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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
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意地と意地のぶつかり合いのお話。

戦闘パートその2

 第二試合、凪沙と生徒Bの試合は凪沙がまたしても「暗宙模索(ハートレスソナー)」で一部の上級魔法などで的確に弱点を突きながら相手生徒の攻撃を凌いでいたものの本来この能力は索敵などの補助目的の用途で使用されるものであるため戦闘向きではない、そのためか最初こそ何とかやり合えていたが徐々に相手生徒が凪沙の戦い方に慣れていき足を払って凪沙のバランスを崩させたところを抑え込んでワッペンを奪い勝利する。申し訳なさそうに応援席に戻ってくる凪沙を男子陣で励まして次の試合の応援に徹する。

 



 第三試合は賢介と生徒Cの試合だったがすでに賢介は白兵戦訓練の時に生徒の一人を屈服させており今回の試合も白兵戦と魔法両方で相手生徒の行動を予測して対処していき確実にダメージを与えられるときに中級魔法で攻撃していくという方法でじわじわと相手にダメージを蓄積させていく、白兵戦では予測は出来ていても体がまだ付いていかない箇所がちらほらあって賢介の方にもダメージはそれなりにあったが何とか勝利することが出来た。



 途中に何度か上級魔法を試していた賢介だったが発動はするものの持続性がなく使えたものではなかったのだが牽制くらいにはなっていたようだ。ハイタッチして床に座る賢介に「不良ってもうちょっと荒くれた感じで戦うのかと思ってた」と影山が普通に言っていたことに対して「んなわけねえだろ、てか別に不良ってわけじゃねえよ」とぶっきらぼうに返していた。ただ無視しないでちゃんと返事したり堅実にダメージを与える戦法を取る辺りこいつ本気出せば頭いいんじゃないのか?と響は思ってしまう。




 次の試合はヴィラとアリアの現役冒険者対決で両陣営の興奮が高まっていく、アリアがみんなに「んじゃあ、行ってくるよ」といつもと変わらない口調で振る舞っていたが、その目が口調とは裏腹に真剣そのものであることにマリアは気が付いていた。その横でミスズも気が付いていたようで「あの人、結構すごい人ですよね」と感嘆の言葉を漏らしてじっと見ていた。




 そう言ってる間にヴィラの方の準備もできたようで両者が闘技場の中で握手を交わして戦闘態勢に入る。そして二人の試合、もとい死合が始まった。



 「燃え震え枯れ果てよ! フレイムエヴォルヴ!!」

 「凍てつき砕けて祖を穿て! フロストアローズ!!」



 初手から上級魔法をぶつけるアリアとヴィラ、一方は超高温の巨大な炎でもう一方は超低温の複数の氷、相反する二つの属性の魔法同士がぶつかり合いヴィラが放ったフロストアローズがアリアの放ったフレイムエヴォルヴによって一気に蒸発し場内が水蒸気で満たされる。互いに視覚が封じられた中でヴィラが仕掛ける、短刀を逆手で両手に持ってそこにいるか分からないアリアに向かって突進しヒュッと風を切る音を鳴らす、ヴィラの読み通り確かにそこにアリアはいたが短刀の刃はアリアに届くことはなかった。ヴィラが突っ込んでくることを読んでいたアリアは防御用ゴーレム「弐号」を作成、済んでのところで短刀を弐号に当てることで防御してその後ろからヴィラの腹に掌底を叩きこむ。



 「ぐっ……」



 小さく呻き声を漏らすヴィラにさらに叩き込もうとするが掌底を放った腕を掴んだヴィラによってアリアは背負い投げの要領で投げ飛ばされてしまい受け身を十分にとることが出来なかった。



 「がっ……」



 ヴィラはこの戦いを長引かせるのは不毛と考えすぐさまワッペンを狙うがそれを待っていたかとばかりにアリアがニィッっと笑う、「しまった」と思ったヴィラだったがすでに遅く後ろから迫ってきた弐号がヴィラの横っ腹を蹴り飛ばした、数m吹っ飛んだが上手く両足と左手でブレーキをかけて止まる。すぐさまヴィラは第二波を警戒してまず視界を十分に確保するために強烈な風を巻き起こす上級魔法「ガストブラスト」で水蒸気の霧を一気に晴らしていく。流石に上級魔法の連発は魔力の消費が激しいので一旦中級魔法に切り替えて魔力を温存する作戦に切り替えたヴィラは雷で出来たクナイを複数本作成する中級魔法「エレクトクレイク」で恐らくアリアがいるであろう方向へ投げつけていく、それがアリアには当たっていないであろうことを確信しながら。

