懦弱
目の前にいたのは貴方じゃなかった。
瓜二つなだけの違う人。
ローランは絶対、あんな酷い事を言わない。
いつも私に優しくて。
いつも私を大事にしてくれて。
そんな貴方は居なくなってしまった。
もう二度と逢えない大好きな人。
だからこそ、その大切な想いを胸に生きていくと決めた。
それなのに。
同じ顔をした人に出逢っただけなのに。
その想いが…溢れてしまった。
どうして…こんなに悲しいんだろう?
悲しい…?
同じ顔の人の言動が許せなかったから?
でも、あの人はローランじゃない。
私のローランじゃない…
違うんだ…
違う…
…………!
そっか、私…
全然強くなっていなかったんだ。
何ひとつ変わっていなかったんだ。
今はいないローランに縋っているだけ。
今頃になってそれに気が付いたくせに、自分が傷ついたふりをしている弱虫だったんだ…
情けないな、私…
目は腫れぼったくて重い。
きっと酷い顔をしていると思う。
「デューレ…う…うぅぅわぁぁぁぁーーーッ!」
宿に戻りデューレの顔を見ると、堪えていた糸が途切れてしまった。
涙が溢れ、嗚咽が止まらない。
「…セーラっち、お疲れ…」
私をギュッと抱きしめた妖精が、優しく囁いてくれた。
それからどれくらいの時間、泣いていたのだろう…
デューレの胸に顔を埋めたまま、泣き疲れた私は深い眠りに落ちてゆく…
セーラの静かな寝息を聞きながら、デューレは唇を噛み締めた。
「あのバカ王子!セーラっちを傷つけた分、お仕置きしてやらなきゃアタシの気が済まない!」
懦弱
気持ちに張りがなく、だらけていること。意気地のないこと。また、そのさま。




