解答 (side : リタ)
デューレのお陰で、遠い記憶が脳裏を掠めてしまう…。
セーラ、デューレ、そして儂自身。
奇しくも3人が等しく、愛する者を失った女であるのだ。
セーラは聖戦士である若き英雄、ロヘラングリン王子を。
デューレは先代の弓術士である叔父、リディマーを。
そして、儂は……。
100年もの昔、セーラと同様に異世界から彼はやって来た。
その名は、勇者フィーグ。
元の世界では、空飛ぶ鉄製の鳥の操縦士だったらしい。
ディノー皇国に於いて召喚された青年。
当時の儂はディノーの皇女。
先程のメアリとも、実は血縁関係である。
メアリは弟の子孫、甥の曾孫となる。
今更、そんな事実を明かすつもりは全く無いのだが。
自慢話になってしまうが、その類い稀なる美貌から『ディノーの白薔薇』などと当時は呼ばれておったな…。
勇者フィーグと儂は出逢い、そして恋に落ちた。
儂はフィーグを愛し、フィーグも儂を愛してくれた。
いつしか将来を誓い合ったのも必然の流れであった。
魔王との戦いに赴く勇者フィーグを傍らで支えるべく、儂は皇女ながらも修練に励み始めた。
元から魔法の才能は皇国随一であった儂には、ただ彼を待ち続ける選択は出来なかったのだ。
数年の後、大賢者へと相成る事が出来た。
勇者と共に魔王討伐に旅立つべく、皇女の地位をも捨てた。
聖戦士、戦乙女、弓術士の残る四聖人も合流。
そして、魔王軍との熾烈な戦いが始まった。
それは悍ましい戦争であった。
幾つもの国が滅び、数え切れないほどの命が失われた。
魔王直属の幹部である魔神三巨頭との戦いでは、聖戦士と戦乙女も犠牲となって散っていった。
遂に、魔王との最後の決戦の時。
儂は、あの時……。
魔王によって殺されたのだ……!
その直後、フィーグが刺し違える形で魔王は討ち取られた。
満身創痍、死の間際であったフィーグ。
彼は、ディノー皇国の秘宝を使って儂を蘇らせた。
再び目を覚ました儂が見たのは、力尽きた勇者の姿。
メアリが言っておった『復活の宝珠』は、儂を蘇らせる為に使われていた。
これが使用出来るのは、残念ながら一度限り。
現在、皇国に残っている物は決して贋作では無く、もう使う事が出来ないだけなのだ。
フィーグは儂を生かした。
儂は、この命の意味を考え続けた。
平和を享受する…?
彼の分も幸せに生きる…?
何れも納得は出来なかった。
フィーグの居ない世界で、遺された儂がやるべき事。
そして、ようやく辿り着いた答え。
再び魔王の脅威が世界を蝕む時、もう一度戦う事であった。
100年後の世界まで生き抜く為、肉体を不老とした。
フィーグが愛してくれた自らに決別する為、子供の姿となって。
「下らぬ記憶が蘇ってしまったのう…」
そう呟きながら、儂は渓谷に広がる青空を眺めるのだった。
今回で10万字を突破しました。
初のオリジナル長編をエタらず執筆出来るのも、ブクマや評価を頂けた数少ない皆様のお陰です。
サブヒロインの物語が長くなっておりますが、引き続きご愛読頂けましたら嬉しい限りです。




