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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第三章:魔法学校を卒業するようです
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獣族のお話。

ケモミミっ子はいいぞ

 「ガハハハハハッ、おめえさんまたへまやらかしたのか!」


 「へまをやらかしたのはうちのメンバーです。私じゃない!」


 お礼がしたいと言ったソルに連れられてきたのは獣王大陸の王都、そこにある冒険者ギルドの一つに響たちは来ていた。

 人王大陸よりも大きく照明やテーブルの数も多く二階まであるという豪華なつくりをしていた、そこにいる冒険者たちは全員種類は異なれどケモミミを頭の上から生やしていた。獣族だから当然と言えば当然なのだが、今までファンタジー系の小説や異世界転生ものの話でしか見たことがなかったので響は「おぉ……」と高揚感に浸りながらキョロキョロと辺りを見ていた。


 「珍しいですわね、ヒビキがそんなにはしゃぐなんて」


 そんなに目を輝かせていたのだろうか、マリアの指摘に思わず恥ずかしくなってしまう響。確かに妖族の時のように惨殺されたくらいでしか見ていないのと違い今回は生活している他種族を初めて見たのだ、しかもフィクションの世界でしかなかった種族たちをこの目で響は見ているのだ、はしゃいでいるとみられていても仕方ない、そう響は恥ずかしさから火照っている状態で無理やり納得させた。

 そんなやり取りをしながら響たちは二階に案内されそこにあるソファの席に着いた。


 「改めて、助けていただきありがとうございました。まさかあの状況で助かると思っていなかったものですから……」


 可愛らしいキツネのケモミミをペタンとさせてソルが頭を下げる。


 「それはもういいですよ、私たちの目的がたまたま同じマーナガルム種だっただけですので」


 「ありがとうございます、それにしても皆さんお強いんですね。特に……」


 そこのお二人。ソルはそう言ってフランと響を順番に指さす。


 「これでも人族の魔導学院で生徒会長やってますので」


 「そうだったんですか、どうりで。そちらの方も魔導学院生なのですか?」


 「いえ、俺はまだ魔法学校の生徒で」


 「何回生なんですか?」


 「十回生です」


 「じゃあ同い年ですね」


 「年下です」


 「え?」


 ポカンとするソルに飛び級したことを手短に伝えると「そうだったんですか……すみません早とちりしてしまって」と少しだけ顔を赤らめて間違いを恥じていた。率直に言って可愛かった。


 そこへギルドの人が全員分のジョッキに入った炭酸飲料をコトリとテーブルに置いた、ソルからのささやかなお礼ということで全員でジョッキを持ち「乾杯ー!」と言いながらガチャンと音を鳴らして一口飲む。


 シュワシュワとした刺激が口の中を暴れまわり喉の奥まで潤す、その炭酸の中に甘みがある味を響は知っていた。そう、サイダーである。夏の暑い日や風呂上がりに飲むとよりおいしくなるあの国民的清涼飲料水である。

 社会人がよくやる仕事終わりのビールよろしく刺激の余韻を残したまま全員がテーブルにジョッキをガン!と置いた。だが何故か響とソル以外のメンバーが涙目になりながらむせていた。


 「けほっけほっ……なんれすか? ほれ」


 ろれつが回っていない様子のマリア、小さい手を口にあてて可愛らしく咳き込むその姿は響には可愛らしく見えた、いつもシャキッとしているマリアが涙目になりながら「ぅぅ……」と言っているのだ、男の子としての何かに火が付いた。いわゆる萌えの領域だ。


 「もしかしてサイダを飲むのは初めてでしたか?」


 ソルがサイダと呼んだことで響は小さく「あ、サイダーなんだ」と少しだけ笑いながら言う。由緒正しきお嬢様のマリアも、近侍としても学生としても優等生のセリアも、苦手なものはないんじゃないかと響が勝手に思っているアリアも、仰々しい二つ名を持つフランの四人ともが同じようにして咽ているところを見ると思わず笑ってしまう。それが癪に障ったのかアリアに足を踏まれる。


