表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水の戦乙女(アクア・ヴァルキリー)   作者: らいとふっと
39/175

号泣


「俺を…殺す……?」


絶句するレイに、リタは目を閉じて頷いた。


茫然と立ち尽くす私、泣き崩れて床に伏せるデューレ。



戦乙女(ヴァルキリー)の力を手にしたのに。

神剣ジュワユーズに選ばれたというのに。

私は何も出来ない。

彼ひとりを救う事すら、出来ない…


そして、リタは淡々と魔王と巫女の関係について語り始めた。


黙って聞いているだけで精一杯だった。


もしも私が昨日、ここに来なければ…

彼をこんな運命に導く事も無かったかもしれない…


私のせいだ…

ごめんなさい…ごめんなさい……




リタは全てを話し終わった時、私の頬にも涙が流れていた。


「そうか…。 俺が…魔王かもしれねぇのか…」


今から殺される事を知ってしまったレイ。


だが、彼は落ち着き払っていた。

それは、まるで全ての覚悟を決めた死刑囚の様に。


「でも、セーラには想いを伝えられた。 俺は自分の気持ちには嘘はつきたくない。 此処で死んじまうなら、それで良いさ。 それがセーラの望みなら、尚更な」


違う…

私はそんな事は望んでいない…


もう立っていられない。

膝の力が抜け、しゃがみ込んでしまう。

溢れる涙も止まらない。


こんな残酷な運命に出逢う為、私はこの世界に来たのだろうか?



「気の毒じゃが…世界を救う為、命を貰うぞ」


リタは無表情で覚悟を促す。



「デューレ、ありがとうな…。 俺の為に身体張ってくれて。強くて綺麗で、優しいエルフの姉ちゃんは…ガキの頃からずっと俺の憧れだったよ…」


床に伏せて泣き続けるデューレを一瞥し、目を閉じるレイ。



「そして…セーラ。 昨日今日でお別れになるなんて、夢にも思わなかったけどよ…。 俺、本気だったんだぜ? こんな形でお別れになっちまうけど…セーラに逢えて良かったって思ってる。 たまにはローランだけじゃなくて…俺の事も思い出してくれよな?」


私とデューレは泣いていた。

張り裂けんばかりの大声で泣き続けていた。




「…もういいぜ。 やっちまってくれ…リタさん」


レイの覚悟は決まった。



リタの掌に作られる紅い光球。

魔法か属性の力なのかは知らないが、それを何に使うのかは直ぐに理解出来た。


「うむ…。次に生まれ変わる時は、魔王にならぬ様にな…。では、やらせて貰うぞ」



もうこれ以上、2人を見ている事なんて出来ない。

私もデューレも、目を背けた。


レイの命が消える瞬間なんて見たくない…










どれくらいの時間が経ったのだろうか?


ただ、私とデューレの泣き声だけが響いている。



レイ…きゅんも…ローランの所に…行ってしまった。


彼には…泣かされてばかりだったな。



こんなお別れの仕方じゃ…この先もずっと…泣かされちゃうな…

ホント、酷いよ…レイきゅん…









「早く顔を上げんか!儂の気が変わったわい…」


リタの声。



恐る恐る顔を上げて、声の方を見る。



そこには…



リタと、そして苦笑いをするレイが居た。


「ど…どうして…?」


「此奴を殺したら、お主らが使い物にならなくなる。

戦乙女(ヴァルキリー)弓術士(スナイパー)が揃って戦意喪失とあっては、この先が厳しいから仕方があるまい?」


そう言うと、リタは恥ずかしそうに目を逸らす。


「でも…魔王かもしれない…」


「解っておるわ! 此奴はこれから…儂らの旅に同行させる。 もしも魔王に覚醒する気配を見せた時は、躊躇なく瞬時に殺すが…それだけは譲らんぞ?」


リタの判断を聞いて、私は思わずデューレと抱き合った。


そして泣いた。泣き続けた。


今の涙は悲しいんじゃない。

嬉しいんだ。




良かったね、レイきゅん…


貴方はきっと魔王なんかじゃない。



私もデューレも信じてるから!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