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閑話 ある日の彼女たち

会話文のみです。


こちらで"魔石"という言葉がありますが、『ラーナクラス家の夫婦事情』の"魔石"とは異なる役割で使っているので、そちらの作品をお読みの方は混同されないようにお願いします。

この作品、クリスティーナのいる国では魔法は存在しません。


「・・・これ、どうしてこうなるんです?」


「自然の摂理かな。」


「殿下の自然は破綻してるのですね。」


「ちょっと放置してるだけだよ。」


「リズ、お茶にしよう。」


「エル!今日の講義は?興味あるものがあったんじゃないの?」


「あー、ちょっとね。昨日ね、同じ先生の講義を受けたのだけど時間の無駄だったから止めたの。あの時間を過ごすなら、ここでお話してた方がよっぽど有意義だわ。」


「おや、その先生って誰かな?」


「あら・・・、殿下に言ったら明日には姿を見なくなりそうね。」


「それはそれで面白そうだけれどね。」


「止めてよ、アン。恐ろしいこと言わないで。エルに合ってないだけでしょ?貴女ほとんどのことに興味無いじゃない。」


「興味を持つ必要が無いの。」


「けれど、知っておかなければいけないことがたくさんあるのでしょう?」


「だからこそ、ここに学びに来てるのよ。1ヶ月、時間を下さったのだもの。きちんと収得して、国に返さなければね。」


「立派な愛国精神ね。」


「貴女ねぇ、アンもそうでしょ?多少の愛国精神がなければ、国を支えることはできないのではなくて?」


「私は・・・そうね。でも元が違うから。私は転生者で、アンジェリカであってアンジェリカではない。元々のアンジェリカは、私に記憶を引き継いで眠ってしまってもしかしたらいつか起きるかもしれない。私はその間の代理で、今の私が私としてやるべきことをしただけだわ。元々のアンジェリカが起きたら・・・後はそのアンジェリカに任すしかないもの。」


「もしそうなってしまったら、貴女の国は終わりね。」


「心変わりしてるかもしれないわ。」


「いいえ、例えそうだとしても。国王様はお嘆きになるでしょうね。」


「・・・そうかしら?」


「リズ・・・聞いた?」


「ええ、しっかりと。あれだけ溺愛されてるくせに自覚がないなんて国王様も可哀想に。」


「私だって愛してるわ!」


「「知ってるわよ。」」


「リズは今、正に、修羅場っていうのにね。」


「・・・修羅場じゃないわ。終わりへと道を歩いてるの。私の、終わりの為にね!」


「エルも大変ねえ。」


「どうなのかしら・・・。まあ、私もエルヴィスであって個を必要としないから、エルであるのはリズとアンの前だけね。」


「私ね、真実心の底から、エルヴィスとクリスティーナとの出会いに感謝してるわ。今はあの人が隣にいて支えてもらっているけれど、私は独りなんだって思うとずっと怖かった。でもクリスティーナと出会えて、エルヴィスとも出会えて、私の世界がもっと広かったら色んな人と出会えてたのかもしれないけど、私の世界の中で出会えたのは貴女たち2人だった。貴女たちがこれからどんな未来を辿るにしろ、 大切な存在よ。」


「・・・ありがとう。私も、アンジェリカは大切な友達よ。」


「じゃあ、私もかな?アンジェリカとクリスティーナは面白い存在だとは思ってるわ。そうね、何かあったらこちらで引き取れるぐらい、には。」


「さすがエルヴィスね。でも貴女からそんな評価なのだとしたら、きっと私もリズも結構上の立ち位置にいるのだと思うわ。」


「その時私がいるかわからないけれど話は通しておくから何かあったら・・・そうね、近くで何かあるとしたらクリスティーナよね。連絡をくれたら迎えに行くわ。」


「・・・アンとエルって新しい出会いなのよね。今まで国外追放の時は東の国に行って盗賊とかに殺されることが多かったの。そっか、エルがいるんだわ。」


「え、待ってよ。私も頼ってくれていいの!安全最優先で迎えに行く!!」


「一国の王女が罪人を迎えに来てどうするのよ!」


「そうよ。代わりにこちらは秘密裏なんてお手の物。これ、連絡先ね。1度しか使えないから時期をちゃんと考えて。」


「ありがとう。・・・本当にいいの?ていうか、エルから話を聞いててね、興味沸いてきたからこの国を出ようとか考えたの。」


「じゃあちょうど良かった。直接的には連絡は取れないけど信頼できる者に迎えに行かせるから安心して。貴女の身の振り方に寄るけれど、余計な事をしない限りは丁重に扱って安全をなるべく保障できるわ。理由なしに無下に扱うなんてことはないから安心して?」