 「ヒビキ君はなんで平気なんだい? 飲んだことあったのか?」


 「まあ似たようなものをよく飲んでましたよ。……にしても先輩大丈夫ですか?」


 「笑いながら言う台詞じゃないよねヒビキ君」


 「なんかこういう先輩見ないんでちょっと………んふっ……」


 「後で覚えてろよ……。でもま、刺激が来ると分かってれば普通に僕だって……中々美味しいじゃないか」


 シュワシュワが来ると分かっていれば普通に飲めると言ってコクコク飲んでいくアリアは「ぷはぅ」とお約束の台詞を言って口元を拭う、それを見たマリアたち三人も何かを覚悟したのかぐいっと飲む。アリアと同様、三人もシュワシュワが来ると分かった上で飲んでいるので咽ることなくサイダー、もといサイダを飲む。甘みと刺激が合わさって美味しいと結構好評だったようでぐいぐい飲む。


 「そう言えば先ほど何か言われてませんでした? またへましたのかとかなんとか」


 「ああ、あれですか。昔からパーティーメンバーに恵まれなくて、誰か一人は必ず面倒事を起こすんですが死んだのは今回が初めてで」


 「あ……すみません……」


 「いえいいんです。冒険者ですし、こういうことはもう慣れないと」


 やっちまったという感じの響に優しくフォローを入れるソル。その後サイダを飲みながら軽く世間話程度の会話をして響たちはギルドを出ようとすると「お見送りします」と律儀にソルもついてきた。


 獣族の王都にある門のところでソルに見送られた響たちは行きと同様、転移魔法でいつもの冒険者ギルドに帰ってきた。


 「んん~、おっ疲れ~」


 フランが伸びをしながらみんなに労いの言葉をかける。


 「お疲れ様でしたー」


 「お疲れ様ー。ま、今回僕たちそこまで動いてないけど」


 「そうですわね。お疲れ様でした、セリア」


 「お疲れ様ですお嬢様、お怪我はありませんか?」


 「大丈夫です」


 互いに労いながら、報酬を受け取るため受付へと行く。フランが空間魔法の裏技的な方法で空間の狭間にいつの間にか保管していた巨大な袋に包まれたマーナガルム種の頭部を取り出す、いつぞやの空間魔法の練習中に響が転移魔法に触れた時に行ったあれのやり方だ、転移魔法は転送先を設定する前なら一時的に空間の狭間に保管できるという。


 「重っ……ただいま換金してきますので少々お待ちください」


 そう言って奥へと消えていく受付のお姉さん、今回はスレイプニル種の時のように吐いたりするといったことは無かったようで少し安心した。


 数分くらいで受付のお姉さんがマーナガルム種の頭部が入った袋の代わりに、お金が入った袋を手にして戻ってきた。


 「お待たせしました、こちら持ち帰りになられた討伐目標のボーナスですね。それとこちらが任務完了の報酬金になります。お疲れ様でした」


 ボーナスの入った袋と報酬金が入った袋を手にして一つのテーブルを使い山分けを開始した。二つ合わせて今回の儲けは金貨二十枚と銀貨が五十枚といった具合だった。最初は急遽助っ人に応じてくれたフランの取り分を少し多めにしようとしていたがフランがこれを辞退して結局綺麗に五人分に等分することにし、一人当たり金貨四枚と銀貨十枚の儲けになった。


 報酬の山分けも終わったところでフランは魔導学院に帰り、響たちも魔法学校に帰ることにした。

 帰り着くとフルーエン先生に報告して仕事が残っていないかを確認して帰るという流れで、特にやる仕事がなければ報告だけであとは好きに下校していいのだが、今の時刻は午後二時ちょっと前でまだ授業が全部終わっていなかったので生徒会室でグダグダしながら梓たちの下校を待つことにした。


 しばらくして六時間目の授業が終わるチャイムの音が鳴り数分して外が騒がしくなってきた、どうやら帰りのホームルームも終わったクラスがちらほら出てきたみたいだ。


 そして案の定奴らがやって来た。


 「おーっす響ー、一緒に帰ろー!」


 「おう、梓。お疲れ」


 帰りはもういつもの恒例になった集団下校で帰り影山と梓とは同じところで分かれて三軒隣接するそれぞれの自宅へと入っていった。毎度毎度思うが「じゃあなー」とか言っても結局梓と影山とは両隣なんだから言っても意味ないのかななんて思う。


 家に帰ると非番で一日休みのカレンが料理を作っていて、その料理がまたしてもダークマター化しかけてたのはまた別の話。

恋愛要素ぶち込みたいなぁ……

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