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水の戦乙女(アクア・ヴァルキリー)   作者: らいとふっと
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懦弱


目の前にいたのは貴方(あなた)じゃなかった。

瓜二つなだけの違う人。


ローランは絶対、あんな酷い事を言わない。


いつも私に優しくて。

いつも私を大事にしてくれて。


そんな貴方(あなた)は居なくなってしまった。

もう二度と逢えない大好きな人。


だからこそ、その大切な想いを胸に生きていくと決めた。


それなのに。

同じ顔をした人に出逢っただけなのに。


その想いが…溢れてしまった。



どうして…こんなに悲しいんだろう?


悲しい…?


同じ顔の人の言動が許せなかったから?


でも、あの人はローランじゃない。

私のローランじゃない…


違うんだ…

違う…



…………!


そっか、私…


全然強くなっていなかったんだ。

何ひとつ変わっていなかったんだ。



今はいないローランに(すが)っているだけ。


今頃になってそれに気が付いたくせに、自分が傷ついたふりをしている弱虫だったんだ…


情けないな、私…






目は腫れぼったくて重い。

きっと酷い顔をしていると思う。



「デューレ…う…うぅぅわぁぁぁぁーーーッ!」


宿に戻りデューレの顔を見ると、堪えていた糸が途切れてしまった。


涙が溢れ、嗚咽が止まらない。



「…セーラっち、お疲れ…」


私をギュッと抱きしめた妖精が、優しく囁いてくれた。




それからどれくらいの時間、泣いていたのだろう…

デューレの胸に顔を埋めたまま、泣き疲れた私は深い眠りに落ちてゆく…











セーラの静かな寝息を聞きながら、デューレは唇を噛み締めた。


「あのバカ王子!セーラっちを傷つけた分、お仕置きしてやらなきゃアタシの気が済まない!」



懦弱(だじゃく)


気持ちに張りがなく、だらけていること。意気地のないこと。また、そのさま。

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