「・・・本当にありがとう。泣きそうだわ。」


「貴女が泣くのはいつも愛しい人を想って、でしょ。」


「私も仲間に入れて!」


「王女様にもきちんと連絡が入るようにしますから。」


「そんなの当たり前よ!ていうか、二人にこれを差し上げましょう。プレゼントです!」


「・・・ただの石、なんてことはないわよね?」


「これはね、王族のみが作ることの出来る魔石。この赤はね、私の色なの。子供が出来たらわからないけれど、今はもう私しか作れない魔力の籠った特別な石。」


「それって・・・とても貴重なものなんじゃ、」


「ええ!だから!2人にあげるの!」


「いや・・・これは、扱いに困る。」


「でも、貴女たちは間違った使い方はしない。これに魔力がある限りは、お互いに連絡が出来るわ。肌に触れて声をそのまま相手の心に魔石へ送って連絡できるの。」


「・・・すごいのね。さすが隠されし王家の秘密」


「こっちの方が早いでしょ!しかも、今、触ったわね?これはちゃんと貴女たちにしか使えないようにしておいたから!乱用される心配もない!」


「それは安心ね。でもリズが使った時に私がいるべき場所にいるとは限らないから、リズ、それは絶対になくさないでね」


「ええ、ありがとう。アンジェリカも、ネックレスにして大切にするわ。本当にありがとう。」


「リズ。本音はね、貴女と自由に話せるこの時間が惜しいわ。でも、貴女の想いが届くことをエルも願ってるの。この世界で貴女は今まで取らなかった選択肢を選んで、未来を変えている。私の未来がそうなのよ。」


「アンジェリカ。」


「クリスティーナ、覚えていて。たくさんの過去が報われなかったとしても、今の幸せをどうするのかは今の貴女なの。逃げないで、向き合うことも選択の一つよ。」


「・・・・・・・・・・・・・そんなの、夢物語だわ。」



せっかく書いたので載せてみました。

これから出る新しい登場人物が2人います。

始めに登場している殿下は勿論ノアとアルベルトではありませんが、既に少しだけ登場しています。


感想をいただきました。

詳しくは活動報告に書きますが、ありがとうございます!


11/29追記

『恋の病を~』閑話において鶴唳様から感想をいただき、閑話について説明させていただきます。


アンジェリカは、西の国の王女です。転生者です。

エルヴィスは、クリスティーナの国の隣国の公爵令嬢です。

彼女は転生者ではありませんが、ここの公爵家が特殊で、名前にも意味があるので、男性名では・・・?という問いでしたが間違いではありません。ちなみに、この後、彼女の親類が出てきます。


『恋の病を~』では詳しく書きませんが、この2人も色々と事情がある方達です。

実はこの2人についてもお話を考えていて、閑話はある意味アンジェリカとエルヴィスを紹介するというような形でも書いています。

けれど、この2人についてのそれぞれの事情は『恋の病を~』ではそんなに出ないので気にされなくて大丈夫です。

困惑されてしまった方には申し訳ありません。


クリスティーナという名前の愛称が"リズ"でないことはわかっているのですが、何故アンジェリカとエルヴィスにその名前で呼ばれているかは後々のお話で軽く出てきます。しかし、簡略して説明すると、クリスティーナが2人にその名前で呼んでほしいと頼んだからです。

なので、他の方は"リズ"とは呼びません。

お兄様も"ティーナ"と呼んでいます。

すみません。エリザベスと混同されると思ったのですが、何故"リズ"なのか理由もあるのでそこまでちゃんと書ければと思います。


この閑話で登場するのは、殿下、クリスティーナ、アンジェリカ、エルヴィスだけです。

初めに登場した殿下は少し会話した後は聞き手に回っています。多分。ごめんなさい。




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