勅命
城内の最上部に位置する謁見の間。
身を清め、侍女によって髪を結われた私は国王の元へと連れられていた。
王と王妃、騎士団長のサーテイン以外は席払いをしている。
そして、玉座に座る国王と王妃。
ゲームや漫画でのイメージよりも、現実世界の日本の皇室やヨーロッパの王室といったスマートな出で立ちだった。
王の傍には神剣ジュワユーズが立て掛けられている。
「よく参られた。 そなたが異世界よりの巫女殿なのだな…? 此度は辛い旅よりの帰還、無事で何よりであったな」
「私達も報告を聞く覚悟は決めています。 貴女のお気持ちを察すると辛いでしょうけれど…我が息子、ロヘラングリンとの旅についてお話しして頂けるかしら…?」
偉ぶらずに優しい口調の王と王妃。
どこかローランに似ているのはやっぱり親子なんだな。
そして…
私はローランとの出会いから別れまでの全てを事細かく、偽りなく話した。
「……うむ。ご苦労であった」
王はそれだけを言うと目を閉じて天を仰ぐ。
王妃は俯いて涙を流している。
それは、見ているだけでも辛くて残酷な光景。
私も泣きたかった…
ローランのお父さんやお母さん、2人と悲しみを共有したかった…
でも、これは私に与えられた最初の使命なのだ。
私までもが一緒に泣く訳にはいかない…
「陛下…ご心中お察し申し上げますが、ひとつ宜しいでしょうか」
すすり泣く王妃を遮るのは騎士団長サーテインの声。
「うむ…。構わずに申してくれ」
「はい。この者…異世界からの巫女であるセーラ殿の処遇について、如何致しましょう?」
(私は…)
「セーラさん…、ロヘラングリンが選んだ貴女は私達の娘も同然。 この城で暮らして頂いて構わないわ」
「そうだな…私も同意見だ。 我が城なら最強の騎士団を構えている以上、魔王も簡単には手は出せぬであろう」
(違う……私は……)
「畏まりました。 セーラ殿には城内にて…」
(違う!私がやりたい事は……そうじゃない!)
「王様ッ!王妃様ッ! 私は…ローランの、ロヘラングリンの遺志を継ぎたいんですッ!」
思わず私がそう叫んだその時。
国王の傍にあった神剣ジュワユーズが眩く光る輝きを放つ。
それはまるで手品か魔法の様に宙を浮き、そして私の元へとやって来た。
「ジュワユーズ……?」
神剣の名を口にしながら、それに手を伸ばした瞬間。
凄まじい閃光が起き、その場にいた誰もが目を閉じる。
恐る恐る目を開けると、私が手にしていたのは…
「おぉ!…まさか神剣が!」
「……形状が変わったと…いうのか!?」
国王とサーテインが驚きを口にした。
私が手に握っていたのは、細身剣へと形を変えた神剣ジュワユーズであった。
「神剣が…新たな使い手を選んだのか…!?」
サーテインが呻く様に呟いた。
「……今、まさに新たな神託が降りたのだ。 騎士団長サーテインに命ずる! これより巫女セーラ殿を鍛え上げ、そして伝説の戦乙女へと育て上げよッ!」
私が新たな姿となったジュワユーズを握り締める中、国王はサーテインに勅命を与えたのだった。
世界観うんちく
伝説の四聖人
魔王が現れし時代、勇者と共に戦う大いなる力を持つ者達。
聖戦士、戦乙女、弓術士、大賢者の4人。
この物語では現在はローランが死亡しているので残り3人。
更に、勇者ではなく巫女が召喚された為に戦力的にはかなり不利となるでしょう。




