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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
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休日のお話。

前回狂戦士化してましたが梓はれっきとしたヒロインです。

 能力フル活用で辛くも勝利をもぎ取った梓はフランの拘束を解除してもらい満身創痍の体に残った僅かな力を入れてフラフラと立ち上がる、その状態のまま戻ってきた梓に響が駆け寄る。そのまま響の中でポスリと倒れ込んだ梓は心底疲れたように大きく長いため息を吐いて早速愚痴り始める。



 「………つ、疲れ……た……」

 「お疲れ、梓」

 「どうだった~? 私の戦ってるときの感じ」

 「格好良かったぞ」

 「……惚れた?」

 「調子に乗んな」



 軽くデコピンをすると梓は「えへへ……」と上目遣いでフニャ~っとした笑顔を響に見せてくる、その顔に変に緊張して本当に惚れそうになる響だがぐっとこらえたがその反動で目をそらしながら黙り込んでしまった。アリアに「お熱いねえ」とニヤニヤしながら冷やかされたためそそくさと元いた場所に戻って梓に回復魔法をかける、その横ではマリアがセリアに眠っていることはを預けて深く深呼吸をしていた。



 「では、行ってきますわ」

 「頑張ってください! お嬢様」

 「攻撃が当たらなくても騒がないように、マリアさん」

 「分かってますわよ!」

 「頑張ってねマリアちゃん!」

 「本当、応援してくれるのはありがたいのですが、目の前でイチャイチャされると気が抜けますわね……」



 完全に響を座椅子代わりにして寄りかかっている梓とその状態で回復魔法をかけている響を交互に見て半ば呆れ果てながらも気を引き締めて決壊の中に入っていく、だが結果はあえなく敗北、はぁ……と俯きながらセリアになだめられるが普通はこの結果なのだ。普通の学生がいわば戦闘の専門学校とも言える魔導学院の生徒相手に勝てること自体がおかしいのだが、魔導学院側の生徒たちはこれ以上ないくらいに喜んで勝てたことを喜んでいた。この中で影山だけが今の状況に対して指摘を入れる、「いや、おかしくね?」と。



 最終試合であるミスズの試合の番になりすっかりいつもの調子を取り戻したミスズは響に何かエールを求め、言われた通り響は「頑張れ」と一言送るとミスズは響に背を向け響に見えないように無言で、尚且つ最高の笑顔でガッツポーズをしていた。その姿は狙い通り響には見えなかったが正面にいた影山と賢介にはガッツポーズがバッチリ見え、あんぐりしている二人に気が付いたのか恥ずかしそうに顔を赤くして足早に結界の中へ入っていった。



 「すげえな、女子って」

 「全くだ、絵美里でもああはなんねえ」

 「なに? 呼んだ?」

 「なんでもねえよ」

 「今のミスズの話?」

 「見てたんじゃねえか!」

 「お前らもなんだかんだで仲いいよな……」



 外野の声など露知らず、ミスズは「無蝕透明ハーミット・ファントム」で自身の姿を消し相手が呆気にとられている隙にヒョイとワッペンを取り上げて何とも言えない空気の中勝利した、間違いなくこの日一番早く終わった試合だろう。

 これで全員分の試合が終わり全十二試合中、六勝五敗一引き分けとまさかまさかの魔法学校メンバーの勝利という形で幕を下ろした。両校が一列に並び、琴葉はマリアの背中に乗り梓はさっきの戦闘の反動で力が入らず響の肩に手を回している状態で、魔導学院生徒会長フランが「礼っ!!」と号令をかけ「ありがとうございました!!」と互いの健闘を称えあう。それぞれ固く握手を交わしながら一言ずつ感想を述べる、フランと梓、ヴィラとアリアは抱き合いながら本気になった相手の勇姿を忘れまいと十数秒間密着していた。魔導学院の校門で別れ魔法学校へと一旦帰った後に解散となり、いつもより早く家に帰ることが出来た。

 



 帰り着くと家にはエミルしかおらずクラリアはギルドに行って狩りに出かけておりカレンは王都にて研修生として訓練のため帰るのは遅くなるとか、「あら~早かったわね~」と相も変わらずのほほんとしていて家の掃除や洗濯などをしていた。部屋に入るとすぐさま制服のままベッドにダイブしてこれでもかというほど体を伸ばして一日の疲れを取った、響の試合自体はそこまで大変なものではなかったが上級学校ということもあってどちらかと言えばそういう雰囲気的な疲れの方が大きかった。響はなんだか体を動かし足りなかったためクラリアが戻ってきたら稽古をつけてもらおうと思って暇つぶしがてら本棚から厚めの本を一冊取り出してベッドに横になって読む、内容はネメシスの童話のお話で英雄やらお姫様が出てくるといったものでまともにじっくりと読んだことはあまりなかったので新鮮な気分だった、元々響は読書が趣味だったためすぐに本の世界へと入り込んでいた。



