔神シャンピエールとの一件以来、この世界の魔神や神が何か仕掛けて来ることはなかった。


 腕試しということで。魔神ナイジェルスタットや魔神ニルヴァナと戦うことはあったけど。ナイジェルスタットとニルヴァナは殺し合いというよりも、戦いを楽しんでいる感じだった。


『『RPGの神』にとって誤算だったのは、この世界の魔神と神が強過ぎて甘言に乗らなかったことと。アラニス・ジャスティアが、アリウスと同じように魔神や神に匹敵する力を手に入れたことだ。アラニスが強くなれば、ゲームに勝つためにアリウスを殺す理由がなくなるからな』


 『ダンジョンの神』が言っていたけど。たぶん、そういうことだろう。


 俺は乙女ゲー『恋愛魔法学院』、通称『恋学(コイガク)』の世界に。攻略対象の1人であるアリウス・ジルベルトとして転生して。

 『恋学』の攻略対象として生きるんじゃなくて。この世界で強くなろうと思った。


 そしてグレイとセレナと出会ったことで、純粋に強さを求める生き方があることを知って。俺はどこまでも強くなりたいと思った。

 圧倒的な強者である魔王アラニスと出会って、アラニスと対等になる強さを目指して。 この世界の魔神と神の存在を知って、みんなを守るために魔神や神よりも強くなろうと思った。


 魔神や神に敗けない力を、手に入れたからといって。これで終わりという訳じゃなくて。むしろここがスタートラインだと思う。

 魔神たちも鍛錬することで、さらに強くなろうとしているし。俺はもっと強くなりたいからな。


 だけど、とりあえずはこの世界の魔神や神が何か仕掛けて来ることもないし。この世界を創った『神たち』も大人しくしている。


 俺はさらに強くなることを目指しながら。魔神や神に匹敵する力を手に入れるために、しばらく放置していた他のことにも、これからは携わろうと思う。


「エリス、待たせて悪かったな」


「アリウス、構わないわよ。貴方を待っている時間も楽しかったし。これからは待った分だけ、目一杯幸せになるから」


 俺とエリスは結婚した。俺とエリスは別に盛大な結婚式を挙げたいとか、思っていなかったけど。エリスはロナウディア王国の元王族で公爵だし、俺も王国宰相の息子だから。周りが祝福してくれるのを、無下に断わる訳にもいかないからな。


 結婚式はロナウディア王国の王宮で行われて。勿論、俺の家族とロナウディア王国のアルベルト国王に、グランブレイド帝国皇帝夫妻、エリクとカサンドラ・ルブナス大公、バーンにジークとサーシャ。グレイとセレナまで参加してくれた。


 ゲイルやアランとか冒険者仲間たちは、堅苦しい貴族の結婚式は苦手だと。カーネルの街の冒険者ギルドで、二次会をしてくれるって話だ。

 魔王アラニスのところには、エリスと2人で挨拶に行こうと思うし。魔神エリザベートにも、結婚の報告をしようと思っている。


 まあ、結婚してもエリスはマリアーノ公爵のままだし。俺は『魔王の代理人』を続けて行くつもりだ。

 俺が魔界にいる間、エリスは魔族との交易を進めてくれたけど。人間と魔族の争いが終わった訳じゃないからな。


「アリウス、エリス様、おめでとう。だけど次は私たちの番だからね」


 ミリアが悪戯っぽく笑う。


「そう、そうだよ、アリウス君。私もまだ諦めてないからね」


「そうですね。これからはもっと積極的に攻めますから」


「アリウス、覚悟していなさいよ」


 ノエル、ソフィア、ジェシカも。俺とエリスを祝福しながら、こんなことを言っているけど。

 確かに俺の家にはみんなの部屋があるし。ほとんど毎日、みんなと会っている。

 俺にとってエリスが特別なことは変わらないけど。みんなのことが大切で、何があって俺はずっとみんなを守っていきたいと思う。


 案の定、俺がみんなを囲っているとか。女たらしだとか言われているけど。別に俺は気にしていないし。

 エリスが『アリウスはみんなを幸せにするわよ。だから何の問題も無いわ』って言ってくれているからな。


 いや、俺はみんなを守りたいだけで。俺がエリス以外のみんなを、幸せにするってのは、少なくとも今のところは別の話だけど。


※ ※ ※ ※


アリウス・ジルベルト 20歳

レベル:26,085(+8,205)

HP:276,825(+87,167)

MP:422,210(+132,942)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