魅了
しかし、このユニコーンとやら…
全く協力してくれそうな気配すら皆無だ。
いったいどうすれば良いのやら。
「用が済んだのなら、早く帰ってくれないか?」
挙げ句の果てにはコレだよ…
「終わってない! アンタは気に入らないけど、アンタの力が必要なのよッ!」
こうなったら、実力行使するしかない。
神剣ジュワユーズを持っていて正解だった。
ユニコーンが身構えるより早く、瞬時に水の鎖を使って拘束。
「これは…! どういうつもりだい?」
「どうもこうも無いわ。 アンタが拒否しようが、協力して貰うだけ」
動けないユニコーンに向かって、私は歩み寄る。
「愚かな…。 煩悩塗れの上に好戦的、救いようが無いね」
何とでも好きに言えば良い。
リタの命が掛かっているのだ。
ああそうですか、と帰る訳にはいかない。
ユニコーンの角に狙いを定め、ジュワユーズを構える。
と、その時だった。
「やめて下さい!」
声と共に背後から、一人の女性が現れた。
いや、一人だけじゃなく…4、5、6。
全部で7人も居る…
全員がまだ10代の女の子達に見える。
今の私と同じく、一糸纏わぬ全裸。
種族も人間、エルフ、獣人とバラバラだが、どの子も眼を見張るほどの美少女揃いだ。
殺気を全く感じないので、彼女達の存在に気付けなかった。
ユニコーンを庇う様に、一斉に私の前に立ち塞がる。
「ユニコーンを虐めないで!」
「乱暴な人は帰って下さい!」
「ユニコーンは私達が守るわ!」
突然の乱入に、私は困惑を隠せなかった。
彼女達はいったい…?
「この子達は、僕と契りを結んだのさ。 此処で永遠の時を生きるという契りをね」
契り…?永遠の時…?
いったい、何の事なのだろうか?
「彼女達は美しいだろう? しかし、その美しさには限りが有る。 時間の流れと共に、醜く老いてゆく…」
ユニコーンは語り出した。
「僕の力で誰かを救う代償に、此処に残って貰ったのさ。この結界内では時間が進む事は無い。 外界で醜く老いてゆくより、彼女達にとって幸せだと思わないかい?」
時間が…進まない?
彼女達の…幸せ?
違う…
そんなのは、幸せじゃない。
大切な人と一緒に、時間の流れに身を委ねる。
共に老いてゆきながら、沢山の思い出を創る。
私は、それが幸せだと思う。
彼女達は自ら、そんな生け贄になる事を望んだとでもいうのだろうか…?
「いや、誰一人として納得はしていなかったよ。 だから、僕が魅了したんだ。 愚かな考えで、美貌を失わない様に」
魅了…?
って事は、ユニコーンのせいで…此処に閉じ込められている!?
「女である限り、僕の魅了に抗う事は出来ない筈なんだけどね。 実は君にも魅了を試みたんだけど、その剣が邪魔をしていて効果が無い様なのさ…」
神剣ジュワユーズが…私を守ってくれていた?
それにしても、その身勝手さには堪忍袋の緒が切れた。
魅了した美少女達を侍らせて、ハーレムを作ってるだけだ。
まさに、女の敵。
「この子達を解放しなさい! さもなくば…」
ユニコーンを拘束している水の鎖を伸ばし、その角に巻きつける。
「アンタの角をへし折るッ!」




