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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第二章:フォートレス家に危機が迫っているようです
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転移魔法とメイド服のお話。

お好きなメイド服で想像してください

 その日はマリア達のための任務の準備のために早めに帰ることにした響、ガラガラと引き戸を開け「ただいまー」と言って帰ってきたことを家族に伝える。するとパタパタと足音を立ててやって来たのはエミルではなくカレンだった、エプロンをつけて腕をまくっていたため恐らく料理中だったのだろうか手にはフライのようなものも持っている。


 「おかえりヒビキ、学校はどうだった?」

 「近々特別任務を受けることになりました、詳しいことは明日分かると思います」

 「そうか、頑張れよ」


 最近になって響のことを呼び捨てにしてきたカレンはそれだけを言うとまたパタパタと奥に戻っていく、奥から実の母親であるエミルの声も聞こえてきていたので何をやっているのだろうと部屋によるついでに除くとカレンがエミルに案の定料理を教わっている最中だった、あまりこういう経験はないのか慣れない手つきでたどたどしくもどうにかこうにか頑張っておりまるで娘の料理を見守る母親の図みたいになっていた。

 それを見て部屋に戻るなり響はベッドに制服のままベッドにダイブする、なんとなく銃を作ってマガジンを取り出して空砲の状態にしてスライドを引く、そのまま天井に向けて撃ってしまうと空砲とはいえ音が大きいのでエミルとカレンが飛んでやってくる可能性があるためそのままにしておく。

 この行動自体に特に意味はないのだが、響の頭の中では誰が何の目的で動いているのかを考えていた。これから任務がどのようになるのかもまだよく分からないまま手掛かりゼロの状態から犯人を炙り出すという推理初心者には中々に難しいことをしなければならないのだ、それから響は銃を消しておもむろに魔導書を一冊持って庭へ出る。


 パラパラとページをめくって開いたのは緋級魔法の空間魔法のページ、以前に響が転移魔法を試した時と同じページを開き再度銃を作りだして地面に置く。それの下に魔方陣を展開させて部屋のベッドの上に転移するようにイメージをして魔力を込めると魔方陣が光って銃が消えた。この後部屋に戻って銃があるかどうかを確認すればこの前と変わらないただ単に物体転移の実験だが本番はここから、銃などの物体は出来ても人、即ち自分自身を転移させることはできるのかということだ。

 失敗したらどうなるのかは知らないがいずれやることになるのだったら今やった方が早い、響はそう考え自らの足元に先ほどと同じ魔方陣を出現させる。転移先は銃と同じく自室、魔方陣に魔力を込め、魔方陣が淡く光り始めると思った矢先、視界が真っ白になる。

 再び視界に色が付き景色がはっきりする。そこは見紛うことなく自室でベッドには先ほど転移させた銃が置かれていた。これで転移魔法を人に対して気兼ねなく使うことが出来るということを認識した響は銃を手に取ってまたもベッドに勢いよくダイブした。


 しばらくベッドでゴロゴロしているとカレンがエプロン姿のまま夕ご飯が出来たことを伝えに来たため食卓に着くと、大皿にハート形のハンバーグがいくつかのっていたがそのどれもが真っ黒に焦げていた。


 「焦げてしまったが、味は確かだと思う。さぁヒビキ、食べてみてくれ!」

 「……いただきます」


 響は恐る恐る真っ黒ハンバーグに手を伸ばして箸で一つ掴んで取り皿に置き、箸で一口大に切り、口へ運んだ。カレンが心配そうにそれを見守る中ゆっくりと咀嚼する響、飲み込んで感想を述べる。


 「見た目はあれですけど普通に美味しいです」


 うん、シンプルに美味しかった。それを聞いてパァっと明るい笑顔を浮かべて「そうかそうか!美味しいか!」と自分も響の箸を奪って一口食べて自画自賛する。そうこうしているとクラリアが任務から帰ってきて真っ黒ハンバーグを見るや否や「なんじゃこりゃ?」と微妙な表情をしていたが、食べるとうまいということで普通にパクパクと食べていた。



△▼△▼△▼△



 翌日、六時間目までの授業を終えた響たちは一度生徒会室によってアリアを迎えに行き全員で冒険者ギルドへとへと足を運ぶ。マリアが受付嬢の元へ行き「先日特別任務をお願いしたマリアというものですが」と一言言うと受付嬢はカウンターの下から一枚の張り紙を取り出した、その紙こそ昨日マリアがセリアを引き連れて手続きをしていたものだった。

 張り紙には指定受注者と書かれている欄にしっかりと響・梓・影山・アリア・ミスズ・リナリアそして今回の任務の発行者であるマリアとセリアの名前がしっかりと書かれてあった。ミスズとリナリアはまだ冒険者登録をしていなかったためそれを済ませた後に全員分のネームドプレートを提示して本人確認を取り無事受注することが出来た。


 一同はその後一旦家に戻り着替えなどを数日分用意してからフォートレス家に現地集合という形をとることにした。今回の任務はフォートレス家の屋敷に泊まり込みで解決に当たることになっており学校へは屋敷から通学することになる、ただ、ただ単に泊まり込みするだけだと迷惑をかけるので泊まっている間は全員フォートレス家の使用人として屋敷のお手伝いをすることになっている。

 響は昨日の内にカレンに伝えておいたためエミルにもクラリアにも伝わっており滞りなく準備をし終えて梓たちを外で待つ。しばらくして影山が、そして梓が大きめのバッグを持って出てきた。

 フォートレス家に着くとマリアとセリアそしてアリアが門の前に立っていて全員の到着を待っていた、そこに響たちが集合しミスズとリナリアがやって来てメンバーが揃う形になった。門には今回の連続事件に少なからず不安を隠しきれていない様子の門番たちが並び警備をしていた、バドゥクスは数日間の勤務予定だったが今回の事件もあるため警備強化のため残っているらしい。


 「全員揃いましたわね。ひとまず、私の部屋へ行きましょう」


 マリアが門を開けて全員が屋敷の中へ入っていく。ドジっ子眼鏡メイドニュゼナやメイド長さんが響たちを出迎え一行とともに部屋まで同行する、後で全員分の執事服とメイド服を持ってくると伝え部屋を後にした。

 マリアは手短にまた門番の一人が重症の状態で発見されたことを皆に話した、そのことでより一層響たちの気が引き締まる。今日のところは屋敷の使用人や門番の顔と名前を憶えて一致させることを重視して本格的な内部調査はそれからということになった。

 しばらくしてドアがノックされニュゼナとメイド長さんが執事服とメイド服を両手に抱えてやって来たため男子組と女子組でそれぞれ後ろを向いて絶対に振り向かないようにして着替え終わる。


 メイド服に着替えた女子組の見違えようはそれはもう凄かった、どれくらい凄かったかと言うと、「どちら様ですか」と問いたくなるような、そんな感じだった。梓は黒髪ショートで黒い瞳のため何というか初々しさが残り響にとっては凄く新鮮な姿だった、アリアは片目を覆うほどの長い髪と含みのある笑い方から謎の大人っぽさがありミスズとリナリアは鮮やかな紫色の髪が本当にアニメや漫画の登場人物のような非実在感を漂わせていた。

 

 結論として響と影山の男子組が導き出したのはあまりに愚直で素直な考え、そして本人たちは無意識のうちにその考えを同時に言葉として出していた、そう、「なんだお前ら可愛いなぁ!?」と。

居残り転生組メンバー「また出番が……」

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