表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水の戦乙女(アクア・ヴァルキリー)   作者: らいとふっと
53/175

悪夢 (side : レイ)


薄暗い廊下にボクは居た。


何処なのかは知らない。


だけど、何度も来た事がある。

目の前にあるのは、部屋への入り口。


この部屋の中での記憶は消したくても、消えてくれない。


背伸びをすれば、ギリギリに届くドアノブを回す。

ドアを開けて、恐る恐る中を伺う。


女の人の声。一人ではなく三人だ。

どの声も、ボクがよく知っている声。


だけど、こんな高い声を出すのは此処でだけ。

少なくともボクの前では、誰もこんな声は出さない。



嫌だ…怖い…!


でも、確かめなくてはいけない。


理由は解らない。

でも、それは大切な事だった気がする。


そんな思いを胸にして、暗い部屋の中を進む。



寝室。

その部屋は寝室だった。

豪華な姿見やドレッサーなどの調度品が目に入る。


その奥に大きなベッドが見えた。

ベッドの上には複数の人影。




やっぱり怖くて引き返したくなる。

でも、確かめなくてはならない。


もう一度、勇気を振り絞って前に進む。




人影がだんだんと、はっきり判る様になってゆく。


そして…






「あッ…ああッ…ンンッ!」


艶めかしい声を出すのは…セーラお姉ちゃんだった…!

何も身に着けずに肌を露わにしている。


セーラお姉ちゃんは誰かの腰に跨がり、自らも腰を必死に動かしていた…





「セーラ…お姉ちゃん…?」


思わず声を出してしまった、お姉ちゃんの名前。

それでも、誰もボクの声を気にも留めようとしない。



セーラお姉ちゃんの下にいる人が、その綺麗な胸を両手で鷲掴みにした。


セーラお姉ちゃんと交わる人の逞しい腕が目に入る。

大人の男だというのだけは解る。


だが、その人の顔は何故か見えない。



いったい誰なんだ?

こんな事をするアイツはいったい…!?



ボクの目には涙が溜まってゆく。

ボクの好きな人…セーラお姉ちゃんが…アイツと!



子供のボクでも、何をしているのかは理解出来た。

前にデューレお姉ちゃんが教えてくれたから。




そして、アイツの背後にも人影が見えた。

誰なのか、やっぱり確かめたい。


もう一歩近付いてみる。更にもう一歩。





「セーラっち、次はアタシだからね!」


デューレお姉ちゃん…!



「次は儂じゃろうが!割り込むでないわ!」


リタお姉ちゃんまで…!



2人共、やはり全裸だった。惜しげもなく胸を露わにしている。

腰を動かし続けるセーラお姉ちゃんを、アイツの肩越しに羨ましそうに眺めている。





いったい何なのだろうか?


何故、ボクはここに居るんだろうか?


どうして、こんな光景を目の当たりにしているのだろうか?



また…今日も…胸が張り裂けそうに……!








「……………ッ!?」


ガバっと上半身を起き上がらせていた。


いつもと同じベッドの上。

リタお姉ちゃんの塔の中にある寝室だ。


両脇を見ると、セーラお姉ちゃんとデューレお姉ちゃんが眠っている。



「ん…どしたの?レイきゅん…?」


ボクが起き上がった事に気付いたのか、デューレお姉ちゃんも目を覚ました様だ。

その長い耳がカサカサっと動いた。


そうか、エルフは人間よりも感覚が鋭いんだった。




「…怖い夢でも見ちゃったの?大丈夫だから…ね?」


そう言うと、ボクをギュッと抱きしめてくれる。


甘くて良い匂い。

いつまでもこうしていて欲しくなる。



これが、現実。

さっきまでのは、夢。



こんな夢を見たなんて、お姉ちゃん達には言えない。

絶対に言ってはいけないと思う。



でも、この夢を見るのは何度目なのだろう。

今日とは違って、デューレお姉ちゃんやリタお姉ちゃんが交わっている夢もあった…



大好きなお姉ちゃん達が、誰か解らないアイツと…

思い出しただけでも、涙が溢れそうになる。



でも、言ってはいけない。

こんな夢の事なんかで、お姉ちゃん達を心配させちゃいけない。


それが『素敵な人になる』第一歩なんだ。





「心配しないで? レイきゅんは、アタシが必ず守ってあげる。 それが…あの人との約束だもん…。」


デューレお姉ちゃんの綺麗な声。

それは、ボクの中に心地良く響き渡った。




そういえば、お姉ちゃんが時々言っている『あの人』って誰なのだろう…?


そんな事を考えながら、ボクは再び眠りに就いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