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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第四章:魔導学院で色々やるようです
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それぞれの状況のお話。

最近の子供は森に置かれても生き残ります(異世界基準)

 アリアの緋級魔法のおかげで窮地を乗り切った智香たちと影山たち。いともたやすくさっきの危機を救ったアリアに驚きを隠し切れないままだったが、ひとまずここは全員で行動をするのが最善と考え六人一組のグループとして行動することにした。


 一行は今いる東端から西側へと向かい、どこか休まるところを見つけるため行動を開始した。


 その頃、他のグループはというと――――。



△▼△▼△▼△



 琴葉・ミスズ・リナリアの三人はどうにかこうにか現状を凌いでいた。今回リナリアは琴葉とミスズからの要望で女神としての力を一切使っていない。というのも今回の合宿の目的は自らのスキルアップや咄嗟の状況にどれだけ対処できるかを養うものであるため、リナリアに頼ってしまうとそれこそ二人は何もしなくても一週間を無理なく過ごせてしまう。


 そのためリナリアは魔法こそ使えど上級魔法までという制約を設けている。一応攻撃担当ということにはなっているため二人で対処できない魔物、例えば上級魔物が現れた場合や二人の魔力が少なくなってきた時の言わば予備バッテリーのような役割を担っている。


 なので琴葉とミスズの二人が積極的に行動していたのだが、


 「……本当に大丈夫か?」


 リナリアが心配する先には、ゼェゼェと息を切らしてへたり込んでいる琴葉とミスズの姿があった。


 「大丈夫……大丈夫です……から……」


 「いつもリナリアに……頼ってるもの……これくらいは……」


 「どう見ても二人揃って無理してるようにしてると思うけど。体力あんまりないんだから」


 琴葉とミスズが息切れしている理由は魔力の消耗によるものではない。琴葉は転生組であるため生まれつき魔力量が高くスキルによって日々増大しているし、ミスズも魔族ということで魔力量は人族よりも圧倒的に多くまだ成長過程であるため容量も増えている。


 ならなぜ二人はこうして息切れしているのか、答えは単純に体力がないのだ。


 琴葉は争い自体を好まないため任務に出ることも少なく戦闘経験は授業での訓練や魔法学校を卒業する際に強行された怒涛の任務ラッシュくらいなもの。

 ミスズは魔族ということもあって人族より基礎体力は多いはずなのだが、彼女はこれでも虚弱体質。響に猛アプローチした事実を踏まえれば到底信じられないだろうが本当にそうで、響の前では元気な自分を見せようと努力しているのだ。


 「……ひとまず休もう、どこか急いでいるわけでも……」


 急いでいるわけでもない、そう言おうとしたところでリナリアの言葉が止まった。何かの気配を察知したリナリアは気配のする方向に体を向けてその正体を待った、すると奥から何やら声が聞こえてくる、聞きなれた声だ。


 その気配の正体と言うのは。


 「ん、リナリアか」


 響たちがたまたま通りかかっただけだった。梓とマリアも姿を現し、リナリアたちと合流した。響がリナリアに琴葉とミスズに何があったのかと尋ねるとリナリアは「安心しろ、二人は疲れただけだ」と短く告げた。


 梓とマリアは息切れしている二人に水を差しだすと二人はごくごくと飲み、「ふぅ……」と息を整えた。


 「ごめんね、ありがとう」


 「施しをするのも、フォートレス家の人間として当然のことですわ」


 「にしても珍しいな、ミスズがこんなになるなんて」


 「言ってなかったが、ミスズは元々虚弱体質だ」


 「ちょっ……! リナリア! あまり言わないでよっ……!」


 あわあわと身振り手振りが激しくなるミスズ。リナリアは「別にいいだろ?」と当然のように答えた。


 「そうだったのか」


 「あ……まぁ……うん」


 「別に言ってくれれば良かったのに」


 「ミスズはね、みんなに気を使わせてしまうんじゃないかって思ってたんだよ」


 「リーナーリーアー!」


 立ち膝でポカポカと二~三発リナリアを叩くミスズだが力が入っておらずまるでダメージはない。どうやら本当のことだったようだ。


 無理をしたからかミスズはゲホゲホと咳き込んでしまい体勢が崩れてしまう。

 響は咄嗟にミスズの体を支え、背中を優しく擦る。次第に呼吸が整ってくるとミスズは少しだけはにかんで響に小さく「ありがとう……」と呟いた。その時のミスズの顔はちょっとだけ赤らんでいたのだが、それに気づいた者はいない、リナリアですら気づかなかった。


 しばしの休憩を終えたリナリアたちと響たちはとりあえず一緒に行動することにして、開けた場所に行くことにした。


 道中、響たちは偶然にもアリアたち六人と会い、十二人で行動することになった。


 魔物を倒しながら同時に食料調達を進める中、平然と討伐した魔物を解体して捌いていく響たちに一同は驚きながらも若干引いていた。


 「響君って結構凄いことするんだね……」


 「どっちかっていうと俺より梓たちの方が率先してやってるんだよなぁ……」


 「アマゾネスかよ」


 「残念だったな聖也。それはもう俺がツッコんだ」


 などと言ったやり取りをしていると遠くから「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ………」という叫び声が聞こえ、一同は辺りを見回しながら戦闘態勢を取った。もしかしたら誰かが襲われているのかもしれない、そう考えていた響たちだったがその叫び声は途絶えることなく徐々に近づいてきた。



 そしてそれはガサガサと草木をかき分けながら響たちの前を横切った。


 横切ったのは、上級魔物であるマーナガルムの首に上級魔法の「レストレイト・カース」を手綱のようにして巻き付けてそれに掴まってマーナガルム種の背中に乗る絵美里とキュリア、そしてもう一人グループのメンバーだと思しき少女が一本だけ固定されていない鎖に両手で必死に掴まって風に耐え、「いやああああぁぁぁぁぁぁぁ……」と泣きながら叫んでいた。


 響たちに気づいた絵美里は手綱を引き寄せてマーナガルムに急ブレーキをかけて止まらせる。鎖に掴まって宙に浮いていた少女は慣性の法則によって鎖と一緒に前方へと投げ飛ばされてしまった。


 「ふぐぁ!」


 間一髪体を反転させたことによって顔面から地面に打ち付けられる事態を免れた少女は「急にとまんないで下さいよ!」と服についた土埃を払いながら叫び、キュリアがそれをなだめ、絵美里はマーナガルムをなだめていた。


 響たちはその唐突に起こった事態をすぐには飲み込めず、ただぼーっと立っているだけだった。

ミスズ「体調悪くなってきたから看病して欲しいな~」チラチラ

アリア「僕が全力で看病してやろう」

ミスズ「とてつもなく嫌な予感がする」

響「何やってんのあんたら」

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