判断 (side : デューレ)
「それじゃ、先ずは服を脱いじゃいましょ〜!」
ここは率先してあげないとね。
服を脱ぎ始めたアタシから、目を背けちゃうレイきゅん。
そのお顔は既に、真っ赤になっちゃっている。
「デューレお姉ちゃん…はつたいけんって、裸にならないと出来ないの?」
「ん〜、裸にならないと出来ない訳じゃないんだけどね。 もしかして、マニアックな着衣プレイの方が良いのかな〜?」
いつもなら邪魔者1号がここでツッコミを入れたりするのだが、今は居ない。
そして邪魔者2号によって未遂に終わらされてしまうのだが、こちらも今は居ない。
遂に念願の時がやって来た!
デューレお姉ちゃんの夢が叶う!
「デューレお姉ちゃん、涎が出てるよ…?」
あら、失礼…! アタシとした事が…
ま、いいや。
それでは、頂きまーす!
「デューレ様〜〜!大変なのですぅ〜!」
ガクッ!
レイきゅんに覆い被ろうとした瞬間、邪魔が入ってしまった。
リタ婆の使い魔だ。
「何なのよ、お楽しみタイムを邪魔するなら切り刻むわよ?」
「それどころじゃないのです〜! 外を見て下さ〜い!」
使い魔に言われた通り、渋々と窓から外を伺う。
「って、嘘…でしょ?」
そう呻くのがやっとだった。
街から10キロ程度は離れた位置に、凄まじい数の怪物の大軍勢…!
海に面したこの街を包囲する様に、その大群がこちらに進軍していた。
弓術士であるアタシの目なら、この距離でも怪物達の構成が確認出来た。
先陣を切るのは多頭蛇、巨大蠍等の巨大種。
続いてゴブリンやオーク等の亜人種。巨大な喰人鬼や不死身鬼も混じっている。
他にも数多くの魔獣の混成。
その数、ざっと7〜8万というところか。
一目で理解した。
これだけの多種にわたる怪物が、普通なら徒党を組む事は有り得ない。
間違いない…
遂に、魔王軍が動き出した…!
よりによって、セーラっちとリタ婆が不在の時に!
なんて、文句を言ってる場合じゃない。
「アンタは直ぐ、皇国兵の駐屯地に連絡して! それから、冒険者ギルドにも! 戦える者は総力で街を死守!」
使い魔にそう告げながら、急いで服を着る。
リタ婆が帰還するまで、アタシが何とかしなきゃならない。
「レイきゅんは此処から動かないで!」
嵐弓フェイルノートを担ぎ、私は屋上に向かう。
街の防衛体制が整うまで、何とか時間を稼ぐ。
魔王軍が街に到達するまでに、少しでも数を減らす。
一人でこれだけの数を殲滅するのは、どう考えても無理だ。
それでも、やるしかない。
敵陣に突っ込んでの混戦になるだけに、レイきゅんは此処に置いていく。
この時の判断が、後に取り返しのつかない事態となってしまうのだった。




