真摯 (side : 黄泉)
ようやく追い着いた。
リタお姉様の仲間である弓術士、デューレさんに。
彼女の行き先は見当がついていたので、あとは道程に位置する町や村で手掛かりを得ながら追跡を続けたのだ。
そして辿り着いた、デュノー皇国の首都から程近い村。
真夜中になってしまったが、僕は急ぎ会いに行く事にした。
目的の場所までが目と鼻の先でしかない以上、悠長にしていられない。
一刻も早く、合流しなければならない。
彼女が滞在する宿に忍び込み、その部屋に入った。
そして、話をする筈だった…
「光の精霊…」
デューレさんが呼び出した精霊によって、暗い部屋が明るく照らされた。
明るい部屋で初めて会う彼女は、とても美しかった。
可憐なエルフの美少女。
有りがちな形容だけど、それ以外に思い当たらない。
サラサラの金髪、長い睫毛と澄んだ青い瞳。
全てが整った顔立ちに見合う、すらっとしたスレンダーな肢体が眩しい。
魔神にも美しい者はそれなりに居た。
しかし彼女やリタお姉様のお二人に比べれば、やはり見劣りがするのは否めない。
もう一人の戦乙女も同様に綺麗な人だったら、絶世の美少女勢揃いって事になる。
そんな方々と共に戦えるなんて、凄く感激だ!
なんて思ってたんだけど……
その灯りは、全裸になった僕の身体も鮮明に映し出している。
恥ずかしい事この上ないけれど、デューレさんの信用を得なければ意味がない。
今は堪えて、我慢するしかない。
「まだ、凶器になる物を隠してないかしら?」
「え…? 僕、もう裸になってますけど?」
いったい何を言っているんだ、この人…
全てを晒しているのに、どうやって隠せるんだ?
左手に真紅のナイフを構えながら、デューレさんは僕に歩み寄る。
「確認させて貰うわよ…?」
そう言い放つと同時に、彼女は空いた右手を僕の胸に伸ばした。
「あっ…!え、ええッ!?…ん…んッ!」
思わず変な声を出してしまった。
デューレさんの掌が、僕の胸を揉み始めている。
リタお姉様と愛し合った時の事が思い浮かびそうになる…
「この無駄に大きな胸は本物の様ね…」
やっと解放された…?
恥ずかしさ、もどかしさで身体がおかしくなりそうだ。
そうか、胸の中に何かを忍ばせていないか確認していたんだ。
デューレさんは真面目に調べているだけだ。
無駄に大きい僕の胸が悪い。
それなのに、僕って奴は変な気持ちになるなんて…!
「こ、これで信じてくれましたか…?」
荒くなる息遣いをしながらも、彼女に尋ねた。
「…他にも隠せる所を確認するわよ?」
再び、デューレさんは冷たく言い放った。
他に、隠せる場所…?
またもや、意味が解らない。
「大きく口を開けて、舌も出しなさい…」
そうか、口の中を確認するんだ。
流石はリタお姉様の仲間だけはある。
この見事な注意深さ、僕も見習わきゃいけないな。
胸を揉まれ、変な気分になりかけた自分が情けない。
デューレさんは怪しい僕に対して、真摯に対処しているだけなのに…
「ん…! んんんッ! んッ…!」
「うん、口の中にも無いわね…」
デューレさんの細い指が僕の舌を摘みながら、上下に引っ張る。
それと同時に彼女は僕の口の中を確認していた。
駄目だ、また変な気持ちが昂ぶってしまう。
敵かどうかを見極めている作業をしているデューレさんに対して失礼だ。
落ち着くんだ、黄泉!
僕は必死に自分に言い聞かせていた。
「次が最後の確認よ…? これが終わったら、アンタが味方だと信じてあげる」
デューレさんの鋭い視線は、僕の股間に向けられていた…




