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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
31/221

一般人vs転生者のお話。

戦闘パート

 ゴーン……ゴーン……ゴーン……



 授業の終わりのチャイムが学校になり響き午前の部の特別授業が終わり昼休みの時間になった。魔導学院には食堂がありそこで自由に好きなものを買って食べてくれとのことで響たちは各々自分の食べるものを注文してテーブルの一角を占領する、次第に続々とみんなが注文したものが運ばれてきてちょっと新鮮な感じの昼食タイムになり授業終わりの魔導学院の生徒たちも段々増えてきて食堂はあっという間に生徒たちで混雑し始めた頃だった。



 「あれ? ヒビキ? それにアリアもいるじゃん」

 「え、レイさん!?」



 昼食を食べている響たち魔法学校の生徒の集団に話しかけてくる金髪に緑色の瞳で制服を少し着崩しているイケメンの人物、そうゴールド級冒険者のレイである。



 「おやこれはレイ先輩じゃないですか、奇遇ですねー」

 「含みのある言い方だなアリア、ほんとは知ってたんじゃないのか?」

 「まさか、僕は探偵じゃないからね。今日は魔法学校と魔導学院の特別授業で来てるんですよ」

 「レイ? 席埋まっちゃうわよ……ってあら、ヒビキにアリアじゃない。それにそっちの二人は確か……」

 「あ! あの時のお姉さん、お久しぶりです!」

 「久しぶりね、確かアズサさんだったかしら。そっちはセイヤ君であってたっけ?」

 「覚えていてくれたとは俺嬉しいです」



 その後ろからひょっこり現れたのはレイとコンビを組んでいるゴールド級冒険者のヴィラだった。黒髪のボーイッシュカットで翡翠色の瞳に左耳には同じ翡翠色のシンプルなカフスピアスをつけ、制服の第一ボタンを開けネクタイを緩めており凛とした表情と相まって大人っぽさと色っぽさが漂っている。



 あの時一緒にいたマリアとセリアも二人のことを覚えていたらしく、響ら六人を除いた他のメンバーに軽くレイとヴィラのことを紹介して席の関係で一緒のテーブルで昼食を食べることになり、聞くと二人は今年この魔導学院に入学した新入生だということが分かってアリアが茶化していた。

 


 昼食を食べ終えた後に思いのほか楽しく駄弁ることが興に乗ってきた頃、またしてもゴーン……ゴーン……と授業の予鈴がなりレイとヴィラは「また今度任務行こうぜー」と言って教室へと戻っていき、響たちもまた特別授業のため移動する。先ほど凪沙がレイにあの場所の名前が何というのか聞いたところ「あそこは戦闘訓練室っていうんだよナギサちゃん」と親切に教えてくれ盛大に凪沙の性別を間違えて「女の子じゃない……だと……」と絶句しておりレイの横にいたヴィラが水を噴き出していたことが昼休み中のハイライトになるだろうか。今度任務一緒になったらいじってやろうと響はこの時決意した、アリアが目だけで「いじり倒してやろうじゃないかヒビキ君」と言っているような気がしたのでとりあえず頷いておいた。



△▼△▼△▼△



 ゴーン……ゴーン……ゴーン……



 先ほどの予鈴から五分後に授業開始のチャイムが鳴って特別授業午後の部が開始される。午後の部は最初の説明にもあった通り魔導学院の生徒たちと魔法学校の生徒たちとで行われるチーム戦、魔法学校の方は全員参加で魔導学院の方は二十人とフランを加えた中から魔法学校側と同じ人数の十二人が選出される。魔導学院側がメンバーを選んでいる時間に響たち魔法学校側はじゃんけんで負けた順番にメンバーを決めていたのだが、よくよく学院側を見てみると生徒会長のフランの姿が見当たらずどこにいったのかと思っていると戦闘訓練室の扉が勢いよく開きフランが何故かレイとヴィラを連れてやって来た。



 先ほどの昼食の時にレイとヴィラが響・梓・影山・マリア・セリア・アリアの六人と親し気に話し他のメンバーともおしゃべりしていたのをどこからか見ていたか聞いていたようで授業で訓練中だった二人を無理やり引っ張ってきたということだというのだが、なぜこの世界の偉い人っていうのは突発的な行動をするんだろうと響はこの時思った。

 レイとヴィラもいまいち状況が分かってないような表情で半強制的に選抜メンバー決めに巻き込まれていた。結局向こうもじゃんけんで決めていたようですぐに選抜メンバーは選出され両生徒一同が横一列に並んで向かい合って「お願いします!」と礼儀正しく挨拶をして向かい合った人と握手をする。




