処女
私が処女かどうか…?
リタは何を考えているのか、全く解せない。
魔王軍の襲来で王国が壊滅、レイきゅんは攫われの身になっている状況。
そんな中、脳天気な事を尋ねるなんて…
普段の彼女らしくない質問に、今は怒りさえ覚える。
「そんな事はどうでも良いでしょ…。 それよりも、聖獣とやらは何処に行ったら居るの!」
思わず、怒鳴り声を上げてしまった。
「どうでも良くはない。 お主に接触して貰いたい聖獣、奴は純潔な乙女…つまりは処女にしか心を開かないのじゃよ」
処女にしか、心を開かない?
拗らせたオジサンみたいな伝説獣ではないか…
「人を襲い、殺めるのが魔獣。 人を救い、癒すのが聖獣じゃ」
人を救う…?癒す…?
直ぐに浮かび上がったのは、ポ○モンだった…
黄色いヌイグルミみたいなアレが、頭の中でピカピカ言っている…
違うな。うん、アレとは違うと思う。
「お主に接触して貰いたいのは、ユニコーンという聖獣でな…」
「ユニコーン…?」
「あらゆる毒や呪いを解く力を持つ伝説の聖獣じゃ」
リタはユニコーンについて、詳しく語り始めた。
聖獣ユニコーン。
一見すると、額から角が生えた白馬。
その知能は人間以上に高いが、処女以外には近寄る事すら許さない。
その角には、あらゆる毒や呪いを浄化する力を宿しているという。
魔神の毒に侵されたリタを救う、唯一の方法。
それはユニコーンの持つ浄化の力のみ。
「……行くわ。 で、何処に行ったら良いの?」
私はリタの要請を快諾した。
それは、自ら処女であると答えたのと同じである。
しかし、今はそんな事を恥ずかしがっている場合じゃない。
「うむ…宜しく頼む。 聖獣が身を隠しておる場所は、エルフの族長が知っておる筈じゃ。 先ずはエルフの村落に向かってくれ。」
エルフの族長…デューレの父親の事だ。
ドラゴン討伐の折、世話になったのが遥か昔にさえ感じる。
「それから…お主の純潔を奪わなかった聖戦士にも、今は感謝せねばなるまいな」
ローラン…
私からローランに迫った夜、あの時の恥ずかしい記憶が蘇る。
思い出しただけでも、顔から火が出そうだ。
もしかしたら、今回の様な事態も想定しての事だったのかな?
ともあれ、次にやるべき事は決まった。
デューレと初めて出逢った森、ハイエルフの集落に向かう。




