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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
24/221

戦力確認のお話。

ちょっと短め?かな

 「笠原美鈴」と名乗る謎の人物からの手紙が届いてから一夜明けた翌朝のこと、いつもより早くに目が覚めてしまった響は二度寝しようとしても全くと言っていいほど眠気がなかったため、道着と袴に着替えて早朝四時ごろから一人で剣の素振りと型の自主稽古を行っていた。その最中、家と道場を隔てる引き戸がガラガラと引かれもう一人の人物が道着と袴の姿で現れた。その人物というのが幼い頃からの響の師匠的な存在であり新たに家族になった魔法学院を優秀な成績で卒業して現役の王国騎士団に所属しているカレンだった。カレンはまさか響がいるとは思っておらず少しだけ驚いていたようだった。



 「こんな朝早くからどうしたんだ?」

 「いえその、なんか早く目が覚めちゃいまして」

 「そうか……なら丁度いい、たまには二人でやり合わないか?最近は手合わせしてないし」

 「分かりました」



 という具合に朝の四時から一つの道場で一本勝負の模擬戦が行われた。結果から言えば初めに攻め込んだ響の木刀をすべて自分の刀で受け止めたカレンが受け流しの要領で一気に間合いを詰め込み刀の柄の部分を相手にあてる「柄当て」という技をで響の水月、つまりはみぞおちの部分を的確に捉えて響がひるんだ隙に首元へ木刀の刃に当たる部分をよこしてカレンの勝ちが決まったのであった。その後もう一本、さらにもう一本挑んだがすべてカレンの勝ちに終わった。三本目は僅かに響の木刀の切っ先がカレンの腹のあたりを掠ったのだが有効にはならずあえなく終わってしまった。



 カレンが言うに響は対象に集中しすぎるあまり相手の行動を予測して対処することが疎かになってしまっているため突然の攻撃に対応が遅れてしまったとのことだそうだ。家族であり師でもある人からのアドバイスを胸に刻んでこの日の早朝稽古はお開きになった。聞くところによればカレンは毎朝これくらいの時間から自主稽古に励んでいるそうで、また目が覚めたらやり合おうと言われたがそんな朝早くから毎日続けられる自信が今のところ無かったため機会があったらということにしておいた。もし何かあってももう響とカレンは正式な家族の間柄なのでいつでも稽古をつけてもらえるからひとまずは良いとする。



 それから響は朝ご飯を食べて軽くシャワーを浴びて制服に着替えていつも通り梓と影山と三人で学校に向かう途中、昨日の手紙の差出人である「笠原美鈴」という人物について聞いてみることにした。

 


 「お前らさ、笠原美鈴っていう人知ってるか?」

 「あー、なんかどっかで聞いたことあんなぁ……何だったっけ……」

 「そう言えば、一年生の頃に学校からいなくなっちゃった子の名前がそんな感じじゃなかったっけ?」

 「梓、その話もう少し詳しく」

 


 梓の話によるとその笠原という女の子はとても明るく友達も多い生徒だったのだが高校一年生の秋ごろに突然学校を無断欠席して以来一度も学校には顔を出すことはなかったという。丁度そのころ響たちの住んでいた地域の近くで誘拐事件が何件か多発していたためそれに巻き込まれたんじゃないかという噂が流れていたが真相は明らかになっていなかった。響は二人に昨日の手紙のことを話したが特に何かが進展したわけでもなく学校に到着してしまい、放課後までの間で他の転生組の奴らにも聞いたが有力な情報は特に得られなかった。悩んでいても仕方がないので気持ちを切り替えて今日も生徒会室で行われる「どうすれば学院生に勝てるでしょうか作戦会議」の二回目に出席した。




 今日の議題は「今の自分たちの能力をひけらかそう」という何ともまあお粗末な議題ではあるが内容としては重要なことで、このネメシスに来て以来能力は使用とともにその性能が向上していっているため最初に高校で説明を受けた時より進化しているはずである。




 それぞれが自分の能力を現段階でどこまで使えるのかを話してまとめた結果こうなった。

 響は雑貨程度の小物と爆薬や拳銃などの武器の生成なら問題ない、ただし大型武器は経験がないため分からない。

 梓は一度に生成できる刀の数は十本まででそれ以上は形が不定形になったりする、地中や体から生やせる刀の範囲は半径五mほど。



 影山は人一人なら片手で持ち上げられ、他の身体能力もかなり向上しているが本人しか実感できていないため詳しいことは説明されなかった。



 賢介は簡単な嘘や喧嘩程度の戦闘なら大体は予測したり看破することが可能だというが相手が複数人の場合はその予測の確立が低くなることがあるという。



 凪沙は一軒家程度なら構造から中にいる人の人数まで分かるらしいが建物が巨大になったり人数が多くなると把握に時間がかかったり困難になるという。

 佐伯はそれぞれの属性の精霊が中級魔法程度のことはこなしてくれるとのことで今のところ制御も何とかなっているようだ。



 琴葉はそもそも痛いことというか争いごとに巻き込まれないように生きているため能力を使う機会がほとんどなかったらしいので一旦保留ということにしておく。



 最後に絵美里の能力だがこいつも今あるものにこんなのがあったらなあということくらいにしか使っていないため保留する。元々戦闘向けというよりは補助向けの能力だから仕方ないと言えば仕方ない。




 かくして転生組の現在の能力がどれくらいなのかということが分かったところで次は実際にこの能力を相手にして戦ってみようということになり、模擬戦形式のチーム戦を行おうという話になったのだがこの時点でマリアとセリアの二人の理解がついてきていないため二人の考えがまとまるまで待つことにした。言わずもがな今回もいるアリアは何処から取り出したのかメモ用紙のようなものに羽ペンらしきものでサラサラと今書かれたことを書き留めていた。毎度のことながらアリアはこういう非日常というかにわかには信じられないような話とか物珍しいことが大好きなようで書き終わったところで「ヒビキ君!やはりこういうのは面白いね!」と年相応の子供のような無邪気を見せることがたまにある。



 「セリア……私もう深く考えないことにしましたわ」

 「賢明な判断です、お嬢様」



 「きっと元々この世界の住人だったら俺もあんな感じになるんだろうなぁ」と二人の姿を見てしみじみと響はそう思いながらも目を逸らす。

 そして次に明日の戦闘授業の時にチーム戦を行うことになりそのチーム決めをすることになった。何で決めようかと思ったが手っ取り早くじゃんけんで決めることにして二人ペアを五つ作り勝ったチームと負けたチームとで組むことにした結果、勝ちチームはマリア、影山、梓、智香、凪沙の五人で負けチームは響、賢介、セリア、琴葉、絵美里の五人で分けられた。



 ここで生徒会室を使わないといけない用事が生まれてしまいアリアと響とマリア以外はここで解散することになったため第二回の作戦会議は強制終了ということになり翌日の戦闘訓練と第三回に持ち越しになった。生徒会メンバー以外が出ていった後でフルーエン先生や学校長、そして何故か魔導学院の副学院長が入れ替えで入ってきた。

 作戦会議から一転して真面目な会議に変わった一発目の本題は、魔法学院宛に届けられた脅迫文じみた手紙が届けられた、とのことだった。



 その差出人の名は「笠原美鈴」とはっきり書かれてあった。

フラグを立てていくのは良いけどちゃんと回収できるか不安、まあ頑張ります。

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