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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
最終章:旅の終わり
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活路のお話。

終盤だってのに全然アイディアが思い浮かばん

 グリムたちの手には、自分たちの大陸の聖戦武器だけでなく、竜王大陸と魔王大陸の聖戦武器もあった。

 魔族には勇者がおらず、竜族の勇者は女神であるゼノが担っていたため正式な勇者はいなかった。



 なので、



 「イグニス、ゼノ、お前たちの分だ!」



 ハイラインとスラインはそれぞれ一つずつ手に持っていた魔王大陸の聖戦武器と竜王大陸の聖戦武器を二人に投げた。

 神話級の武器を簡単に放り投げたハイラインとスライン、イグニスとゼノは声を揃えて「ちょっ!?」『チョッ!?』と驚き、二人は体を捻って全速力で受け止めに行った。イグニスに関してはボロボロになった体だというのにだ。



 「何してんだお前は!? 馬鹿なのか!?」


 「うるせぇ結果オーライだろうが。そうカリカリすんなって」


 『阿呆。ソノ種族ノ起源タル宝物ダゾ』


 「投げた方が迅速だったまでだ。まぁスラインが阿呆なのは事実だけどな」


 「おうスライン、まずお前からボコボコにしてやろうか?」


 「やってみろ。生憎もう手加減は出来ないぞ」


 「何でもいいけどやるならこれ終わってからやれよ。巻き込まれんのはごめんだぜ」



 ネプチューンはいがみ合うハイラインとスラインを馬鹿を見るような目で見ており、その間にイグニスとゼノは聖戦武器を装備した。

 


 グリムの聖戦武器は刀、ハイラインの聖戦武器は斧、スラインの聖戦武器は魔導書、イグニスの聖戦武器は不気味に光る光玉、ネプチューンの聖戦武器は槍、ゼノの聖戦武器は牙。

 ここに六種族の聖戦武器が揃い、希望の象徴である勇者たちも揃い、転生者である響たちもここに集った。




 カグラは冷ややかな目でグリムたちを品定めするように見てため息を一つ吐いた。

 面倒くさいことになった、そんな感じだ。

 だがその瞳に宿っているさっきは確かなものだった。





 



 瞬間、カグラが響たちの前から消えた。

 そして転移魔法でも使ったのかと思うくらい一瞬でグリムたち勇者の眼前へと現れ、腕を鞭のようにしならせて手刀を薙いだ。



 しかし、カグラがこの状況下で短期決戦を仕掛けるであろうことは響たちにも容易に予測できた。

 また、聖戦武器という厄介極まりない最終兵器(リーサルウェポン)を所持しているグリムら勇者組から殺しにかかるだろうということも。

 だからこそ、勇者たちの中でも司令塔であるグリム目がけて放たれた攻撃を響がガードすることが出来た。



 「……っ!」


 『どけろ!!』



 ジャストガードをしたはずだったがそれでもカグラの攻撃はかなり重く、響はガードの上から弾き飛ばされた。

 すかさず響諸共殺すつもりで追撃を仕掛けようとしたカグラだったが何かを感じ取ったのか攻撃をキャンセルして一歩後ろへとノックバックした。

 カグラがノックバックしたのとほぼ同タイミングで地中から何本もの刀が地面から生え、カグラは紙一重で躱した。

 しかしその刀はカグラを追尾して次々と生えてくる、そのためカグラは後ろへと回転しながら回避運動を行った。



 そしてその絶好のタイミングで影山が死角から攻撃を仕掛けたが間一髪カグラは障壁に守られて事なきを得、それによって影山の存在に気付き影山をカポエラにも似た足技で蹴り飛ばした。

 


 「ぐふっ……!」



 影山は何とか体勢を持ち直したもののすぐさまカグラの追撃が迫ってきた。

 そこへ梓が刀を生成してカグラへと二本投げたのだが、カグラはそちらを見ることなく素手で刀を掴み取り、握力だけで粉々に砕いた。



 「影山、合わせるから思いっきりやれ!」



 賢介がその隙にカグラとの距離を詰めて二方向からコンビネーション攻撃を開始した。

 影山は能力を全開放して物理法則を突破し、賢介は数秒先の未来を捉えながら物理限界を超えた影山を上手くサポートしていた。

 カグラは最初こそ物理限界を突破していた影山の超速度の連撃とそれを支える賢介の未来予知にたじろぎ、防戦一方だったが徐々に目が慣れてきたのかカウンターを入れるタイミングやジャストガードのタイミングなどを掴み、いつの間にか二人の速度とコンビネーションに適合していた。



 「(影山、頭下げろ! 賢介、合わせてくれ!)」



 その時、二人の脳内にそのような声が聞こえた。

 アザミにこの世界に転生させられた時に貰ったデフォルトスキル「意思疎通」によって迅速かつ正確に、誤差なく送られたその情報に二人は同じくテレパシーで了承した。



 カウントダウンが始まり、ゼロになった瞬間に影山はバッと体勢を低くした。

 そして影山の背後にいたのは転移魔法でワープして大量の武器を背に浮かべた響だった。

 響は武器の数々をカグラ狙いの一点集中で放った、賢介がいるのにだ。




 普通ならば愚策、だが賢介には未来予知とそれに対応しうる体がある。

 賢介は極限の集中状態の中でカグラが避けたり防御によって弾かれた武器の数々を先読みしてその軌道を把握、上手く刃の部分に触れぬように持ち手を掴んで次々とカグラ目がけて至近距離から投げた。



 カグラは二人の攻撃を防御魔法で防いでいたが徐々に防御魔法にヒビが入ってきた。

 すかさずカグラは生命奪取の禁術を発動、影山を含む三人の生命力を奪おうとしたが未来予知によって事前に察知していた賢介が二人にそれを教え、三人は間一髪で魔法の餌食にならずに済んだ。



 『勘が良いな。いや、それだけじゃない。動けるのも良いな』


 「お褒めに預かり光栄だがな……参ったな響」


 「今のでノーダメージはちょっとくるな。どうしたものか」


 『ドウモコウモアルマイ、今ノデアル程度ハ力量ガ測レタ―――――――』



 悩む響の肩をイグニスは優しく叩き、そんなことを言った。

 彼の手には聖戦武器である光玉が鈍く点滅し、イグニスの顔を妖しく照らした。

 光玉は点滅の感覚をどんどん早め、やがて鈍い光がより一層増すと光玉から紫のレーザーがカグラ目がけて発射され、それは着弾と同時に爆破し、さらに光玉からは極太のレーザーが射出された。



 『ナラヨリ強イ力デ圧倒サセルマデダ』



 イグニスのその時の笑みは、まさに「魔王」と呼ぶに相応する邪悪で愉悦の笑みだった。

後十話くらいで終わりたい終わらせた

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