加護
私が持つ水の属性。
それを使って塔の最上部に向かうには…
風属性のデューレみたいに空は飛べない。
それならば…!
塔の外壁に水の奔流を生成。
云わば、即席の川を作り出すのだ。
精神を統一して、神剣ジュワユーズを振るう!
水流が巻き起こった。
よし…!イメージ通り。
水飛沫が上がり、一瞬にして外壁を強く流れる川が出来た。
重力に相反して下から上に流れてゆく川。
塔の上部まで、その流れは到達した。
あとは簡単だ。
躊躇なく川の中に飛び込む。
流れるプール…いや、流しソーメン?
泳ぐ必要すらなく、私の身体は上へ上へと流れる。
みるみるうちに、塔の最上部に近付いてゆく。
最上部の展望台の様になっている場所から、デューレが手を振っているのが見えた。
そして、到達!
川からジャンプ、身を翻してデューレの横に着地。
目的を達成すると、私の意思を感じたかの様に川の流れは小さくなる。
それは小川となり…そして消えてゆく。
塔の外壁の一面だけ、雨の跡の様に濡れている。
ちょっとした魔法使いになった気分だ。
こんな感じに応用すれば、いろいろと出来るに違いない。
水属性、もしかして結構使えるんじゃない?
「えへへ、出来たよ!」
「もっと時間掛かるかなって思ったけど…セーラっち、やるじゃん!」
ビチャビチャになりながら、迎えられて……。
………?
…………!?
あれ?
あれれ?
濡れてない。
不思議な事に、私の身体は濡れていなかったのだ。
「セーラっちが濡れなかったのは、水属性の加護を受けてるからだよ」
身体が濡れていない事で慌てふためく私を見て、デューレが教えてくれた。
属性の加護…?
またまた良く解らない現象が…
「例えば風属性の私だと、鋭利な突風を身に纏っても肌を切り裂かれたりしないし。ま、そういう事!」
なんだか解った様な、解らない様な…
ま、水の力を使っても濡れない!…って思っておけば良いのかな?
あまり深く考えるのはよそう。
「それじゃ、大賢者に会いに行くよ?」
デューレが指を指す階段。
この下に…最後の四聖人、大賢者が居る。
どんな人なんだろうな…。
デューレみたいに仲良くなれるのかな?
そんな期待と不安を胸にしながら、デューレに先導されて階段を降りてゆくのだった。
水属性って普通ならサポート役、脇に回りがちな属性ですよね。
此処みたいな所謂なろう系小説は勿論、漫画やゲームでも『水が最強』なんて有り得ない感じで。
そんな不遇な属性を敢えての主人公に与え、そして活躍させる…というのも今作のテーマです。




