拉致
「何やってくれてんだよ、頭沸いてんのか…?」
レイは拉致監禁されていた。
何処かの部屋の中だろうか?いくつもランプが灯されており室内は明るい。
手足はロープで縛られて椅子に固定されている。
「おいコラ!聞いてんのかデューレ!」
犯人であるエルフの少女。
無言で腕を組みながら、レイを見下ろしている。
レイは彼女の事をよく知っている。
幼い時期に遊んでくれた、言わば幼馴染の様なものだ。
もっとも、エルフであるデューレは彼が幼少の頃から今と変わらぬ姿ではあったのだが。
弓術士は弓矢を自在に操り魔獣を倒す四聖人…と思われがちである。
しかし、この称号を与えられる者が最も得意とするのは暗殺術。
音も無く相手に忍び寄り、そして葬る。
本来なら暗殺者と呼ぶ方が正しいだろう。
数多いスキルの中でも、長々距離からの弓による狙撃だけが独り歩きした結果である。
つまりは普通の男を拉致する事など、朝飯前だ。
「アンタは…セーラっちを泣かせた」
「あの戦乙女の事かよ…くだらねぇ…」
デューレは侮蔑の視線をレイに向けながら、ナイフを手にしていた。
「王子を殺したりはしないから安心しなさい。そのかわり、アンタに最大級の辱しめを受けさせてあげるわ。一生モノのトラウマってヤツをね」
デューレがナイフを一閃する。
レイの着ていた服だけが切り裂かれて吹き飛ぶ。
だか、身体を縛るロープは切られる事なく残っている。
一瞬にして全裸で縛り付けられた姿となってしまった。
「この…クソエルフッ!いい加減にッ!」
レイが暴れようとするも、ロープはビクともしない。
再びデューレがナイフを一閃。
今度はレイが座る椅子だけを切り裂いて吹き飛ばす。
風の属性による鎌鼬を自在に操る彼女ならではの華麗な技であった。
支える椅子が無くなり床に尻を落とすレイ。
「バカ王子のM字開脚、出来上がり〜♪」
デューレがニコニコしながらレイを見下ろす。
椅子の下側だけが残っていて、脚を閉じる事も出来ない。
哀れ、王国の第1王子は無様な姿を見せつける恰好となってしまった。
「あら大変!大事な所が全部見えちゃってるわよ〜?しばらく見ない間にレイきゅんも大人になりまちたね〜?」
「この変態エルフがッ…!」
それでもレイは心折れずにデューレを睨み返す。
「そろそろ良いかな?セーラっち、出ておいで〜!」
デューレが部屋の奥のクローゼットに向けて声を掛ける。
クローゼットの中から現れたのは、昼間にレイを訪ねた戦乙女の少女であった。
とんでもない姿を晒すレイから目を逸らし、セーラは顔を真っ赤にしていた。
「さて、これからが本番でちゅよ!レイきゅん?」
デューレはそう言いながら微笑を浮かべたのだった。




