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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第六章:勇者パーティーとして動き始めたようです
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彼女’sのお話。

命燃やして恋せよ乙女と言いますが、本当に命を燃やす羽目になるのは周りの人たちだったりするのかも知れません。

 「ありがとうございましたー!」


 四人は昼食を食べ終え店を後にする、満腹になった上にハーメルンの可愛い姿を見れたことにより梓・リナリア・アリアの三人はこれ以上ない私服のひと時を過ごしたような顔をしている。


 「あれは一生忘れられないな」


 「響にも見せたかったなー」


 『やめろやめろ、スキル使って忘れさせるぞ』


 「それが出来るならとっくにやってるんじゃないのか? ハーメルン」


 『ぐっ………もういい』


 ハーメルンは顔を赤らめて恥ずかしがり、そしてふてくされたのかどこからか自前の仮面を取り出して装着した。


 『やはりこの方が落ち着きますねぇ、顔を見られる心配もありませんし』


 「顔を見られるのはそんなに嫌か?」


 『嫌というわけではないのですよリナリア様? ただちょっと、気恥ずかしいだけです。長らく素顔を見られることがなかったので』


 「ふーん、ま、何でもいいんだけど。どうして口調も変わるんだ?」


 『………それを聞きますか』


 「だって気になるだろ」


 『その、まぁ……開放的になると言いますかキャラ的にこっちの方が良いかなと思ったと言いますか』


 いつものペストマスクではなく平たい仮面ではあるが口調が出会った頃の謎めいた口調に戻るハーメルンにリナリアが割とぶっこんだ質問をし、ハーメルンはその質問に素の口調が若干表れそうになるもカミングアウトした。


 どうやらこの口調はキャラ的な問題だったようで梓とアリアも「へー」っという顔をしていた。梓はあまりキャラとかメタとかには詳しくなく、日本にいた頃もそういうのにはあまり触れてこなかったのでただそうなんだという感じだったがアリアは色々と知識があるのかにやにやと悪い顔をしていた。





 またしてもハーメルンを揶揄おうとしていたようだったが、アリアはピタリと足を止めた。アリアだけではなく他の三人もピタリと進む足を止めて各々辺りを首を少しだけ動かしてちらりと見渡した。


 『さしずめ食後の運動……といったところでしょうかねぇ?』


 ハーメルンがぼそりと言った言葉が合図になったのか四人を囲むように複数人の人影が姿を現した。


 「あちゃー、ついにか」


 「よもやこんなところにおりますとは、しかも二つも部隊がいるとは私たちのところは当たりのようですね」


 その複数人は言わずもがな獣族の生徒たち、四人はとうとう見つかってしまったというわけだ。獣族の生徒たちは武器を構えて今にも襲い掛かってきそうな殺気を放っている。



 だが、



 「私行っていいですか?」



 四人はグリム率いる勇者パーティーの中でも上位の強さを誇る者たちばかり、その中の誰と当たってもふんなことに変わりはない。


 梓は一人名乗りを上げて虚空から刀を生成する、突如として現れた刀に驚きどよめきが聞こえてくる。


 「じゃあ僕も行くよ、独り占めなんてさせないから」


 するとアリアも名乗りを上げて魔方陣を複数個展開させる。



 獣族の生徒たちは二人のただならぬ気配に一歩後ろへと後ずさりしいつ襲って気もおかしくはないほどに警戒している。ハーメルンとリナリアは自分たちまで動く必要はないと判断して近くの店で買い物でもしてくると言い残して去ろうとした。


 「お待ちくださいお二人とも、ぜひお二人にも手合わせを――――」


 「そこの二人で十分でしょ、ちょうど部隊ごとに分かれたってことになったし」


 『本来ならばどちらか一人でも十分すぎますからねぇ、私たちまで実力を見せることはありません故』


 「今回は皆さまに我々が指導をしてもらう趣旨です! そんな簡単に投げ出されては困ります! いくら勇者一行とてそんな横暴はいかがなものかと……!」


 「いやだからさぁ……」


 『はっきり言わないと分かりませんか』



 ハーメルンとリナリアの二人はくるりと振り返ってはっきりと言い放った。



 「雑魚に構ってる暇はないんだよ」

 『雑魚に構ってる暇はないんです』



 二人はそう言い残して転移した。


 

