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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
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魔導学院のお話。

一般人に適合能力使用はただのイジメ

 王国と一口に言っても国には必ず中心部に当たる都市があるものだ、ここネメシスでもそれは例外ではなく王国にも「王都」と呼ばれる王族や外交が盛んに行われる中心部のような都市とその周りに位置する「副都」が存在し、王都は王国と同様各種族の大陸に一つずつ設けられている。要約すると各大陸には様々な国があるがその中でも重要視されるのが王国でその王国の中で中心となる都市が王都ということになる。日本で言えば東京都が王国で皇居などがある場所が王都ということになるのだろうか。



 それはさておき、現在響たちはウィルレイヤードにつられ魔導学院がある王都へとやって来ている。ラピストリア魔法学校も王国にあることにはあるのだが副都でしかも割と王国の外に近い端側に位置している、すぐに外である平原へと移動できるのがその証拠だろう。

 


 今回この王都に来ている理由は先日のオーハートが言っていたように魔導学院での特別授業が設けられたからだ、王都は王国の中心ということもあってかなり発展しており武具店や青果店などの基本的な店から一般の民家に至るまで響たちの住んでいるところよりもグレードアップされている。普通に街を歩くだけで影山の家で売っている一番いい防具レベルのものを装備している人があちらこちらにいる、王国騎士団の本拠地であることも関係しているためこういった冒険者の人たちの装備も需要が多く使う人も多いので良いものを安く手に入れることが出来る。



 そんな都会の目新しい新鮮な雰囲気に目を奪われながらも響たちラピストリア魔法学校一行はオーハートの待つ魔導学院へと王都を歩いていく、魔導学院は魔法学校とは違い王国しかも王都に一校しかないが寮も完備されており王国の中枢ということで様々な最新の魔法や情報がいち早く入ってくるなど至れり尽くせりとなっている。なお生徒の中には現役の冒険者をやっている者も少なくないとか。




 街を歩くこと十数分、響たちは一つの建物にたどり着いた。そこは規模こそ魔法学校の半分ほどしかなく寮と合わせても七割程度の大きさしかない、もっとも日本の学校とかに比べれば断然大きいのだが魔法学校よりも凄いのだろうなと思っていた響にとってはなんだか拍子抜けと言えば聞こえは悪いが正直思っていたのと違っていた。ウィルレイヤードに続いて他の面々も学院の中へと入っていくとそこにはすでにオーハートと魔導学院の生徒一人が響たちを待っていた。オーハートがこちらへとやって来てウィルレイヤードど固く握手をして響たち魔法学校の生徒たちへ向き直って軽く挨拶をする。




 「よく来たねみんな、ようこそ魔導学院へ。立ち話もなんだから場所を移動しようか、ついてきたまえ」




 どうやら魔導学院は現在授業の真っ最中のようで時折教室から声が聞こえてきた。響たちは連れられるままとある場所へと案内された、その荘厳な扉を開けるとそこには二十人ほどの制服姿の生徒たちが模擬刀で今まさに一対一の試合を行っていた。その生徒たちの気迫は凄まじくとても魔法学校では味わえないであろうものでアリアも思わず口角を上げて楽しそうな顔をしていた。普段不真面目な絵美里も今回ばかりはじっと試合の様子を伺っていた。その最中にオーハートの横にいた制服の上にローブを羽織った生徒が手を一回パンッと叩くと先ほどまで模擬刀と模擬刀がぶつかり合う音と雄叫びでうるさかった空間が一瞬にしてシーン……と静まり返りこちらの方を気を付けをして向いた。



 「ありがとうヘルヴォールさん。皆、訓練中失礼する。こちら魔法学校の生徒さん方を連れてきた、あいさつしたまえ」



 その一言で魔導学院の生徒たち二十人が一斉に「おはようございます!!」と元気良く挨拶をする、さながらその光景は軍隊の訓練を見ているかのようだった。こちらも「おはようございます」と挨拶を返した後そのままオーハートが続けて今日の授業の内容について説明する。

