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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第一章:魔法学校に入学するようです
23/221

作戦会議のお話。

ここの部分がネタ不足

 「第一回! どうすれば学院生に勝てるでしょうか作戦会議!」



 六時間目の全クラス合同強化特訓授業が終わった放課後、二ヶ月後にやってくる魔法学校と魔導学院との合同戦闘授業の中に魔法学校の生徒のチームと魔導学院の生徒のチーム行うチーム戦があるため、どうすれば勝てるかということで影山が唐突に語り始めたのがこの「どうすれば学院生に勝てるでしょうか作戦会議」という訳なのであるがここで一つ響は影山に異論を唱える。



 「質問、なんで生徒会室でやってんの」

 「アリア先輩が良いっていうから」

 「僕が良いって言ったから」

 「そっすか……」



 こういうことは開いている教室とかメンバーの家でするものが普通だと思うのだがあえてこの生徒会室を使うというのは中々ありそうでない発想である。影山曰く、「教室でやってんの聞かれたら手の内ばれて真似されるだろ」だそうで当初から本当にそこまで考えて行動しているのかただ単に面白そうだからこの場所を選んだのかは響にも分らない。もし生徒会室を使うことになった時はどうするのかと響は思ったがここにはこの場所の使用を許可した生徒会長のアリアを含め響とマリアの現役生徒会メンバーがいるためもし何かあっても早急に動けるため問題はないと言えばないのだが。



 それはともかくとしてまず最初の議題は「今のみんなの戦力」ということになり各々自分が今どれだけ魔法や戦闘技術を有しているかなどが公開された結果、特定の緋級魔法まで使えるのが響一人、上級魔法を半分くらい使えるのが梓と凪沙とマリア、もうすぐで上級魔法に入れるのが賢介とセリアで中級魔法までというのが残りの影山と琴葉と智香と絵美里ということになる。



 全員中級魔法以上は使えるということなのでパーティーの構成としてはまあまずまずといったところだろうか。梓やマリアは家柄が貴族ということもあってそういう訓練をしていそうなのがまだ分かるのが、ごく普通の家庭で育った凪沙が上級魔法を使えるというのが全員驚いていた様子で凪沙本人は「みんななんでそんなに驚いてるのさ」とのこと。



 「そしたら響だってそうじゃないか!」

 「ほら、俺の家道場だから?」

 「そういう問題じゃない気がするけど……」

 


 腑に落ちていない凪沙にアリアが「ヒビキ君は変態だから」という訳の分からない理論をぶつけ凪沙はそれで納得してしまう。今までの自分ってどう見られていたのかがこれほど心配になることはない、そう思う響へ梓が哀れみの表情で見てくるため余計に心配になってくる。その表情には「ドンマイ」という意味と「きっと大丈夫だよ」という二つの意味が込められているようなそんな顔だったため余計に精神に来る。まさか一番付き合いの長い家族同然だったやつにこんな顔をされるとは思わなかった。そう落ち込む響をよそに会議はどんどん進行していき気づけばある重要な問題に差し掛かっていた。それは。




 ―――――適合能力のことを今この場で言った方がいいか否か。




 冷静に考えればこのことは転生した八人だけの秘密ということで留めておいた方がいいのだろうが今回は転生組だけじゃなくネメシスの住人であるチームメイトのマリアとセリアそしてラピストリア魔法学校の全生徒の長アリアがこの場所にいる。生徒会室は万が一のことがあっては困るので一応防音使用になっているとアリアはこの部屋の使用を許可するときに言っていたのだがそういう問題ではない。これには全員どうすべきか頭を悩ませた。そんな状態が続いている中ついに沈黙の均衡を破るものが現れた。



 「チームメイトなんだろう? だったら隠し事はしない方がいい、それで戦術に支障が出たらいけないし、変にギクシャクしてしまうからね」



 アリアだった。生徒会室にいるメンバーの中で最年長のお姉さん的ポジションについていたアリアが沈黙を続けている十人に、正確には転生組八人に年長の威厳を見せる。最近はアリアと共に行動することが多くなった響だがこういう時は心底この人の存在に助けられている。初めての任務に言った時に響が起こした行為を優しく受け止めてくれて二回目の任務の時は響が提案した大規模爆破という正気の沙汰とは思えないような作戦も「信じた」の一言であっさり承諾、三回目だってレイに自分の能力を公表しそうになった時も止めてくれるなど響の中ではあまり表にこそ出していないがかなりその存在に助けられていると感じることが多々ある。そんな彼女が今度は転生した八人の秘密についてを手助けしようとしている。



