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前編

ガタン。

大きな音とともに、私はほどよくすいた地下鉄の車内に倒れこむ。


それぞれ片手にスマートフォンや小説を持った人が、蔑むような、楽しんでいるかのような目でこちらを見るのだ。こればかりは『地下鉄でよくあること』として割り切らなくてはいけない。

苦笑いをして隣の友達の手を借りる。


「あーあ、まただよ。」


こういう時こそ笑っていないと、どんなレッテルが貼られるか分からない。

口にくわえる食パンは、女子高生であるからドジっ子として可愛がられるのだが、これを本気まじな表情の人がやったらどうなるのだろう。同じように可愛がられることは絶対にない。

それと、いっしょだ。


『次は、鳴呼なるこ鳴呼なるこ──────』


毎日のように聞く電子的な放送は、私たちの降りる駅。降り遅れないように急いで手提げ鞄を持ってドアの方へ歩いていく。一瞬誰かと目があったような気がして、直後、雪崩のようにホームへ投げ出された。

こんな1日がいままでも、これからも、ずっと、ずっと。


「あき、大丈夫?潰れてね?」


「元気にぴんぴんしてますよーだ!」


私の仲のいい数人の女子グループのなかに、同じ駅で下りる子がひとりいる。

りら というとても元気で例えれば柑橘系のフルーツみたいな女の子だ。男女ともに人気があり、いつも笑っているような。


「壁ドンとかさ、アレ威圧感ぱないし〜!」


「わかるわかる〜ときめくのって2次元だからだよね〜」


「あははは─────」


駅の階段横にある自動販売機のまえで、今日もたわいのない話をする。馬鹿みたいな話題に、手を叩いてバカ笑いをするだけの時間を過ごしていた。

いつもと、いっしょ。


「でさでさー、」


ちょうど私が壁に寄りかかり、向かい側にふらふらとあかりが歩いていた時だった。

私の視界にその人が入ったのは。

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