この気持ちはなんでしょうか?
うぅ……。
頭が痛い。それに体がビリビリする。体全体が悲鳴をあげているようだ。ただ生きていただけましかもな。
あの後、いまいち何があったかはわからない。ただ姉と思われる人にスタンガンで気絶させられたのは確かだ。
「あ!気がついた?」
……。何を言えばいいのかわからない。
「うん」
「ごめんね。さっきスタンガン当てちゃったから……、気絶したみたいで……」
「そっか」
「取りあえず、水飲んで」
……。信用できるか?いまさっき俺を気絶させた人間が渡してきた水なんて……。明らかに毒入りとかだろ……。
しかし、姉が『飲まないの?』みたいな顔をしてきたので、仕方なく飲むしかなかった。
一気に飲み干した後、気になっていたことを聞いてみた。
「なんでスタンガンなんか持ってるの?」
すると、平然とした顔で、
「護衛用」
だとさ。護衛どころか、完全に相手に攻撃してるだろ……。
「なら、それをなぜ俺に?」
「亮介は私に普段入らないでしょ。だから泥棒かと思って……」
「なら、あのハンドガンは?アメリカは知らないけど、日本じゃ完全に犯罪だよ」
「え?あれ……、エアガンだけど」
……?
「ほら」
中から小さな弾を取り出す。たしかにありゃあ、小さいころに遊んだおもちゃだ。
「いまから、お粥作ってくるから待ってて」
……。恥ずかしい。結局は、俺の早とちりという訳かよ。馬鹿みたいだぜ。
……。しかしなんだこの感じは。今、俺は姉のベッドで寝ている。たしかに女子のベッドではあるが、あいつは姉だ。なのになぜだが同様してしまう……。
よくわからないまま、再び寝てしまった……。
あれから、3日が経った。特にそれからは何もなかった。
「お疲れ様さまです」
家にアメリカからの荷物が届いた。多分、姉のだろう。
この前の失態もあるし、挽回してやるか。
箱は3個もあった。しかもかなり重い……。
一つ目の箱を開ける……。すると、大量のゲームがでてきた。多分、ニンテンドーDSとか言うやつだろう。残念だが、機械音痴の俺には無縁の物だな。二個目の箱も同様の内容だった。
三個目。次は服とかだろう、と思った。
……。何て言えばいいのだろう。
表紙だけなら、完全にいかがわしいゲームだ。しかしだな、ゲームというのは家族で楽しむ物だろ?ならそんな物ではないはずだ。
……。でもな、さすがに俺でもわかることがある。表紙に書いてある、R18の意味ぐらい……。
さて、どうする?まあ、普通に姉の部屋に置くという手もある。しかしだな、もし俺がHなゲームを持っていたとして、家族に見られたら自殺を考えるだろう。
ましてやあいつは女だ。
……。仕方がないが、普通に部屋に置いておくか。しょせん、人事ではあるからな。そこまで深く考えるとばかばかしくなる。
「ただいま」
前日と同じような気持ちになる……。不安だ。
「さ、入って」
……?今日は誰か連れがいるのか。まあ、あいつクラスでも既に馴染んでるからな。当然、友人も多いのだろう。
「おじゃましま~す」
……?あの声は、まさかの名字か?……あれは名字だな。しかし、我ながらネーミングセンス無いな……。いや、そんな事はどうでもいい。何であいつが俺の家に?そりゃあ、俺と遊ぶ時はわかるけど……。
……。そういえば、あいつの部屋にダンボール置きっぱなしだな。それはかなりの問題だろう。俺なら、あれを見たら逃走する。
……。いや、待てよ!普通に考えて、女子が男子を呼ぶなんて、まず彼氏だろ?
それなら良い。名字は必ず、あの物を見たらすぐに飛び出していくだろう。姉には悪いが、なんかあいつと付き合っているなんてかなり悔しいからな。
ガチャ
破滅へ、動きだした……。ぷぷぷ。
「こ、これは!!!」
……?なんかリアクション不自然じゃね?もう少しビビッてもいいだろ。俺は声さえもだしてはいないけど。
「今日発売の、シスコレの新作ではないか!」
「ぎゃぁぁぁぁぁああ……」
慌てて声を押し殺す……。ばれてないよな?
しかし、あいつ……。そんな趣味があったのか?嘘だろ!?……。明日からあいつの話すの少し避けよ。さすがに、親友と言えるほどのやつがあんな趣味を持っていたと思うと焦る……。
「これ予約にもかなり苦労したんだからね……。じゃ、約束だよ?一緒に……しよ?」
!?今『しよ?』って言ったよな。男女で、部屋で二人っきりですることなんて……。もうあれしかなくね?やばくね?
さすがにこればかりは見過ごす訳にはいかない……。こんなこともあろうかと、姉の部屋から前にスタンガンを貰ってきたんだよ!盗んだというのが正しいが。
「その前に、これを一度プレイしよ?」
おいおい!お前は俺の姉よりそのHなゲームのほうがいいのか?ふざけるな!
さて、どうする?とりあえず、何も知らない振りをして、姉の部屋に入って俺も混ぜてもらおう。もちろん、混ぜてもらうというのは遊びにだからな?そこを理解しろよ。あくまで止めるためだ。
ではドアを開けて……
「やあ、お二人さん。何をしてるんですかね?」
長老風に言ってみた。
「……」
まさかのスルー!?てか気づいてなくね?
慌てて部屋から撤退する……。
もう無理なのか?俺には入れないような関係にまで……?
「じゃあ、インストしてあるから勝手にやって。お茶持ってくる」
「ありがと~♪」
なんて楽しそうなんだ……。
すっかり忘れていた……。普通にドアが開いて、姉に盗み聞きしてたのがばれた……。
「つまり、お二人さんはゲームをする予定だったと?」
「そう」
話があまりにも長かったので、俺がまとめよう。
姉は、あいつとたまたま同じゲームを持っていて(格闘ゲーム?とか言ってた)それで対戦したら名字(あえて言うが福田)がかなりの腕だったらしく、うちにお呼ばれして他のゲームもやることになったらしい。
ちなみに名字は、Hなゲームが大好きらしい。毎日夜中までやってるみたい。
「そうかそうか。なら俺の出る幕でもなさそうだ。ほなさいなら」
今度は関西弁風。最後だけで、俺のイメージ上だけどね!
そして、夜になった。今回はそこまで急展開でもないぞ!まだ二時間ぐらいしか経ってないからね!
「お~い、ご飯だぞ」
今日は俺の当番だ。うちでも当番制が導入されたのだ。
「待って、今行くから」
今は春とはいえ、まだ5月で結構寒い。なのにユニフォーム(?)見たいのでバスケの練習をやっている。一応だが、バスケ部に入りたいらしい。
「早く入れよ……」
もう展開さすがに読めたろ?俺の姉は風邪をひいた……。
そして姉と二人きりで、姉の部屋で姉の看病をすることになったのだった……。