 


 ヴィラの予想通りアリアは弐号でガードしつつ己もエレクトクレイクで攻撃するもヴィラがそれを上手くキャッチして投げ返すそしてそれをまた弐号でガードする、それからアリアはスピード特化型ゴーレム「四号」を作成してヴィラとの間合いを詰めさせてそちらに視線を集中させ自分は自分で魔法をわざと外して牽制しながら四号との連係プレイでヴィラを追い詰めていく。何度かワッペンを取られそうになる時があったがそこはゴールド級冒険者の意地を見せ一対二の近接戦闘を何とか凌いでいくが、だがそれも限界が近づき四号の攻撃によってバランスを崩されたところをアリアがすかさずワッペンを奪い取ろうとしたその時、四号と一緒にアリアが突然真後ろに吹き飛ばされてしまう。




 「正直、これは使いたくなかったんだけどね……」

 「この魔法……ヴィラ! 無理するな!」




 今の魔法を知っているレイがすかさず忠告をするがヴィラは軽く頷くだけで再びアリアに突進して、倒れているアリアのワッペンを奪おうともせずただ単に叩き潰そうとしている。




 ヴィラが今使った魔法は上級魔法のその上、緋級魔法の分類に入る「ビーストハウル」という自分を中心とした範囲のものを吹き飛ばすという無双系にありそうなものだ。緋級魔法の中では入門編のような感じで他の魔法に比べれば比較的簡単に覚えやすいのだがその分消費する魔力の量が多く、今のヴィラでは一回の戦闘で一回限りの奥の手である。

 突然のことで混乱するアリアだがものすごい勢いで迫ってくるヴィラの気迫にその混乱は一瞬にして消えていきすぐさま迎え撃つが、さっきのビーストハウルで一種のバーサーカー状態になったヴィラは先ほどとは打って変わって超攻撃的な戦闘スタイルになっていた。

 



 それからの二人の戦いはもはやただの殴り合いになっておりまだ幾分か冷静を保っているアリアが攻撃重視のゴーレム「壱号」を作り出して優勢に持ち込もうとするが狂騒状態で野生の勘のようなものが働いているヴィラに次々と交わされてしまいゼロ距離の中級魔法で腹に大きな穴を開けられて早々にリタイアしてしまった。殴られたら殴り返し蹴られたら蹴り返し魔法なら魔法で返すという小学生の喧嘩並みの発想で戦う二人だがその威力や気迫はそこらのチンピラなら漏らしながら泣いて帰るくらいには恐ろしいもので、両サイドの応援も止みただ単に見守るだけとなっていた。

 



 そんな状態だからかアドレナリンがどんどん出て興奮状態に入ったアリアが目を見開いて口角を上げてニイッと笑いながらこれまた愉快そうな表情のヴィラと血を流しながら殴り合っている。




 その状態が数分続き満身創痍の二人は雄叫びを上げながら互いに頭突きをしてしばらくフリーズした。そして二人して白目を剥いてその場に前のめりに倒れ込んだ。お互いに軽い脳震盪を起こしており勝敗は引き分けという結果になった。レイと響がすぐさま駆け込み頬を叩いて呼びかけるも両者ぐったりしているだけで何も反応はなかったためひとまず闘技場から担いで退場させ医務室に運ばれていった。




 床の血液を綺麗に拭いた後、二人が医務室に無事運ばれたのを確認してから次の第五試合が行われることになったのだが次の試合に出るセリアと生徒Dは目の前で起こっていた凄まじい戦いの熱が冷めないまま出たので二人ともどこか集中力が欠けている状態で試合を行うことになってしまった。

女の戦いと言ったところでしょうか。それとまさか二話投稿できるとは思ってなかったです。

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