救出
(さよなら……お母さん、お兄ちゃん……みんな……)
あ、これが走馬灯ってやつだね。
私が物心ついた時、お父さんは既に他界していた。
片親でも、ちゃんと私を育ててくれたお母さん。
私の面倒を見てくれた、優しいお兄ちゃん。
そして、大好きな友達のみんな。
今迄、有難う……ね。
意識が薄れていく。
ああ、私……死んじゃったんだ。
なんだか騒がしいな。
私を殺した事に対する歓声……?
いや、違う?
悲鳴…。
沢山の男の声が聞こえる。
「……ッ……な……」
って、もうどうでもいいや。
このまま私の命は消えていくんだもん。
「だ……じょ……ですかッ!」
「し……りして……いッ!」
なんだか声が聞こえるよ。
天使が迎えに来てくれたのかな?
このまま静寂に包まれていくんだ……。
ペシッ! ペシッ!
ペシッ!
頬を軽く叩かれている様な……?
えっ…………!?
生きてる?
私、生きてるの?
慌てて瞼を開く。
「ご無事ですかッ! 異世界の巫女様ッ!」
目の前には…私の顔を覗き込む人が居た。
「え?……えええッ!?」
思わず奇声を出してしまった。
私の身体を抱き抱えている若い男性。
年齢は私と変わらないくらいかな?
何と言うか、ロープレの勇者みたいな恰好。
茶髪で割と長髪。
女の子のセミロングくらい。
そして、何よりも……超絶のイケメンさん!
長い睫毛にキラキラの蒼い瞳、整った鼻筋はハリウッドスターかよ?ってレベルのイケメン男子。
「あ、あ……」
それでも、恐怖に支配されていた私には、何とか呻くのが精一杯だった。
「安心して下さい、もう大丈夫。 貴方を手に掛けようとした者達は全て斬り伏せました」
辺りを見回してみる。
(ヒッ……!?)
薄暗い広間の中は血の海だった。
おじさん達は重なる様に倒れて血を流し、恐ろしかった死刑執行人も…首が切断されていた。
「ブファーーーッッ!」
初めて見る悍ましい現場。
私は胃液を逆流させてしまっていた。
「ゲホッ、ゲホ!」
って、イケメンさんの身体に吐き掛けちゃった!
嫌な顔すらしないで、彼は私の背中をさすってくれる。
イケメンは心もイケメンって、都市伝説じゃなかったんだ。
「怖い思いをさせて申し訳ありません、巫女様……」
巫女?
神社の巫女さん……?
確か、そこの死体になった人達も……私を巫女って言っていた気がするけど。
「先ずはここから出ます。 詳しい話は後程に致しましょう!」
私をお姫様抱っこして立ち上がるイケメンさん。
今の私には、彼に身を任せるしかない……。




