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僕の彼女は姉《シスター》です  作者: KAIYAMA
第一章 『普通』の人生
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『普通』の終り……

「やっと最後の敵倒したぜ~!」

 いまいちなんのことか分からないだろ?

 あれから3日。いまだに姉の風邪は治らない。その間、俺は学校を休まさせてもらっている。

 そこで俺は初めて、真面目にゲームというものをした。

 あの後、姉にやり方を聞いてみると、パソコンをやっていたおかげなのか、分からないが俺にも使えこなせた。まあ、成長したんだよな。

「おめでと……」

 元気はまだ無さそうだ。俺の心まで痛む。しかしこの感じは何なんだろう?今までの俺であれば、確実に人事だと思って無視してたはずだ……。

「なら、たしか昨日から、RPGのネトゲーの、βテストが開始してるはずだからそれをやれば?」

 ???

 いくら使いこなせたとは言え、RPGとか、β(?)とかさっぱり分からない。さすがにネトゲというのは分かるぞ。ネットゲームというやつだろ?

「『conqueror's mirror』というゲームなんだけど、ミラーて言われて今大注目のネトゲーみたいだよ」

 さっぱりだ。とりあえず、ネーミングセンスが無いことは確かだ。

「アメリカと韓国で既にサービス開始してるみたいで、日本が昨日から」

 よく分からない……。まあ、やれば分かるだろう!

「どれどれ……。これか!」

 あった~!……?よくわからないが、ダウンロードすれば良いみたい……



「お~い!ダウンロードとか終わったのにできないぞ~」

 分かりにくいぞ!インストールとやらはできたが、なんか訳分からない画面が出てきた。

「それ接続画面。会員登録したの?」

「してない」

 キッパリ言ってやったぞ!

「そっか……。なら、もう一回さっきのサイトに入ってみて。会員登録できるから」




 あれから、一時間がもう過ぎた……。やっとサーバーとやらに入れた。

「すげ~!このサーバーには100人もいるよ」

「多分、今はどこも100人で満員なはずだよ」

 キャラクターには名前を付けられた。もちろん、『りょう』にした。

「で、今から何をすればいいの?」

「まず自宅を探して。そこにアイテムとかがあるから、武器とか選択」

 自宅は……。何だ、もう目の前ではないか!

 武器は……。まずはナイフでいいか。後、半壊した弓……。大丈夫なのか?

「で、武器選択終わったら?」

「ご飯食べたい!」

 しかし、こいつは可愛いな。穂とはまた違った可愛さだ。  てか、人の話聞けよ!

「はいはい、わかったよ。もうパソコンは今度でいいや。一人じゃそろそろ限界」

 そう言って、下へ降りていく。

 しかし、最近の俺は姉に惹かれているのだろう。自分で言うのも何だが、何となく分かる。姉と二人きりでいることを楽しんでいる感じだ。実はそれもあり学校を休んでいる。

 ……、卵しかないな。まあ、卵ベースのお粥でいいかな。

 ただ、その気持ちが俺にとって不快だ。今まで俺は、一途に愛している人だと思ってた。いや、今もだ。

 それなのに、あの姉が来てから心が揺らぐ。俺の穂に対する気持ちは、その位の物だったのか?来たばかりの人に、長年の思いは壊されてしまうのか?

 味の素入れなきゃ……。あと醤油。

 俺は、穂を好きなのか……?




「おいしかった~♪」

 徐々に食欲も回復してきたらしい。これなら明日は行けるかな?

「やっぱりね(もぐもぐ)熱が出たら美味しいものを食べなきゃ」

 こういうところは穂に似てる。あのもぐもぐ感とか。

「料理は親譲りの上手さだね」

「ありがとよ」

「御馳走様でした」

「はいよ」

 取りあえず、机の上に皿を置く。最近はいつもこうだ。

ピロピロピロリーン

 メールだ。変な着メロだって?うるせ!

『亮君へ。今日もかおるんのお世話?がんばってね♪』

 神きたぁぁぁあ!やっぱりあいつは神だな。うん♪神!

「じゃ、私は寝るから……」

 こうして、姉は寝てしまった。

 俺はこうやって、姉の寝顔を見ている。特に何も考えてはいない。すやすやと寝ている。

 ……。何も考えていないなんて嘘だ。完全に緊張している。相手は姉だ。でもその前に女子だ。

 自分の立場になって考えてみろよ?突然、可愛らしい人と同居をしだすんだぞ。姉と言われても緊張はするだろ。

 後、穂とは決定的に違う可愛さがある……。こいつは、まるでアイドルだ。いつでも笑顔だし、疲れてる時がないみたいだ。穂は普段からボケボケしてるし、こたつでゴロゴロしてるばかり。まあ、そこがあいつの可愛いところなんだが。

 ……。やっぱり、気持ちははっきりするべきだ。調べる方法ぐらいあるはずだ……。

 姉に……、キスをすれば……?気持ちは分かるのではないか?意味不明なのは分かってる。個人的な欲求というものだって中にはあるはずだ。

 でも、今はこれしか考えられない……。こうするしかないんだ。

 ……。

「ぅぅ……」

 姉は完全に気づく。そりゃそうだ。この数日寝たきりだったし、すぐに寝れる訳がない。しかし、気にしなかった。

 俺はそのまま姉の布団に入り、抱きしめたまま眠った……。




「ぁぁ……」

 眠いね~。朝だからね~。

 既に姉は起きているようだ。もしかしたらソファで寝てる可能性もあるが。

 姉は、キッチンで料理を作っていた。体調はもう良いらしい。姉はこちらを向いて、言われたくなかったことを言いかける。

「あのさ、昨日の夜のことなんだけどさ……」

「思い出させないでくれ。すまなかった……」

「……」

 なんとも酷いやつだ。勝手にキスをした上に、思い出させないでくれだと!?俺が女ならビンタだな。まあ自分が言った科白だが。

 結局、キスをしたけど何も分からなかった。前みたいに寝てしまった。

 とりあえず、結論はまだ出なさそうだ。昨日みたいな事はもうしたくない。

ピロピロピロリーン

 メールか……。

『かおるんお風邪治ったんだって?じゃ、今日からまた一緒に学校行こう^^』

 ……。俺は、穂のことが好きなんだよな?

 もういいか。取りあえず、細かいことは気にしないで今を生きよう。もう『普通』という道からは脱線してしまったんだ。それだったらそれなりに、人生を楽しむか……。





 このときは気づけなかった。こんな曖昧な気持ちが人を傷つけていくことになるなんて……。

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