 まずこの後は互いに自己紹介から始まりそれから早速合同戦闘訓練の授業に移り昼食をはさんだのち今度はチーム戦で実戦訓練をするという感じで進んでいくらしい。



 早速魔法学校側の自己紹介になりアリアから順に名前と学年そして得意な魔法を一人ずつ発表していき次に魔導学院側の自己紹介に移り二十人全員が一人ずつ自己紹介をしていく。その挨拶が終わった後先ほど手打ち一回で訓練を中断させた如何にも強キャラ感が漂うローブの生徒の番になった。



 「初めまして、フラン・ヘルヴォールと言います。生徒会長を務めています」



 そう名乗った彼女とアリアは生徒会長同士面識があったようで「お久しぶりです」とアリアが手を差し伸べたので握手でもするのか思ったがいきなりフランがそのアリアの手を引っ張って抱き寄せた、その突然のことに我が目を奪われる魔法学校・魔導学院両生徒たちを気にも留めず満面の笑みでアリアをぎゅーっと抱き着くフランの腕の中で「ヒビキ君!ヘルプ!」と響に助けを求めるアリアだが響の感想としては手玉に取られるアリアをあまり見ないのでこのまま眺めているのもいいものかという考えから「頑張ってください」とにっこり微笑みながら依然助けを請うているアリアとフランの絡みを眺め、「ああ、やっぱり強い人ってどっかおかしいんだな」と清々しい気分で思っていた。

 



 オーハートが止めなければ小一時間は抱き着いていたであろうその光景を強制的に中断させて合同訓練へと移る。五人と十人の組に分かれて白兵戦の訓練と魔術戦の訓練とで分かれて時間制で交代するという方法で訓練を始める。響の最初の訓練は魔術戦の訓練で今現在どのくらいまで魔導学院の生徒たちの通用するかということでまず順に軽く手合わせをして個人個人何が足りないのかを発見していくということで始まったのだが、響のオリジナル魔法「ニュートンの林檎」で相手生徒の自由を奪った状態で上級魔法を直撃させて完封勝ち、白兵戦の方では影山がばれない程度で能力を発動させ一回も反撃を許すことなく生徒の一人に完封勝ちという初っ端からまさかの事態が起こってしまったため倒された相手生徒二人も何がどうやって負けたのか正直分かっていなかった。

 


 気を取り直してそれぞれ二人目に移るが白兵戦では賢介が最初こそ攻めあぐねていたが「王行闊歩(ルート・イズ・マイン)」による行動予測で相手生徒の攻撃を全てジャストガードして防ぎ隙が出来たらすかさず攻撃という方法で普通に勝利し、魔術戦では絵美里が「我淀引水(デコレーション)」の能力が成長したことで魔法にも性質付与が出来るようになり「必ず当たる」という自分に都合のいい性質を付与して中級魔法を百発百中で当てて勝利していた。

 



 凪沙も「暗宙模索(ハートレスソナー)」でどこに攻撃すれば効率よく叩きのめせるかと外見に似合わずアグレッシブな考えで戦ったり、琴葉は元々攻撃が苦手なのでひたすらガードして自分自身にダメージを蓄積させ「同病操麟(ペインウォーフェア)」でその蓄積ダメージを相手に味わわせての特殊攻撃など、一回使った程度ではばれないような能力を保有している転生組のメンバーはここぞとばかりに能力フル活用で実力差を力づくで埋めていった。

 



 そんなイレギュラーな展開で幕を開けた特別授業はまだ始まって数分しか経っていないにも関わらず、魔導学院の一般生徒たちが本気なった転生組の面々に戦闘技術を教えるという重要な役割を放棄してただ単に真剣に戦うガチバトルに発展してしまったのはきっとウィルレイヤードとオーハートも想定していなかったことだろう。無論、響・梓・智香などの見ただけで何を行ったのか分かるような能力を保持している転生組メンバーや、アリアにミスズなど同じく何をしたのかが分かるスキルの持ち主、そして一般人のマリアとセリアもこんなことになるとは思っておらず何とも言えないまま模擬戦をすることになった。



 この時響は「よくよく考えたらマリアさんとセリアさん以外全員能力持ちだなぁ……」と思いながらもそれを口にしてはダメな気がしてじっと黙っていた。

次は戦闘パートの予定

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