雌豚
「こんな夜更けにどうしました…?」
ベッドに座っている寝間着のローラン。
私に優しく声を掛けてくれた。
未開の林で弱い怪物を相手の特訓。
疲れ果ててリタイアしたけど、その夜。
私は意を決して、ローランの部屋に訪れたのだった。
旅の先々での宿泊は、私に別室を用意してくれている。
しかし!
それも今日で終わりにするのだ!!
明日からは若き男女が同室で、同じベッドでぇぇぇ!
ハイ、一瞬トリップしました。
お風呂にも2回も入ったし、あんな所もこんな所も綺麗にした。
無駄なお毛々も完っ璧に処理したし、準備は万端バッチコイよ。
「うん…ちょっと眠れなくてさ。 良かったら…少しお話しでもしてくれないかな?」
俯きながら、上目遣いでローランに尋ねる。
「ええ、構いませんよ」
ローランは笑顔で答えてくれた。
(……………)
とは言ったものの、何処に座ったら良いのだろう?
この部屋、ベッドとクローゼット以外は何もない。
いきなりローランの横、一緒にベッドに座ったりしたらドン引きされたりしないかな?
(………………………………)
ハイ、テンパりましたー!!
あああぁぁぁぁ!
勢いだけで部屋に来ちゃったけど、肝心な事が欠落してましたですよ。
私、恋愛経験が全くないじゃん!
お兄ちゃん以外の男の子とは手を繋いだ事もない…。
知識だけはお兄ちゃんのムフフグッズをコッソリと拝見してたから人一倍あると思うんだけど、そもそも処女だし…。
ピッカピカの未使用新品…。
こういう状況での対応とか、一体全体まるで解らないよーッ!
(…………………………………………)
「僕の横で良ければ…どうぞ、座って下さい」
テンパりまくりで心臓バクバクな私に、ローランが救いの一言。
やっぱスマートだなぁ…。
君はどこまでもイケメン。
元の世界で同じ学校とかに通ってたりしたら、私なんか近付く事も出来ない存在なんだろうなぁ。
そんな事を考えながら、私はいそいそとローランの右隣に腰を下ろした。
ニコニコと私を笑顔で迎えるローラン。
(ああああぁぁぁーーーッ、カッコ良過ぎるぅーーーッ!)
もう、ホンッッットに……ヤバイ!!!
多分、私はもう濡れてる。
グッチョグッチョに濡れてると思う。
ショーツの中を確認する訳にはいかないけれど。
ガバッと抱き付きたい!
その唇を奪ってしまいたい!!
引き締まった細マッチョな筋肉を、隅々まで堪能したい!
「セーラ…あの、上手く言えないんですけど…」
もはや肉欲に支配されている私に、ローランが声を掛ける。
「え…? 何、どうかした?」
ふと現実に戻った私は、少し裏返った声で返事をしてしまった。
「僕はずっと…巫女様に会いたいと思っていました。 そして…ようやく出会えた」
「……うん」
恥ずかしくて思わず俯いてしまう。
「憧れの巫女様がセーラで、本当に良かったと思っています。 美しくて可憐で…そして自らの運命に立ち向かう強さを持っている」
ちょ!ちょッッッ!?
これって何ですか?
課金しまくりの乙女ゲーですか?
私が美しい…?
私が可憐…?
私が強い…?
いくらなんでも、過剰評価が過ぎるですよ!
今、きっと顔から火が出てます。
今、きっと頭から湯気が出てます。
プツン!
私の中で、何かが弾けた。
「ローランッ! ローランッ!」
本能に支配された雌豚ちゃんと化した私は、遂にローランに抱き付いてしまったのだった。




