最強
しかし…デカい!
そのあまりにも巨大な魔獣にとっては、私達なんて蟻んこ程度の認識かもしれない。
「セーラ!無事じゃのッ!」
上から、空飛ぶ箒に乗ったリタの声。直ぐに降下して私の横に降り立つ。
「予想以上じゃ…。 いや、そんなものでは済まぬ! 此奴が暴れ回ったら世界は終わる! 魔王以上に脅威となる存在じゃ!」
「でも、1匹だけだよ?」
「一旦は退却する! 儂の後ろに乗るのじゃ!」
私の返答を無視して、退却する気満々なリタ。
この怪獣、魔王より強いの?
だとしたら…
大魔獣を倒したら、私は魔王にも勝てるって事かな?
もしかして、私が最強になっちゃう?
突如、巻き起こる巨大な竜巻。
それは大魔獣の巨体を襲う。
が、全く効果は無い様に見て取れた。
その強固な身体には、デューレが操る風の力すら無力であった。
「早くせんかッ! デューレが足止めしてくれとる間にッ!」
リタの絶叫。
あれ? リタ、なんでそんなに焦ってるの?
私は冷静だった。
そりゃ、最初に巨大な姿を見た時はヤバイと思ったけどさ。
よくよく考えてみれば、水属性の力が負ける要素は皆無だし。
「リタ、サクっと倒してくるから待っててね?」
「な、何を言っておる? 儂らがどうこう出来る理を超えた存在なんじゃぞ!」
リタの制止に耳を貸さず、私は神剣を掲げた。
大気中に含まれる水分を凝縮して、水を生成。
それが私の能力。
湿度がゼロでもない限り、無尽蔵に生成出来る。
それを自由な形にして維持出来る。
水流や奔流を作り出し、そして水圧もコントロール可能。
この、水圧ってのが一番大事。
「いっけぇーーッ!ジュワユーーズ!!」
思わず叫んだ愛剣の名前と共に、水の奔流が発生する。
轟音と共に向かう先、それは大魔獣の頭部!
一瞬にして大魔獣の頭を包み込む水の奔流。
つまりは、ビニール袋を被せた様な状態だ。
このまま放っておけば窒息するかもしれないけど、苦しんで暴れたら大変だろうから…
瞬殺しちゃうよ!
頭を覆う水の内側の水圧を…極限にまで高める!
昔、何かの図鑑みたいなので読んだ事がある。
深海8000メートルでの水圧は、象1600頭分の重さが全身に掛かるという。
つまり、どんな生物だろうと一瞬でプチュッ!
例外は奇妙な深海魚だけ。
私の能力では、水圧の高さに上限は無い。
これ以上に高める事だって簡単に出来る。
何かを叩き潰したかの様な、気持ちの悪い轟音。
ベチャベチャと頭部を構成していた筈の肉片が落下してゆく。
超巨大な大魔獣は絶命した。
首から下は全くの無傷だか、頭部だけが無残に潰されて。




