110.私の気持ち(戦場前)
未だ書き方に悩みつつ、書いているのですが。
ちょっと矛盾点や未熟さが現れているやもしれません。
私達が里を飛び出してから、気付けば何年も経ちました。
思えば遠くまで来てしまったモノです。
最初は勢いだけで飛び出して、アイツに引き摺られるばかりだった私。
アイツの思いつきだから、頓挫することも充分考えられたんですけど。
ここまでとんとん拍子に進むとも思ってなかったんです。
何しろ、馬鹿の発案なので。
馬鹿の考えにしては上手くいくと、思っていましたけれど。
勝算なんて、それでも何にもないし。
そもそも、細かい算段すら、欠片もできていなかったし。
それがこんなに上手くいって。
仲間は増え、囚われていた『奴隷』達は解放され、追いやられた土地を取り戻し。
気付けば此方が『人間』を追いやる勢いで。
馬鹿の勢いって、凄いと思いました。
みんなみんな勢いに巻き込まれて、今日のこの日があるんですから。
馬鹿には責任を持って、今後も仲間を導いてもらわないといけませんね。
アイツにそれができるでしょうか?
アイツはうまくやれるでしょうか?
そこを支え、助けるのは………きっと、私の役目ですね。
まだ来てもいない今後を考えるのも、徒労かも知れませんけれど。
既に始まってしまった争いですから。
その終わった後、先の先を考えることも、大事だと思ったのです。
せめて、私一人だけでも。
どうせあの馬鹿は、そんなことを考えている余裕もないでしょうから。
…考えると言うことすら、思い至らないかも知れませんけれど。
動き出すにも眠りすぎて出遅れた私です。
もう既に事態が動き始めた後で何をしても、全ては遅いと思い知りました。
私にできることは、既に皆が全てを決めた、後のこと。
みんなが決めて、実行したことをサポートすること。
その準備の手伝いと、万難を排す為の幾らかの裏工作。
鬱々と沈み込みそうになりながら、考えに没頭する暇もないと自分を嘲笑い。
己を戒めても、どうにもならないと分かっています。
それでも、どうにもならないとしても。
己の無力感、何もできなかったという自責の念は無視できなく膨らみます。
こうして、自分を責めても、過去を後悔しても。
それこそ本当に、どうにもならないんですけれど…
現実逃避もままならない忙しさが、私を文字通り「忙殺」しようとしていました。
死ぬ。本当に死ぬ。忙しさで死ぬ。
誰も私を殺そうとはしていないし、むしろ本当に気遣われ、案じられています。
それでもじっと寝ていることはできないし、寝過ぎて最近眠気も薄いし。
皆が死のうとしている時、誰もが奔走している時。
私は我が身だけが可愛いと、忙しい皆を見ぬふりができません。
私は、私にできることをしたい。
今まで何もできず、皆に負担を掛け、アイツに心労をかけた償いにもなりませんが。
それでも、私は…
私は。
私は、みんなの為に身を削ってでも、尽くしたいと思ったのです。
この身などどうなっても良いとは言いません。
それでも、私のことを大切に思ってくれる皆の為に。
私は自分の能力の全てを費やして、皆を助けると自分で決めた。
その結果、どんな結末が私を襲うかは知りません。
どんな未来が来るのか、怖くもあります。
そんな恐ろしさの全てを払拭はできないから。
自分を取り巻く一切合切の恐怖を紛らわす為にも。
ただ必死にがむしゃらに、私は戦場へ身を投じました。
救護テントに待ちかまえる、救命という激務。
表の戦場の裏に待ちかまえる、命を賭けた…命を救うことを目的とした戦場へ。
苦しいぐらいの気持ちの中で。
私はこの時、全く思ってもみなかったんです。
どんな悲壮な覚悟も、強い気持ちだろうと。
どれもも馬鹿らしく感じ、頭の中から吹っ飛ばしてしまう。
そんなモノが、この日待ちかまえていたなんて。
ちょっと今回は自分の考えを整理する為に書いた面があります。
ので、ちょっとごちゃごちゃしてます…。