 魔法学校側は智香・凪沙・賢介・アリア・セリア・絵美里・影山・琴葉・響・梓・マリア・ミスズの順番に戦っていき、対する魔導学院側は生徒A・生徒B・生徒C・ヴィラ・生徒D・生徒E・レイ・生徒F・生徒G・フラン・生徒H・生徒Iの順番で響たちを迎え撃つ。




 このチーム戦はちゃんと試合用の舞台が設けられており、ここから移動した「闘技場」と呼ばれるサイバー感溢れるものではないがそれでもバトル漫画に出てきそうな場所に設置されている。元々戦闘訓練室自体も白を基調としてそれこそ本当にラノベ原作のアニメに出てきそうな空間で日本の病院のような白よりもよっぽど綺麗でずっと近未来感がある。街並みは中世ヨーロッパのような感じでもこういうところは元の世界よりもかなり発展している。



 だが闘技場は部屋全体に上級防御魔法が常に張られており中級魔法程度では壁に傷一つかないという使用になっている。部屋は六区画間に分かれていてタイル状になっている床の溝から防御魔法の結界が出現して使いたい分だけ区画を分けることができる。六区画間なのは単に魔導学院側のデフォルト仕様だ。

  



 ルールは単純、相手の腕につけられたワッペンを取るか相手が気絶するかさせれば勝ちとなり、相手を死亡させたり重傷を負わせたりするのは禁止事項になっている。胸にブローチをつけるという案もあったがセクハラになっては困るということで却下され、密かに学院側の男子が悔やんでいたのは男の子としての宿命なのだろう、そしてもちろんこの事実を魔法学校側は知ってはいない、賛同するメンバーが増えては困るからだ。



 第一試合目、智香vs生徒Aの試合は生徒Aの優勢で進んでいき智香は防御魔法や連発できる中級魔法で堅実に戦って梓や琴葉が声を大にして応援をして智香を鼓舞していく。対する学院の生徒も魔法と白兵戦を織り交ぜながら戦い、智香も白兵戦を使いながら接近戦で魔法を放ったりと緩急をつけていくが徐々に経験の差が出始めバトルフィールドの外へと追いやられていく、防御魔法の壁に背をつけた智香にワッペンを奪い取ろうと生徒Aが襲い掛かり智香の敗北が決定しようとした。





 その時





 生徒Aの目の前をクリアレッドの蝶が目の前を横切った、その一瞬で僅かながらではあるが集中力が乱れた生徒Aの姿を待っていたかと言わんばかりに先ほどの蝶が今度は百匹近くの群れとなってブワーッと突撃してきた。何が起こっているのか理解できないままその蝶を払ってようやく視界を確保するとすでにそこに智香の姿はなかった、そして後ろから女の子の声と鈍い痛みが生徒Aを襲い衝撃に耐えきれずぐらりとその場に崩れ落ちてしまう。

 崩れた生徒Aの後ろにはさっきの蝶を翼のようにして纏って右手に魔方陣を展開させている、劣勢だったはずの智香がそこには確かに立っていた。智香が生徒Aのワッペンを奪ったことで智香の勝利が決定し魔法学校側がまず白星をあげるという幸先のいいスタートを切ることができた。




 実は響きたちは魔導学院がメンバー決めをしているときに琴葉の提案で「能力解禁」というある意味禁じ手ともとれる作戦を採決したのだ。一番争い事が苦手で滅多にこういう自分から火種を撒くようなことをしない琴葉からこのような提案が出たことはかなり珍しく面白そうなので全員快く了承して現在の智香の試合終了まで至るというわけだ。

 午前の部の授業では能力ばれのため隠していたから、魔導学院は「まだスキル持ちがいたのか」という驚愕の事実に苛まれることになる。いくらなんでも響きたち魔法学校の生徒よりは技術を学んでいるわけだし多少てこずらされることはあっても負けることはないだろうと余裕綽々の状態で挑んだ魔導学院の一般性とだったがいざ蓋を開いてみればとんでもない災いが飛び出してくるなんて思ってもいなかったはずだ。




 その一方で現役冒険者のレイとヴィラは「やっぱりな」とこの展開を読んでいたように呟きすぐさま対策を練り始める、フランはただじっと響きたちを見つめ含みのある笑いを漏らすだけだった。

 白星を勝ち取ったことで響きたちのボルテージは一気に上がっていく。ここから魔導学院の一般生徒たちにとっては卒業まで記憶に残る悪夢になってしまったことは言わずもがな、本気になった転生組とレイとヴィラそしてフランたちの想像を絶する戦いが起ころうとはこの特別授業を提案したオーハートも想定していなかった。

これでまだ転生組の卒業まで三年あるという

※設定上の都合で変更したためあと五年でした。

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