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ビリーとキャサリン。時々ウィル。

スライム ビリーの冒険

作者: 那由他

銘尾 友朗様 「笑顔でいこう企画」参加作品。


「あたたかな妖精」のスライム ビリー視点ですが単品で読めます。

深い眠りから覚めるように唐突に意識が浮上した。


ココはどこ? ボクはだれ?

まわりに大きな木がたくさんあるね。

森の中かな?

ボクの身体は…

青くてちっちゃくてプルプルしてる。

あっちの子も同じだ。

知ってる! スライムだっ!

ボクたち、みんなスライムなんだ!


ボクが載ってるのは人間の本だった。

ほとんどボクが食べちゃったけど。

…ところであの子は何を食べてるのかな?


「こんにちは」「……」


試しに声をかけてみたの。

返事ない。…行っちゃった。

あの子はずっと土や岩を食べているね。


…おいしいのかな?

ボクもちょっと味見しよ……ペッペッペッ!!

不味い不味い、死ぬほど不味い!!


スライムはこれを食べてるの?

本はおいしかったけど、もうあんまりないよ。

もっとおいしいものはないの?

お話できる友達もいないみたい。

いないなら探しに行けばいいんよね!

見たら本の模様がちょっとだけピカピカしてたの。

これをあげて友達になってもらおう!


あっちこっち見てもあんまり変わらない。

取り合えず、お日様のいる方向に行こ!


どっこいしょどっこいしょと進んた。

そっと振り返るとさっきまでいたところと変わらないや。

でも目立つ!

頭の上にピカピカをのせてたら、ボクは森で一番目立つスライムなんだから。


空から黒い鳥がが降ってきた。

「おぃっガキ! それ寄越せ!」

「???」

「頭に載せてるキンキラだよ!」

「はい。どうぞ」

「なかなか俺様好みのキンキラしたもんじゃないか! でかしたそ坊主!」

「気に入った?」

「うん。…お前喋れるのか? …こりゃあ珍しい! 喋れるスライムかよ?」

「普通は喋れるスライムはいないの?」

「そりゃあ、そうさ!世界で一番頭が悪い魔物だからな!」

「じゃあ、ボクと話してくれるスライムはいないの?」

「いないさ。…お前寂しいのか?」

「寂しいって何?」

「一人ポッチな奴のことだよ」

「鳥さんがボクと友達になってたくさんお話してくれる?」

「オイラはジャック。流れ流れの旅烏さ!

今日は何処の旅の空! 港々に女が待ってる! 地上を歩く暇なんかないのさ!」

「……そうなんだ」

ボクの世界にはボクしかいないね。

話すことのできる誰もいないよ。

ずっと一人でいなきゃならないんだ。

これが寂しいってことなんだ。


「まぁ、いいもんもらったからな。オイラが一肌脱いでやるぜ! 来なよ!」

 ジャックはボクを前足でつかむと空を飛んだ。


「すごぉぉぉいっ! 速いよっ! 飛んでるよっ! さっきまでいたとこがあんなに遠いよっ!!」

「オイラの翼は韋駄天より速いのさ!」


ジャックは大きな木の前に前に降りてきた。

キラキラした網がお日様に光って綺麗なの。

「ここには森一番の物知りのお婆がいるんだぜ!」

「うん。ワクワクする!」


「おーい!アラクネのお婆! 客だぜ!」

「なんだいジャック? いつも騒がしいねぇ」


上から降りてきたお婆はジャックの二倍大きかった。

黒いクモの体にお婆さんの顔。

お尻から糸を出して逆さまだし、ボクなんかペロッと一口だろうな。

……うん。怖いね。


「こいつは喋れるスライムなんだ!」

「ふーん。どうやって喋れるようになったんだい?」

「気がついたら本を食べたんだよ。そのせいかもしれない」

「そりゃあ、運が良かったじゃないか?」

「ボク、運がいいの?」

「魔物に踏まれたらスライムなんざすぐに潰れて死んじまうからね。知恵があれば生き延びられるってもんさ。それで何が問題なんだい?」

「聞いてくれよ、お婆! こいつは寂しいんだってさ! 一緒にいて話してくれる友達が欲しいんだってさ!」

「誰が最弱のスライムの友達になるのさ? みんな毎日食べて生き残ることに精一杯なんだよ?」

「頼むよ、お婆! オイラはキンキラをもらっちまったんだ!」

「まったくあんたは光り物に目がないねぇ。まぁ、あんたにゃ世話になってるからね。知恵を貸してやろうじゃないか!」

「頼むぜ、お婆! オイラはこの木をちょっと掃除してくら!」


ジャックが飛び立って大木の掃除を始めた。

お婆はウンウンと考えてる。

ボクはポケッとしてるだけ。


「閃いたぁぁぁっ!」


突然のお婆の大声にボクは飛び上がった。

頭の上に逆さまにいるし、お婆やっぱり怖いよ。

すかさずジャックが舞い降りてきた。


「それで、どうすりゃいいんだ?」

「人間のところに行くんだ!」

「なんで人間なんだい?」

「人間は可愛いからという理由だけでペットを飼う」

「スライムが可愛いんか?」


二匹揃ってボクを見るけど、わかんないよ(泣)


「可愛くておとなしくて役に立つなら従魔にしてくれるかもしれない!」

「その前にペチャッとされないか?」

「小さな子なら大丈夫かもしれない! できれば女の子がいいねぇ?」

「オイラっ! 町の真ん中のでっかい家にピカピカした女の子を見たぜ!」

「さすがジャック! 光り物には目がないね!」

「さすがお婆! 問題解決一瞬だぜっ!」


いきなりジャックが翼を広げボクを掴んで飛び立った。

ほえ、ほえ、ほぇぇぇっ!


アワアワしてる間に森を抜け町に入り、お城みたいな家についた。

お日様がよく当たりそうな二階の窓にボクを掴んで下ろしてジャックが言う。


「じゃあな! 頑張りな!」


ほえ、ほえ、ほぇぇぇっ!

行っちゃったよ。

可愛くておとなしくて役に立って?

ボクに何ができるの!?

取り合えず窓から中をのぞいたらピカピカした髪の小さな女の子がいた。


「!?」


女の子がボクに気づいた。

そろそろと近寄ってきた。

おそるおそる窓を開ける。

何か取りに行った? 物差しだよ!

ボクはギュッと目を閉じた。


つんつん。…つんつん。

ペチャッとされないみたい。

ボクはゆっくり目を開けた。


「かわいいっ! あたちのペットにするっ!」


子猫みたいな可愛い女の子が、花が咲くような笑顔で言った。

ボクを可愛いって言ってくれるの?


「あなたのなまえはビリーなのっ!」


ビリー。 ボクの名前はビリー。


名前をくれてありがとう。


女の子の名前はキャサリンだった。


ボクはずっとずっと小さな可愛いキャサリンと一緒にいるよ。


ボクは必ずキャサリンの役に立つ。


ボクは絶対にキャサリンの笑顔を守るんだ。

魔物の中でビリーが一番頭がいい!?


「スライムいるしファンタジーでもいいかも?」

と朗読して言われたのでジャンルは適当(笑)


お読み頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「笑顔でいこう企画」から来ました。 ほんわかさせていただきました。(*´∀`) ビリーがんばれ!
[良い点] 銘尾友朗様の「笑顔でいこう企画」から拝読しました。 作品全体が優しい雰囲気に包まれていて、文章も読みやすく、とてもほっこりした感じで楽しく読めました。
[一言] 出てくるキャラクターたちがみんな優しくて、ホンワカしました。 本を食べて知識を増やせるスライムだったら、キャサリンのブレーンになって無双しそう…! とも思いましたが、このお屋敷で食べるのは美…
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