妄想中
「なぜ?なんでもう帰っちゃうの~?」
「なぜかって?君を愛しすぎたんだ!もう耐えられない……。この思い、死んで初めて報われるはずなのだ!」
「なら、私が……。いや!私はあなたを愛しています!大好き。これが今流行りのツンツンでれでれという奴だよ!」
そういって、穂がこちらに近づいてくる。
「私たちは愛しあってるよね?」
「ああ!マイセニョリーター?ああ!愛している!」
そうして、二人で抱き合った……。時の流れや、人目など関係ない。愛し合ってればそれだけで十分だった。
「暖かい……。寒かったからさ……。最後に私から一つだけお願いがあるの!」
「なんだい?」
「キス……、して」
そうして、二人は永久なる愛を誓いあったとさ……。
妄想の世界ではね!あ、一応……。
穂はこちらを見ている。多分、こんな妄想してたわけだから変な顔になっていたのだろう。相当険しい顔でこちらをのぞいている。
こっちが落ち着いたのに気づいたのか、話を始めだした。
「あのさ……、さっきのあれは無いよ。私が何のためにわざわざりょうくんの家に行ったか分かる?」
さあ?分からん。
たしかに今まで穂がうちに来たことはなかった……。珍しいのだ。
「私だって、かなり気合いれていったんだよ?お弁当も作ってさ……。なのに……、そんなときに限ってどうしてかおるんが居るの?こんなのおかしいでしょ……」
結局、何がいいたいのだ?
話が読めない。俺のなかでは、すべて理解してると思っていたんだが……。案外そうでも無いらしい。
勝手な俺の考えだったんだろう。理解してるなんていう話は。
結局、相手をすべて知るなんて無理なんだろう。だって他人が考えてることを知るなんていうのは現代科学ではまだ無理だからだ。それに、技術がいくら発展したからといい理解はできない。
「今なら言える……。私は、りょう君が好き……。大好き……」
……。
二つある事が分かった。案外、好きな人に告白されても嬉しくないことが……。
あと……、俺が誰に恋してるかの真実が……。