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その名を、心

作者: 衣良 弛雨


おはようと、何時ものあいさつをして

私は貴女に近付いた

そうしてそっと後ろから腕をまわして

私は鋏を引き抜いた

貴女のその胸ポケットから、赤黒にまみれた刃を


ああ、これが貴女の『憎悪』

貴女が私に向けてる『殺意』

その刃を握りしめ、自分の左胸に押しあて、

さて、貴女に問いましょう

——私が憎いですか

——私が嫌いですか

淡く深い笑みを浮かべて、何ともなしに


貴女は驚いた顔をよそおうけれど

その下にあるのは隠しようがない

そんなことないじゃないと

貴女は言うのだけれども

じゃあ聞きましょう


陰で言っていることは何だい

貴女の目の色は好意じゃない

じゃあこの鋏はなんなのさ

これを形作るのは憎しみだろ、私だけに向けた

うわべだけの好きは飽きたよ

裏で言われるのは嫌いなの

罵られるのもいやだけども


さて、仮面をはいだ貴女の顔

あふれ出る殺意を湧かした目

燃えるその目はきれいだけど

歪んだ口元はみにくいものね

私はもっと笑みを深くして言う


私の目はどこにでも

私の耳はどこにでも

だから貴女がどこで何と言おうと

残念けど私の心には入ってくるの

突き立てた刃が痛い

生温かい液体はなに

それでも聞こう、理由はなんだ。



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