 「店に行くって言ってなかったっけ、全く」


 「いいじゃないですかアリア先輩、また会えるでしょうしそれに――――」


 梓は刀を鞘からゆっくりと引き抜いて真っすぐ向けた。


 



 「今はこの人たちを倒すのが先です!」


 「全く……恐ろしい後輩が出来たものだな。僕も鼻が高いよ」


 「ここで凄いことやっておけば後で響に自慢できるでしょうし……」


 「よっしゃ僕も本気でやろう割と本気でここにいる全員ぶちのめして足が棒になって動けなくなるまで教育してあげようじゃないか!」


 「……アリア先輩?」


 「よーしそうとなったら一体どんな魔法でやっつけてやろうかな、派手な方がインパクトあるからそういう方にしようかなぁ……いやぁヒビキ君に褒めてもらったことなんでないからどんな風なのかちょっとワクワクするな。全く、僕も一人の乙女ということなのかなぁ」


 「アリア先輩ー! あれ、聞いてないんですか? もしかして今私無視されてます?」


 「大丈夫大丈夫ちゃんと聞いているから」


 「あ、それならいいんですけ――――」


 「ファーストキルは貰うぜアズサ! ティア・ドロップ!」


 「あぁちょ! 私も!」



 アリアは謎の超テンションのまま、雫の形をした氷の塊を降らせる緋級範囲魔法「ティア・ドロップ」。



 もう周りへの被害とかそんなのはすべて無視して完全にその場のテンションで容赦なくぶっ放す、獣族の生徒たちは突然の出来事に完全に出遅れてしまい急いで迎撃しようとするがあまりにも遅すぎた。



 その間に梓は片端から獣族の生徒たちを次々と倒していく、そして接近してきた梓に気を取られれば今度をアリアがその寝首を掻きに行く。



 突発的に始まり何の策もなかったが思いのほか連携が取れる結果となりたった数分で獣族の生徒たちによる包囲網は崩壊した。




 ただの一撃も二人に当てることが敵わないまま。




 「つ………強すぎる………!」


 「当たり前だろ? 僕たちを舐めすぎだって」


 「……全然動き足りません、アリア先輩」


 「僕もだ。さてと、それじゃあ指導とやらをすればいいのかな?」


 「ひぃ……!?」


 


 その時の二人の顔は完全に悪人のそれだった。



 全員はこの場所だと他の人たちに迷惑がかかると判断して一度他の場所へと移動し、後には呆気にとられたままの通行人たちが棒立ちしていただけだった。

















 「おぉ? なんだ、ドンパチは終わっちまったのか?」


 「そうみたいですね!」


 「お、お前らは………」


 「てめぇ誰にお前なんて使ったんだごるぁ!!!!」


 「うわぁぁぁ!!」



 梓たちが去った後、そこには十数人たちの男たちを引き連れた屈強な大男が何やら残念そうにしていた。その大男に見覚えがあったのか一人の男性が思わず言葉を漏らすが大男の威圧に圧倒されて逃げていった。


 

 「ちっ………だがまぁ近くにはいるだろ。他にもどっかでドンパチやってるやつらはいるっぽいしな」


 「探しやすか?」


 「あたりめぇだ。さっき森の方でもあったっつー知らせが入った、行くぞ!」


 「へい!」



 その大男、





 獣王大陸のならず者集団、「豪傑の獅子」



 そのボス、ハルク・モーグランが颯爽と森へと向かっていった。

さてさて、ガチムチ集団を再登場させましたがこの後どう動かしていくかはまだ考え中です。

いつもの事ですが、ご容赦ください。


そして計画性なくてすみませんでした!

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