表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水の戦乙女(アクア・ヴァルキリー)   作者: らいとふっと
9/175

婚約


「ローラン……ローラン……!」


彼の名を何度も口ずさみながら、逞しい背中を抱き締める。

勝手に自分の身体がクニャクニャと動いてしまう。

もう自分でも、何が何だか判らない。


意識せずとも、私の顔はローランの顔に近付いて行く。


互いの唇が重なるまで、あと10センチ…。

あと5センチ…。

あと…!




あぁ…これが私のファーストキス。


遂に……遂に……!





「落ち着いて、セーラ!」


ローランの唇に吸い付こうとした刹那、彼は私の肩を優しく押し戻す。


「……えッ?」


突然、現実に戻ってしまう。

あと僅かだったのに…!



「セーラ、巫女様である貴女(あなた)を…(けが)す訳にはいかないんです」



違います。

私がローランを穢そうとしております。



どこまでもピュアな朴念仁なイケメンには、直球ストレートを投げるしかない。

少女マンガのヒロイン達がそう教えてくれた。


だから、想いを伝えよう。



「私、ローランが好き。 私が…ローランに抱いて欲しいの!」


咄嗟に出た台詞。

これが私の人生初めての告白だった。


真っ直ぐローランの瞳を見つめる。

照れるけど、直視する!


ほんの数秒の時間。

ローランと見つめ合う僅かな時間。


それはまるで、永遠に続くかの様に長く感じられた。



「セーラ……僕なんかにそう言ってくれるのは…心から嬉しい。 ですが…僕は貴女(あなた)に誓いました。 何があっても守り抜くと」


慎重に言葉を選びながら、ローランは私に語りかけてくれる。


うん、何となく解るよ。

これ、振られちゃうやつだ…。


雌豚ちゃん完全敗北バッドエンド。


さらば私の初恋…。




「だから…セーラと結ばれるのは、魔王を倒してからです。 それで良いですか?」




はい?

今、何と言いました?

私ってば、聞き間違えました?




「それでは…僕から改めて言わせて下さい。 魔王を倒したら、僕と結婚して頂けませんか?」




はい、これは夢ですね。

私は自分の部屋で寝てるんだわ、うん。


こんな幸せな夢なら醒めなくて良いですよー?




そして、私はベッドに卒倒した。



「だ、大丈夫ですか!セーラ!」


慌てて私を覗き込むローラン。


嬉しい!

嬉しい嬉しい嬉しい!






「はい…。 私、ローランのお嫁さんになります…!」


もはや正常な思考が出来なくなった私には、そう答えるのがやっとだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