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異世界二重奏は高らかに  作者: 羽良糸ユウリ
第六章:勇者パーティーとして動き始めたようです
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湖のお話。

神童&お嬢様VS獣王大陸魔導学院生徒会副会長

 「マリア、援護射撃。行けそうなら接近戦に参加、ただし絶対に行ける時だけだ」


 「了解しましたわ!」


 フランは早口で三秒と満たないその時間でマリアに作戦行動を伝え、自らはマーナガルム戦の時に使用したあの黒い鎧と黒刀を装備してソルと対峙した。




 ガギィンガギィン………!!



 響き渡る金属音は不気味なほど静かな夜の湖畔を包み込んだ、マリアは魔方陣を展開させてソルを狙い撃つタイミングを伺っていたが二人の動きが早すぎて照準を合わせるどころの話ではない。


 「(おかしい……ソル・リーハウンナはシルバー級の冒険者のはず……。こんなに動けるならゴールド以上になっていても不思議じゃないはず……)


 マリアが援護射撃のタイミングを伺っている一方でフランはソルの動きに疑問を抱いていた。



 フランは獣王城でソルとアキレアが来たその晩に二人の事をある程度調べており、それでなくてもマーナガルム戦の時に一度会っているし何だったら獣王大陸の冒険者ギルドで短い時間とはいえ会話をした過去があった。


 それ故に、フランは自分の記憶にあるソル・リーナウンナのイメージと今自分が戦っているソル・リーハウンナのイメージが違い過ぎて、その違いを考察していた。


 「(あの時彼女はマーナガルム種を前にして仲間を殺され、ただただ竦んでいるだけで何も出来ず、それを私たちが助けた……その記憶は間違っていない。だがこれほどの実力があれば仮に単騎であの任務に行っても難なくこなせた………何故だ………)」


 「随分と渋い顔をしていますね、フラン・ヘルヴォールさん?」


 「……あなたは人の心が読めるみたいですね、ソル・リーハウンナさん?」


 槍と刀、己が武器をそれぞれ拮抗させて二人は額をごちんと合わせ睨みつけた。


 「マーナガルム戦ではお世話になりました、あなたたちが居なければ死んでいました」


 「笑えない冗談をどうもありがとう。たかがマーナガルム種程度、あなた一人でどうにでもなったはずだと私は思うのだけど」


 「やっぱりそう思っておりましたか、私もです」


 「……随分と煮え切らない言い方をしますね。こう見えても私はせっかちなんです、結論からどうぞ」


 フランは刀を持っていた手を離して拮抗状態だった二つの武器のパワーバランスとソルの集中力を崩し、もう片方の手に持ち替えて横に薙ぎ払った。


 ソルは槍を軸にして後ろへと回避して二~三度後ろに回転して体勢を立て直したが、腹部からは一本の切り傷が綺麗にぴーっと出来ておりそこからは血が出ていた。


 


 「今のは躱せたと思ったのですが……流石は神童と呼ばれるだけはありますね、それだけの質の魔法を息を切らさずに完璧に扱えているとは。おっかないですね」


 そう語りながらソルは回復魔法で腹部の傷を治癒していった。


 「あの時、私たちの存在に気付いていたからあんな演技をしたんですか? 私たちがどう動くか、見ていた」


 「まぁそういうことです、ちょっとしたパフォーマンスのつもりでした。それに――――」


 「それに、もし私たちが動かなくてもあの程度の攻撃ならば回避なり防御なり出来た。そうでしょう?」


 「――――台詞、取られてしまいました」


 「……この際、あなたがなぜあの時シルバー級の冒険者だったのか、なぜそんなパフォーマンスなんてしたのかなんてことはどうだっていいことです。どうやら私は、長いこと慢心しきっていたみたいですね、まさか獣族との戦い方すらすぐに思い出せず実力を見誤るとは………これでは師匠たちに怒られてしまいます」




 フランは右手に刀を、左手に魔方陣を多重展開させた。





 丁度、月が雲で隠れ、魔方陣が怪しく爛々と輝いていた。




 「獣族相手には、殺すつもりでやれ。その教えを今実行します」




 フランの目には殺意が満ち溢れていた。



 月が雲から顔を覗かせ、三人を照らした。

 ソルの顔が、殺す気でかかると言われて恍惚としているソルの顔が、月明かりに照らされ、妖艶に色づいた。


 「ゾクゾクしますね………! 最高です!」



 そう言ってソルは槍を構えた。


 「マリアっ!」


 フランの一言でマリアから様々な複数の魔法がソル目がけて撃ちだされた。だがそれは空しくも全てソルに軽々しく躱されてしまいフランへの突撃を許してしまった。

 しかしフランとて殺す気で掛かっている、先ほどまでとは動きが違う。まるで後ろから放たれるマリアの魔法が見えているかのようにただの一度も被弾することなくソルと戦っている。


 「早いっ…………!」


 ソルの口から思わず漏れたその言葉は彼女の動きを鈍くした。









 だがここでソルの姿がふっと消え、フランの攻撃が空を切った。



 ソルが転移魔法で別の場所へと転移したからだ。


 「どこに消えた……」


 次にソルが姿を現したのはフランの後ろでも頭上でもなかった。






 「…………っ!」







 マリアの後ろだった。



 マリアがそれに気づいた時にはすでにソルの槍が自分目がけて迫っていた時だった。

もう少し書こうかと思ったのですが変に長くなりそうなので区切ることにしました。

マリアもそろそろ、強くしてもいいかなと思いましてね。

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