攻略
「戦乙女、消え去る準備は出来たのか?」
嗤い顔を見せつける慟哭。
その歪んだ笑みは相変わらず、下衆い。
「しっかし、相手がオメェで良かったわ。 正直、風を操る弓術士じゃなくて良かったぜ…」
風を操る…弓術士…。
デューレの事を言っている…?
「俺の能力でも唯一、空気だけは消滅させられねぇ。 つまり…風属性を持つアイツと当たりゃ、一方的にボコられてたって訳だ…!」
空気は、消滅…させられない…?
「だってそうだろ? 自分の周りの空気がねぇと、俺でも窒息しちまうって! 自らの能力ながら原理は知らねぇがな…」
そうか…。
あの消滅フィールドの中に、空気が…有る。
「俺の弱点を知ったところで、水属性のオメェには万が一にも勝ち目はねぇがよ!」
「そっか、解った…。 もう、終わりにするから」
私はそう告げながら、慟哭の元へと歩み出す。
「ヒヒッ! 覚悟を決めたかッ!」
私がフィールド内に入ろうとするのを、目を見開いて注視する慟哭。
一歩、また一歩。着実に進んで行く。
そして、遂に…。
消滅フィールドの中に入った私。
「へ…? 何故だ、何故オメェは平気なんだよ…?」
至近の距離に居る私に、驚愕の眼差しを向ける。
「お、俺の能力が…効かねぇだと? 馬鹿な…、そんな馬鹿なッ!?」
信じられないとばかりに、慟哭は後退りを始める。
「近くに来てあげたのに、逃げないでよ…?」
更に歩み寄りながら、私は慟哭を睨み返した。
「そんな? 俺の力が…効かねぇ奴がいる訳がねぇッ!」
「ちゃんと効いてるわよ? アンタの消滅の力は…ちゃんとね」
既に私の勝ちは揺るぎない。
相手が自ら弱点を教えてくれたお陰で。
「ど、どうなってやがる!オメェはいったい!?」
「空気を消せないアンタの負け、それだけよ…」
神剣ジュワユーズを構える。
「オ、オメェは水属性だろうがッ? 空気に何の関係がッ!」
「面倒くさいな…。 ま、最後に私からも教えてあげるわ」
そこまで言うと、先ず…!
「グァッッッ!?手がッ!俺の手がッッ!?」
慟哭の左腕を切断した。
切り落ちた肘から下は、本人の能力で瞬時に消滅する。
「空気の中には水分が含まれてる。 それを水に変えて薄く全身に纏ってる。 アンタの力が水を消滅させるより速く、次々と水を創り出してるだけ」
無敵と思えた消滅の魔神の攻略法。
その答えは極めてシンプルなものだった。
片腕を無くし、尻餅を着いた慟哭。
それは、魔神が恐怖に慄く姿だった。
私は戦乙女になって良かったと、改めて思った。
こんな下衆い奴に、自ら手を下せるのだから!




