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水の戦乙女(アクア・ヴァルキリー)   作者: らいとふっと
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妖精


王都から馬を走らせる事、約10日余り…

ようやく目的である森が見えて来た。


(そう言えば、初めてローランと馬に乗った時は酔ってフラフラになっていたな…)


脳裏をよぎる幸せな頃の記憶。


しかし、それは決して帰って来ない…





それにしても、この格好には慣れない。


王都を出発する前、王妃が用意してくれた胸当て、兜、ブーツ、そしてミニスカート。

兜やブーツには何故か羽根飾りが付いているし、胸当てもブラジャーみたいな形状。

とどめはパンツが見えそうなミニスカート。


どうやら戦乙女(ヴァルキリー)の正装らしいが、実際に着てみると痴女にしか見えなくない?コレって…

昔、スマホゲーか何かでこんな格好のキャラクターを見た様な気がする。

元の世界でコスプレしてる人も、その格好のまま電車に乗らなきゃ私の恥ずかしさは判るまい…



「まだ私、戦乙女(ヴァルキリー)になってないのになぁ…」


思わず呟いてしまう。



今回の魔獣征伐を成功させなければ本物の戦乙女(ヴァルキリー)にはなれない。



あの森に住むのは妖精族のエルフ。

森に住んでて耳が尖ってて、人間より遥かに長命な種族。


今回の件は元々、エルフの族長がサーテインに懇願した魔獣の討伐依頼だった。


で…実際にやって来たのは、お強い騎士団長ではなくて戦乙女(ヴァルキリー)見習いなのだが。



「でも、どんな敵だろうと勝ってみせるよ。 ジュワユーズ…ローランと一緒に…力を貸してね?」


私は腰に携えた神剣に囁いた。





いよいよ森に入る。


かなり広い森だが、10分程入ったところで人の気配を感じた。

木の上、太い幹の後ろ、茂みの中…


注意深く観察されているが、殺気は一切感じない。


この2年の成果なのか、そういった事が捉えられる様になっている。


聞いていた通り、臆病なエルフ達には此方からコンタクトしなきゃ駄目っぽい。

私は馬を止めて話をする事にした。


サーテインから、絶対に未だ戦乙女(ヴァルキリー)になっていない事は明かさない様に厳命されている。


つまり、私は既に戦乙女(ヴァルキリー)になっている前提で事を運べと。



「えー、私は王都から来ました!騎士団長の代理で魔獣征伐を任された戦乙女(ヴァルキリー)でーす。 先ずは族長さんに会わせて下さーい!」


ローランやサーテインみたいに綺麗な敬語が使えない自分が恥ずかしくなった。


王都に戻ったら淑女マナーも教えて貰おう…




と、思った矢先。


ビュンッ!!


一本の矢が私を目掛けて放たれた。


(……見切れる!)


咄嗟に身体を逸らして矢を避ける事が出来た。

改めて自分が強くなっていると感じる。



「おぉッ!やるねー!流石は戦乙女(ヴァルキリー)じゃん!」


そう言いながら木の上から飛び降りて来たのは、エルフの女の子だった。


風に棚引く美しい金髪。

どこか幼さが残るも綺麗な顔立ち。

アイドルグループのセンターの子って感じ。

革製の胸当てを身に着けているが、一際(ひときわ)目を引いたのは手にしている長弓。

純白に金の紋様が入ったそれを持つ彼女が只者ではない事を物語っている。


「アタシはデューレよ。 ここの族長の娘」


「私はセーラ。 戦乙女(ヴァルキリー)……」


ごめんなさい!

ホントは見習い!

でも…直ぐに本物になるから許して!



そんな事を考える間にもエルフの少女は話を続ける。


「あとさ…アタシも四聖人の一人、弓術士(スナイパー)なんだ! アンタとは長い付き合いになりそうだし、ヨロシクねッ!」


「……そ、そうなんだ!?」


軽く動揺しながらも、私は彼女と握手を交わしていたのだった。


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