 「ただいまー」とクラリアが帰ってきた声が聞こえてきてハッとする、時計を作って時間を確認するともう午後五時ごろで響が帰ってきたのが大体午後三時くらいだから約二時間近く読みふけっていたことになりすでにエミルが夕食の準備をしていたところだった。帰ってきたばかりのクラリアに早速響は剣の稽古を頼み晩御飯が出来るまでという条件でやってくれることになり、晩御飯の時間までたっぷりやってその日は本の残りを片付けてから眠ることにした。



△▼△▼△▼△



 それから数日後、土曜日の朝稽古のために早めに起きた響は道着に着替えながら流石に今日は朝から騒がしいことにはならないだろうと高を括っていた、それがフラグとも知らずに。

 ただなんとなく、本当になんとなくだがドアノブに手をかけようとしたところで念のため数歩下がって少しだけ待ってみることにした、するとドタドタドタ……と誰かが走ってくる音が聞こえたため今日は誰だろうかと思いながらベッドに腰かけて待っているとやがてドアが勢いよく開いた。



 「おっはよー響ぃ!」

 「おらぁ響、起きろぉ!」

 「とっくに起きてるわ」



 案の定梓と影山が二人してカチコミに来たヤクザよろしく派手にやって来たが二人は完全に目覚めている響を見てつまらなそうな顔で文句を漏らしていたが響からすれば知ったことではない、そして次にマリアとセリアが「どうだったんですの?」と言いながらやって来たが撃沈した梓と影山を見て「あぁ……」と見事に察していた。それから他の門下生の人たちも来て午前六時に朝の稽古が始まった、素振りから入って型の稽古や模擬戦と昼頃まで続いたそれはクラリアとカレンを除いてみんな疲れるまで行われ魔導学院との試合で筋肉痛が残っている梓はところどころぎこちない感じで稽古をしていたがそれでもこの年の子供にしては十分すぎるものだった、響と影山はそれぞれカレンとクラリアと模擬戦を行ったが全然歯が立たなかった。響の方はカレンと打ち合える程度になっていたが影山はどうにも型や戦術が忘れがちにになってしまい剣の精度が疎かになってしまっていた。

 



 セリアは影山とは対照的に型や戦術を意識して戦っていたがそちらの方に気が行ってしまい突然の事態には弱かった、マリアは剣の精度も威力も考えて戦っていたがどっちもやろうとするあまりどっちも中途半端になってしまった。梓はどちらかと言えば影山よりの戦い方だったが野生の勘ともいうべき直感でカレンやクラリアといった強者たちと渡り合っていて、響はこの中では最古参で型も剣の威力も十分に出来ていたが実戦となると梓に劣ってしまう。




 そんな感じで今日の稽古は終わり、みんながそれぞれ喋りながら汗をタオルで吹いているとマリアがトテトテとセリアと一緒に響たち三人のところへとやってきた。



 「あの皆さん、午後から何か予定はありますでしょうか?」

 「んー私は特にないかな」

 「俺も特にこの後家の手伝いとかもないしなー」

 「俺もこいつらと同じかな」

 「でしたら! うちで遊びませんか?」



△▼△▼△▼△



 というわけで今現在響たちはマリアが暮らしているフォートレス家の別邸に来ている、本家は王都にあって魔法学校からは通学に不便なのでマリアはセリアと一緒の部屋で暮らしているらしい。そのことに関して特に言うべきことはない、むしろ響が今指摘したいのは、



 なぜに家の前に門番が十人ほど常駐していて槍の矛先を向けられているのかということだ。



 この門番たちの後ろにインターホンらしきものがありマリアからは「着いたらチャイムを鳴らしてくださいまし」と言われているから早急に到着したことを知らせたいのだがこの状況ではとても出来そうにない。

 今日はきっと厄日だな、響はそう思いながらどう切り抜けたものかと考えていた。

次回投稿は明後日になります。誤字脱字などあれば指摘してくれるとありがたいです。

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