 「……まあ、確かに隠してたってどうせ分かるんだしな」

 「賢介、本当にいいのか?」

 「良いも何も折角生徒会長が提案してくれたんだぜ? 俺たちで考えてても出ないなら乗るしかない、そうだろ?影山」

 「分かった、みんなもそれでいいか?」



 その言葉でこの場の転生組全員が首を縦に振る。どうやらひとまずこれで議決されたようで早速、なんのこっちゃ分からない感じでみんなの方をキョロキョロしているマリアとその横のセリアそしてこれを提案してくれたアリアの三人に響たち八人の秘密を打ち明けることにした。




 響たちがこの世界とは違う世界から転生して生まれ変わったこと、適合能力というスキルと似たような能力を八人がそれぞれ一つずつ持っていること、女神の恩恵をもらい受けて魔王討伐を目標としていることなど現段階で打ち明けられること全てを三人に話した。案の定マリアはポカンと開いた口が塞がらないという状態でセリアは現在頭の中で話されたことを整理中そしてアリアは待ってましたと言わんばかりに凄く恍惚の表情をして優越感に浸っているようだった。流石にこの状態の三人、主にマリアとセリアの二人に能力がどんなものかをさらに話せば余計にこんがらがると思った転生組は追々伝えることにして今日のカミングアウトはこれくらいにした。するとおずおずとマリアが右手を上げて質問をする。



 「つまりみなさんはこことは別の世界から魔王を倒すために人生を一からやり直している途中、ということでいいんですわねヒビキさん?」

 「まあそういう解釈してくれて大丈夫です」

 「お嬢様、私夢見てるのでしょうか」

 「ご安心なさいセリア、私もです」



 じゃあみなさん全員年上なのですか?と追加で聞いてくるマリアに転生組が言葉こそ違えど全員肯定したことでとうとう俯いてうセリアとともにうなだれているのだがその隣で二人と対極的に目をキラキラさせて食い入るように体を前のめりにして八人の話を聞いているアリアを見ると、存外この世界の強い人たちって大体変人なのかもしれないと響は思う。



 その後は着々と作戦会議が進められていくが結局決まったことは「明日の訓練の感覚でまた決めよう」ということになりその日は解散となった。久しぶりに梓と影山とマリアとセリアの五人で帰りさっきのカミングアウトの時に聞こうと思っていてタイミングを逃したという転生組全員の実年齢について聞かれたためそういやいくつになってたっけなどと本人たちも忘れていたことを思い出して歩きながら考えた結果、響たちは全員ネメシスに来て現在十一歳、それに来る前の年齢である十七歳を足すともう二十八歳、立派におじさんのおばさんのレッテルを張られるかもしれないという衝撃の事実に響、梓、影山の三人は自分たちが導き出した自分たちの実年齢に衝撃を隠し切れず一気にテンションが下がる。



 「三人とも、一体どうしたんですの……?」

 「ねえマリアちゃん……本当のこと言っても驚かないでね?傷つくから……」

 「よく分かりませんが、分かりましたわよ。どうぞ!」

 「私たち今、実質二十八歳だった……」



 マリアが言葉を失い「そうだったんですのね……まあ気にすることありませんわよ! 今は今です!」と親切にフォローを入れてくれたのだが今の三人にはそれが意外と精神に来る。

 何とも微妙な空気の中響の家までたどり着きそこでマリアとセリアは三人と別れて家路に帰る。その後で残った三人はまだ衝撃の事実から立ち直れていなかった。今日はさっさと寝よう、そう決めた響はいつもよりちょっとだけゆっくり引き戸を開けて家へ入る。食卓兼茶の間には母親のエミルが「おかえり~」と出迎えてくれて一つの封筒を響に差し出す。



 「何ですかこれ?」

 「まあ開けて見てみてごらん~」

 


 言われるがまま封筒を開けて中身を見ると一枚の紙が入っていた。何か重要なことが書いてあるんじゃないだろうかと恐る恐るその紙を開くとそこに書かれていた内容は……!



 『やっほーヒビキ君! 元気にしてる? 元気が一番だよ? 今度のお休みに一緒に任務行こうよ! てことで詳しいことはまた明日話そうねー! 笠原美鈴より』




 一目見た響の感想は「誰だこいつ……」というもの。それもそもはず響はこんな奇怪な手紙を出す知り合いを知らないからだ。

 ただ一つ言えること、それはこの「笠原三鈴」というこの漢字で書かれた名前から考察するにこの送り主は日本人そしてこの世界に日本人の名前がある理由はただ一つ。



 ――――この笠原美鈴という人物は響や梓たちと同じく一から人生をやり直している最中の転生者、



 ということだ。

 この事実が頭の中を駆け巡った時、響の全身に例えようのない悪寒が走り鳥肌が立った。まるで誰かに今この瞬間を見られているような、そんな気がしたからだ。

新展開?

そろそろ本当に賢介たちの能力使わせる!多分!

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