豹変 (side : リタ)
「あ、そういえば名乗ってなかったね。僕の名前は黄泉。斬撃の魔神って呼ばれてるよ」
大剣を振り回しながら、ニコニコと微笑む褐色の少女。
この可愛い僕っ子が魔神だとは、俄かに信じ難い。
「ほう…。三巨頭でもない雑魚魔神が、儂に何か用かの?」
「傷付くなぁ、その言い方!でも、これから貴女を倒すから昇格するかもしれないよ?」
何処からこんな自信が湧いてくるのだろう…。
「ところで、さっきの糸の攻撃には気付いてるよね?」
「地獄蜘蛛の糸か。姑息な真似をしよってからに…」
儂の周辺に張り巡らせた糸。
それは地獄に生息するという蜘蛛が作り出す。
この糸は、あらゆる魔素を吸収して強度を増すという。
儂がいかなる強力な魔法を唱えようと、無効化されてしまうシロモノであった。
つまり、この一帯は魔法が全て打ち消されてしまう。
絶対防御の盾も、既に消えてしまっている。
「じゃ、死んでよ!大賢者!」
黄泉は一瞬にして儂の懐に入り、巨大な剣を振りかざす。
「うわぁ、今のを避けちゃう? やっぱ凄いな! 僕、ワクワクするよ!」
「成る程…腕は確かな様じゃな?」
間一髪、回避して距離を取る。
近接戦闘に於いては、デューレにも引けを取らない速度。
強がってはみたが、黄泉の強さは本物であった。
並の魔法使いなら、これでチェックメイトだっただろう。
「魔法が使えない貴女をいたぶるのは卑怯だけど、許してね!」
「フン、この程度はハンデをくれてやっただけじゃ。」
不本意ながら、アレをやるしかない…。
儂が封印した、アレを…。
「次は絶対に避けられない一撃で行くからね!」
黄泉がそう言った瞬間、彼女は驚異的な速さで儂の傍に移動していた。
そして、大剣が儂の胴体を真っ二つに……
刹那…!
「その程度で…私を殺れるとでも思ったかしら?」
黄泉の目が見開かれ、そう呟く私の姿に絶句している。
私は、幼女であった身体を本来の姿に戻したのだ。
肉体的には20歳、全てに於いて絶頂期の姿に。
黄泉の斬撃など、スローモーションなお遊戯に見える。
勇者と共に戦い抜いたこの身体。
魔法が使えなくとも、こんなヘッポコ魔神に遅れを取る事は欠片も無い。
「さて、黄泉ちゃん…。おイタが過ぎた分、お仕置きの時間にしましょうか?」
黄泉は完全に気圧されていた。
魔族の本能が、明らかに格が違う相手を前にして危険を知らせているのだろう。
「あ…ああ…! 嘘!そんなのって…」
手足が硬直し、唇を震わせながら恐怖を感じている。
黄泉は一瞬にして逃亡を図った…筈だった。
ガッチリと彼女の手首を握る私。
握っていた大剣が離され、地面に落下する。
「ガハッ!?」
黄泉の腹部に拳をめり込ませた。
暫くの間は呼吸も困難だろう。
それでも逃げようとする彼女を羽交い締めて、地面に叩きつける。
全ての動きが見え見えなのだ。
そして、今の私は勇者仕込みの格闘術を身につけている。
魔神である褐色の少女は、未熟な自分の愚かさを知った事だろう。
死の恐怖に支配され、震えながら私を仰ぎ見る事しか出来ない。
このまま殺してしまうのも良いが、本来の身体が別の行為を要求している。
「ねぇ、黄泉ちゃん? 私、100年分も溜まっちゃってるの…」
「溜まってるって…いったい……」
「フフッ、決まってるでしょ…性欲よ?」
涙目の黄泉に覆い被さると、面積の少ない黄泉の服を剥ぎ取る。
揺れながらその胸が露わになる。
「私、女の子も大好きなのよ。黄泉ちゃんみたいな可愛い子が特にね……!」
「……ん!……んん!?」
黄泉の柔らかな唇を奪う。
そして、欲望の渦へと堕ちて行くのだった。
リタ、お前もか〜 /(^o^)\




